第97話
とある夢を見た。
それはあまりにもはっきりと夢だということがわかりなんとも気持ち悪い感覚が常に自分の頭の中を回るような感覚がする空間。
そんなところに私という意識はあった。
周りを見ると一面にまるで比喩するとするならば天国のような雲がまさに地面のようになっている空間が広がっておりそこでは何人何体もの人や動物の形をした異形の者達が何かを話し合っている。
その集まりの中心にいるのは6人の男女がおりその1人の女…容姿端麗で白金の髪を持つ笑顔の女に向かって怒鳴っている状況みたいだった。
あくまでもこれは夢…声は聞こえない、がその表情、気迫が目で見える限りでは怒っている激怒しているということは明らかだ。
そして視界が暗転し場面は変わる。
「こ、これは…?」
その光景に目が点になりそんな言葉が口からこぼれる。
楽園のような光景は無くなり地面となっていた雲にはきれいに断裂されている部分や焼けた痕が残りこれまであっただろう戦闘の痕跡をはっきりと残していた。
その中心には言い争いになっていた白金の髪を持つ女が1人…その顔はどこまでも欲深い笑みを浮かべながら天に手を広げまるで何かを手に入れその感傷に浸るかのように…口を三日月になるまで開け笑っていた。
その光景を最後に視界が歪み現実へと戻される。
先ほどまでの夢はなんだったのだろうか?
そんな思考が頭を巡るが私はそんなこと考えても時間の無駄だと頭の端っこの方へと追いやり今目の前のことを考えることとした。
今まさに私の目の前ではさっきまで禁忌魔術で殺したというよりかは封印したはずのバフォメルが玉座のような物に座りながら顎に手をつけながらこちらを凝視している。
《フムフム…今回の遊戯は中々に満足したぞ人間よ。どれ、では褒美でも我直々に渡してやろうではないか?》
そうバフォメルがこちらを凝視しながら嘲笑うかのようにこちらに語りかけてきた。
…いや見た目はあんな感じだが実際は普通に笑っているのだろうか?
正直なところ判断材料が目や表情があまり動かないせいで口元ぐらいしか判断ができないせいで笑っているぐらいしかわからないから普通に笑っているのかも怪しいが…。
にしても褒美か…。
今私が欲しいもの…まぁいっぱいあるがここはどうすればいいのだろうか。
伝説級いや神獣っていうぐらいだし神遺物級の物ぐらいは所持しているかもだからそれをもらうか?
いやいやここは慎重に考えて知識でももらうか…いや神獣だからそれこそ何百年もの知識が頭に流れたら流石に壊れてしまうか?
《フムフム…貴様はこう真面目に見てみると色々なモノが混じっているなぁ…それと今貴様が考えていることぐらい我でも分かるぞ?貴様だったら普通の人間ではないから余裕で耐えるだろうな》
そうバフォメルは手を横に振り私が結論を出した考えを切り捨てた。
というか私の考え普通に読めるんですね神獣さん…。
ということは考えて戦っていた私は実はバフォメルからすればクッソわかりやすい戦いだったということでは!?
なんだかんだで悩むこと数十分が経過…まぁ途中からバフォメルが思考を盗聴して結局私とバフォメルが考えた褒美は以下の通りとなった。
まず一つ目にこれ以上の進化をするための知識を教えてもらうこと。
これは盗聴してきたバフォメルがサラッと言ったことだがなんとこの世界ではLvをMaxまで上げるととある手段を使うことで上位種族へと進化することが可能らしいのだ。
どこまで行ってもこの世界は本当にゲームのような世界だと今更実感したぜ。
んで二つ目に魔術の知識を教えてもらうこと。
これは条件があり私の持つ魔術に関する知識をバフォメルに教えるということが条件となっている。
なんでもバフォメルが使っている魔術は正に古代も古代、大昔に開発され使っている魔法陣しかないから新しく作られたここ最近の魔術の情報が全くないとのこと。
まぁそんなんでバフォメルが使っていた魔術の神髄を得ることができるんだから安い話だ。
そして最後に三つ目として闇の神獣としての加護をくれるとのこと。
これには理由があり最近闇の神の信仰が薄れてきたからというのが加護をくれる理由らしい。
この頃は神としての存在を保つための信仰をしてくれる人が年々少なくなり今では百もいないとのことでこれ以上いなくなると神獣としての存在も危うくなる為加護を授けて強制的に信徒にして信仰させるとのこと。
まぁこっちとしては今の今まで無神教だったし別にこれといって偏見も特にないし別に信徒になったところで「あっ…ふーん」てなぐらいどうでも良いことだったんで受け入れた。
こっちに不利益なこと一つもない良い契約ができたぜ。
まぁそんなこんなで私は『進化の知識』『魔術の知識』『闇の神獣の加護』というラノベの最初でもらうようなチート能力とも言えるモノを手に入れたというわけだ。
《フムフム…では我の知識と加護を与えるぞ?ちっと眩暈が来ると思うがまぁ一瞬だ。許せ》
そう言いバフォメルは私に向かって手を翳し何かを呟いたあとバフォメルの指先が光を放ちその光が私の身体を包み込み目の前がまた歪んだ。
そうして私はバフォメルから知識と加護を貰い受けた。
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