異世界からの訪問者 その【努力】は神をも超える

加糖のぶ

 出逢いと修行編 世界変動と訪問者

第1話 プロローグ





「──は、はは──ははは──はははっ!」


 日の光、月明かりすら無い薄暗い洞窟内。一人の男の息遣いと笑い声だけが聞こえる。

何かと戦ってるのか金属と金属をぶつけ合わせた様な鈍い音だけが洞窟内どうくつないに響き渡る。


 止まない喧騒けんそう、止まない金属音きんぞくおん。他の人がこの状況を見たら異常と思うだろう。何故なら地球には存在しないはずのゴブリン小鬼の様な醜く醜悪しゅうあくな顔をした生き物がある男一人に群がっているのだから。


 普通はこんな世界では無かった。こんな世界を誰も望んでいなかった。だが、ある日何の前触れも無く"普通の日常"は終わりを告げた。


 ──何故なら世界各地で「ダンジョン」と言われる物が現れたのだから。


 だが、誰が予想がつく?地球上に「ダンジョン」なる物が多数出来て「   」を除く全ての人々に「スキル」が現れ「ダンジョン」にいる魔物を倒せば「レベル」が上がり沢山の恩赦おんしを受けると。

 何で「   」だけ何も貰えない?選ばれた人間が「スキル」を貰って超人の様になるならわかる。だが何故「   」だけ何も貰えず省かれなきゃいけないんだ。


 何を考えても訴えても現実はどこまでも、どこまでも──残酷ざんこく不平等ふびょうどう無慈悲むじひで救い様のない事ばかりだ。

 考えても、考えても何も思い浮かばないし、変わらない状況。だから「努力」をする事にした。人の何千──何万──何億も。普通なら出来ない。普通なら諦めてしまうだろう。だが「   」にはそのチャンス機会だけが訪れた。誰に笑われようと馬鹿にされようが「   」は辞めない。「努力」だけは「   」を決してのだから。


「──ッ、これで──どうだ!」


 ── ドサッ!


 振るった拳は相手の顔面を捉え吹っ飛ばした。

 相手は動かなくなったが「ゴブリン小鬼」の様な魔物まものがまだまだ次々と襲ってくる。


「──たくっ、キリがねぇナァ!!」


 そんな事を口にしながらも「   」は笑って敵に自分から突っ込んで行く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る