第150話
魔石の中に魔法陣が幾つも重なり魔力がこの世にある限り作動する魔力でできた生物のみを封印することが出来る魔道具『光の封印石』を持ちアルキアンとディーセの戦闘を見る。
出来たのはいいがソレをどうやってディーセに当てるかが問題なのだ。
コレを投げるにしても素体が魔石単体であり材質はガラスより固くない…つまりは衝撃に弱いのだ。
魔物や魔獣の核、心臓となっている時はその魔物の体内にある魔力と血液によってコーティングされている為衝撃に強くなっているらしいのだが外に出た魔石というのは本当に脆い。
人でも噛み砕けるほどだ…投げでもしたら砕けること間違い無いだろう。
本来の魔道具ならコレに外からの衝撃を守る箱とその中に魔力水で徹底的に壊れない様にするんだと思うが…時間が今は限られている状態だ。
そこまでしている余裕はない。
そんなことを考えているとアルキアンが黒炎を手に収束させると地面にそれを叩きつけ黒い炎で出来た大玉を生み出し後退してくる。
「ふぅぅぅ…ちょっと休憩」
そういうとアルキアンは腰をその場に下ろし纏っていた黒炎を引っ込めた。
黒炎を引っ込め地へと座ったアルキアンの顔はとても疲れたような顔をしており汗をかいていることが一目で分かる。
やはりこの黒炎を出すのは相当疲れることなのだろうか?
ところ変わってディーセはというとアルキアンが後退する時に放たれた大玉に呑み込まれておりディーセはどうにかそこから抜け出そうと足や腕、剣を使ってそこから抜けようとしているがその結果は虚しく抜けようとしたところから炎がまとわりついているのがわかった。
ディーセはそれでも炎の熱に耐えながら卑怯だと叫びながらも必死に掻き分けようともがく。
「あのままやってれば力尽きるんじゃないのアルキアン?」
そう私が尋ねるも彼は首を振り「それは無理だよ」と答える。
理由としてやはり力尽きるまで魔力が持たないらしい。
それにあのままほっとけば今はあの炎に慣れていないだけで少し経てば慣れて破られるだろうとのことだった。
「それよりも…アイツはどうやったら倒せるのかな?こういうのもなんだがアイツと僕のこの炎はあまり相性が良く無くてね…」
「…それだったら私が作ったこの魔道具がもしかしたら使えるかもしれないよ」
私は手に持っている魔道具をアルキアンに見せ説明をするとアルキアンはそれを使ってディーセを封印する作戦を練ることとした。
そうして数分が経ちディーセが炎を破ったことを皮切りにそれは決行されることとなった。
「アァァァァァァッ!この小癪な小僧どもめぇッ!だがコレで我を縛るものは何もない…命運尽きたようだなぁ」
「ハハハ…それはどうかな?それじゃあレナ行くよ?『憤怒の灯火』」
そうアルキアンが発して私が頷くと同時に彼の身体から黒い炎が湧き出し先程と同じ悪魔の様な姿へと変わっていきディーセへと突撃していく。
彼が下から上へと腕を振るえば地から黒い炎が湧き針の様な形状をしながらディーセへと迫っていくがディーセはソレを先程と同じく剣を振い掻き消す。
さて、それでは私は私ができることをしよう。
先程練った作戦で私は隙を見てディーセへと攻撃することが決まった。
とは言っても近接じゃ黒炎に巻き込まれてしまうため魔術の攻撃のみとなってしまうが…まぁ仕方のないことだろう。
はぁ…使う魔術は下手に使うとアルキアンごと巻き込んでしまうため限られた魔術しか使えないのも難点だ。
ここでおさらいだが相手は光属性…それにアルキアンは火を使っており自分が発した黒炎を操る能力も持ってるときた。
そのため光と水を使うのは避けた方がいいのだろうな。
となると使えるのは…ディーセの弱点とも言える闇属性の魔術と火属性の魔術ぐらいしか使えないだろう。
「まぁとりあえず…アルキアンに当てない様に気をつけないとな…魔法陣展開ッ!」
そう意気込み魔法陣を空中に展開していく。
座標を定め空中に何個もの魔法陣を…狙いは勿論ディーセのみを狙う為その魔法陣には『ホーミング』を仕込んでいる。
まぁその分消費するMPも多いんだが…出し惜しみは無しだ。
その数はおおよそ数百個もの魔法陣を展開したところでディーセがこちらを向く。
「貴様ァッ!何をしている!?」
やはりここまで展開するのは不味かったか。
アルキアンが発している魔力量を超えたせいでディーセがこちらの魔力に気づいたようだ。
だがそれは好機とも言える…何せこちらを向いたことでアルキアンがそこから離れることが出来るのだからな。
全魔法陣の威力を高める為…そして発射するための最終段階へと移行する。
並列思考を駆使し高速で頭で魔法陣を構築して空に描き展開していく。
ただただ展開するのでは無く発射位置から発射した後の着弾位置…そういう隅々まで目と魔力を駆使して空間を読み取っていく。
まぁホーミングの魔術を使っているからいらないかもだが念には念にをだ
どうやらディーセの方もマズいと思ったのか光の剣を大きな盾へと形を変えその鎧もより重装備な物に変化していく。
…これ以上守りを固められても困るしそろそろやりますか。
「目標設定完了ッ!穿てッ『発射』!」
私がそう言うと途端に空中に浮かぶ魔法陣が赤や黒色に染まりだし弾丸の様な速度で球が射出されていく。
それは一つではただのボールに過ぎないが百と重なれば一瞬ではあるが流星のような煌めきを持ち軌跡を残し空を駆ける星となる。
撃ちだされ効果を失った魔法陣は空に溶けその後ろに控える魔法陣が発動し空を駆ける球が撃ちだされる。
そうして撃ちだされ全てが効果を失い空に溶けた時…煙は晴れその奥から先ほどより光が薄くなったように見えるディーセの姿を確認できた。
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