第8話 これから




「それで、幸太君。これからどうするんだい?地上に一回戻るのかい?僕が居れば直ぐに戻れるけど……?」


 ネロからそんな提案を受けたが、幸太は首を振った。


「いや、戻らないでここで自分自身を鍛える。正直地上に戻っても何もやる事もないし置いて来たものも……無いからな」

「──君の家族や友人に一言何か言わなくて良いのかい?何も言わず何処かへ行ったままだと迷惑をかけちゃうと思うんだけど?」


 幸太のドライな言い回しにネロは気になった様で聞いてきた。


 聞かれた幸太は──


(──家族、家族か。それに友人、ね。そんな奴等も"昔"はいたな。こんな世界になった瞬間俺を見限って直ぐに俺から離れていっちまったが) 


 そんな事を考えるとネロに包み隠さず話した。


「──良いんだよ。それに俺には家族も友人も、もういないからな」

「──ッ!ご、ごめん。不謹慎ふきんしんだったね」


 幸太の話を聞きどう捉えたのかは分からないが、ネロは暗い顔を作ると謝ってきた。

 まったく本当にこいつは優しいな。俺を心配して言ってくれてる事がわかるもんな。


「もう俺も大分前に吹っ切れたよ。それに今は俺の側にネロがいるだろ?その、アレだ……お前の事を今は家族相棒とも思っているからな?」


 少し照れ臭そうに頭を掻くと幸太はそんな事をネロに伝えた。

 言われたネロはネロで少し照れた様に頰を赤らめていた。


「そ、そうだよ!幸太君、僕は君の相棒でもあり家族さ!だから大船に乗ったつもりで頼りにしてくれて良いよ!」


 腰に手を当てて「大船に乗ってくれ!」なんて大層な事を言っているが、その顔はやはり恥ずかしいのか真っ赤になっているので威厳もクソもなかった。


(でも、頼りにさせてもらうよ。相棒ネロ


 そんな事は口には出さず、内心で考え、心の内にしまっておく事にした。

 そんな話をしながら2人は今後の予定について話始めた。


「今から魔物なんかと戦ったら最初の二の前だと思う。そんなのはもう嫌だから、初めは自分の体作りから行おうと思う。それも普通の人間が出来ない様な時間をな」

「うん、それがどんな物か聞こうか」

「あぁ、それが──」


 幸太が考える修行方法をネロに伝えた。


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       最強までの一歩


・最低でも100年〜500年は自分の体作りに専念する事(自分が満足するまで継続する)


・体作りの内容は 「ダンジョン」内を毎日40キロは走り込みを行い、自分が考えられる限りの方法で体を鍛え虐め抜く事(腕立て伏せ・背筋・スクワット等)、慣れて来たら数を増やして体作りを行う


・体作りが終わり、自分で納得出来たら「魔物」との訓練を行う


・ネロに回復を使って貰う時は本当にヤバイ時だけ


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「──と、こんな感じだな。ネロの話した通りなら俺はもう「不老不死」とやらになっているから歳を取らないし身体の衰えも関係ない。だから、時間を余す限り使えるはずだからな」


 と、幸太は考えたが。


 聞いていたネロからは「待って」と言われた。

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