第142話
獄炎舞により信仰者が燃えてゆき焼けた肉の匂いと吐瀉物のような不快な匂いをその場に残し灰となってしまった。
だがまだ私を襲おうとする魔の手は止まらなく前方から信仰者がメイスや剣を手にして走ってくる。
そのローブの奥から見える視線は血走っており正気ではないことが伺える。
だがさっきとは違うことが一つだけある。
それは囲まれているか否かだ。
幸いにも前方に騎士の姿は見えない。
まぁいたとしてもそれはコラテラルコラテラル仕方がのない犠牲である。
「魔法陣展開!竜喰ッ!」
足を一歩踏み出し心臓があった部分から足に魔力が流しイメージを描いて魔法陣を展開させる。
この竜喰も前よりちゃんと実物を参考にして形を変えて本物の竜のような仕上がりになった。
発動した魔法陣からは青白い光と共に竜の顔が出来上がり信仰者と地面を抉り耕しながら飲み込んでいく。
そうしてその場には身体が地中に埋まりあるいは衝撃で弾け飛んでだりして地中から手や首が出ており何とも痛々しい景色が広がっている。
だがこれでアルキアンがいる処刑台の元まで行く道を作ることはできた。
足を前に前にと歩き出す。
前に歩いている間に目の前に全身をぶるぶると振るわせこちらでもわかるぐらいに顔を真っ青にした信仰者が剣を向け発狂し恐怖をかき消そうと叫び向かってくるが膝にナイフの刃を射出して転ばす。
「…そんなにも恐れているいるのなら最初から行動しなければいいのに」
「う、うるさいこの化け物めがッ!」
言うと言い返してくる…なんだまだ正気じゃん。
「まぁいいや」と私はそう呟きナイフの刃を強引に肉体から武器の元々の能力を使用して回収する。
肉体からナイフが取れた張本人は嬉しいのか何なのか分からないが声を上げ赤色の水をその場に滴らせた。
私に向かってきた信仰者はこちらを目を赤くしながら睨みつけてくる。
だが私からすると感謝して欲しいと感じる。
何せ無駄な命を散らさなくて済んだのだから…それにもうこれで戦闘には参加できない。
「そういえば…失血死のことは考えてなかったわ」
そんなことは奴らの味方がどうにかするだろう。
…まぁそのまま切り捨てられるかもしれんがそれも運命だということだろう。
さて、それはそうと私が次に相手するのは…。
「待て…貴様何奴?ここから先は聖戦の最中だ。御引き取り願おう」
私が処刑台に近づいたことにより処刑台から3人の信仰者が降りてきた。
その先に視線を向けると純白に煌めく光の翼をはためかせ空から光弾を放つディーセとそれに対して地上から赤黒いまさに黒炎と言える炎を身体に纏い一言で表すなら悪魔のような姿で対峙している。
それでこの3人はでディーセが天使化した時最も近くにいた中のちょっと周りとは違う格好をした言うなれば隊長格と言ったところだろうか。
だったらコイツらを倒したらアルキアンもディーセを倒すのに専念できるってわけだな。
「どく気はない…ここは通してもらう」
「その強がり、気の強さ、気概は正に傲慢。己の実力すら理解せぬ愚か者よ…今すぐ自害せよ。せぬならばこの天使様にお仕えし直々に教育を受けた衆者『厳格』が葬ってやろう」
口を歪めながらそう言い放たれると共に身体は動き出す。
「自害だと…するわけないだろ」とそんな想いを込め足蹴りを喰らわせる。
私のその咄嗟の行動を見て隣にいた怒り顔のお面と泣き顔のお面を被った信仰者が防ごうとしてくるが…私の身体は今身体強化が入った状態だ。
生身で受け身も取らずましてや誰かを守りながら受けたら…タダでは済まない。
直撃した足に衝撃が走り信仰者3人はいとも簡単に吹き飛んでゆく。
油断大敵…前口上なんてものは本当に勝つ自信があるやつがやることだ。
追撃と言わんばかりに魔力を込めて空に魔法陣を描く。
あれで死んだとは思っていない…攻撃は与えたとはいえ直撃を受けたのは1人のみそれ以外の口上を述べてた野郎と怒り顔の仮面をつけてた野郎は直撃は喰らっていない。
「追撃を喰らいな…魔法陣展開…魔砲!」
空に3つの魔法陣が出来上がりそれぞれが極光を放つ純粋な魔力のレーザーが放たれる。
蹴りの吹き飛ばしにより舞った土埃を貫きその中にいるはずの信仰者へと注がれる。
目指すところは全て同じ場所防げるものなら防いで見ろというものだ。
私は油断をしない。
これで倒せなかったら次の策を考えるまでそれでも倒せなければ次の策を投じる。
私の手にはすでに次の策である魔法陣が展開されつつある。
そんな中だった…火の玉がこちらに向かって飛んできたので咄嗟に魔法陣を破棄して避けに徹した。
その後ろで爆音と言えるまでの爆発音と悲鳴。
攻撃がきた場所は当然土埃の中からだった。
「ふむ…『悲観』の骨が折れてしまったか…それに『激怒』これ以上罪を重ねるでない我々は『改心』の施しを天使様からお受け致した存在なのですから」
土埃を払いながら『厳格』共が姿を出した。
『悲観』と呼ばれていた信仰者は腕の骨が折れたそうで腕をプラーンと力無く下げているがそれ以外の者は全くの無傷であった。
奴らの周りには薄い膜のようなものが貼られておりそれにより防御をしたようだった。
「さぁ攻撃をした報復を受けてもらいましょうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます