第95話
目の前に映る空に映る幾多の魔法陣を見て即座に頭を働かせこちらも魔法陣を展開する。
相手の魔法陣はおそらくというか確実にこちらに向かって降り注ぐ系の魔術。
なら守りに徹するのが正解だろうか?
「魔法陣展開ッ!守護結界!」
私は自分を守るように守護結界を展開すると同時に相手の魔法陣が起動し星の輝きのように見える光量を持つ光の弾が空から降り注いだ。
一撃一撃はどうやらそこまで威力はないようだが…まるでマシンガンのようにそれが降り注いでいるお陰で守護結界がこうして考えている間にもボロボロになって崩れていく。
そしてこの光景を見ているバフォメルという奴はこちらをじっと見ながら次の魔法陣を展開し始めていた。
次に来る攻撃はなんだろうか?
まだ情報が少ないせいでわからないが…自分がこの状況だったらどうするかを考えながら行動した方が相手の攻撃は避けれそうだな。
だったら次は直線上の攻撃か?
《フム、それを耐えるか?だったらコレはどう耐える?》
そうバフォメルはそう言い魔法陣を起動する。
そこから放たれたのは極太の光線…そして今まで規則的に降り注いでいた光の球は不規則に降るようになり地面に当たった瞬間跳ね返るように違う方向に飛んでいく。
目に映るだけでも光の弾が百は超えている状況だ…目の前からは光線が来てしかもどこから来るかもわからない弾が飛んでくる…どうすれば被弾せずに行くことができるだろうか?
まずはこの光線を避けることから始めるべきか。
足に力を入れて体内の魔力を動かし身体強化を施すと共にその場から逃れる。
…光線の持続時間は5秒程度そしてバフォメルがそれを展開する時間は1秒以下。
しかもコレがバフォメルの本気では無いことを考慮するとかなりヤバい状況だ。
だったらコレを覆すには…。
「魔法陣展開…『上級悪魔召喚』&『上級天使召喚』そしてッ!魔法陣展開『上級合成召喚術』起動!来い天魔!」
私はこの状況を変える為に悪魔と天使を召喚し即座に合成召喚術で天魔にする。
合成召喚術は悪魔や天使をベースに物と合成することでそれに見合った物を召喚するという術だ。
一応これらの魔法陣は紙に写して普通に使えるのだがやはりスキルの補正がない為か、かなりのMPを消費するという結果が出ている。
そして今回合成で召喚したのは悪魔をベースとして天使を素材にした場合に召喚される天魔。
天魔は物理に最も優れており闇の魔法を主に使う奴だ。
戦力的にはおそらくAランク以上のやつでも互角以上に戦える能力があると見込んでいる。
逆に天使をベースにして悪魔を素材にするとみんなが大好きな堕天使という存在が出来上がる。
まぁそんなことは今はどうでも良いか。
私が召喚した天魔は悪魔を動かすような代償が必要ない。
天魔は性格が荒々しく戦闘狂…みたいな感じだから勝手に敵に突っ込んでいく…まぁそのおかげでこちらからの連携や指示が全く通らないんだが。
ま、まぁこれで天魔は敵に突っ込んで行くからバフォメルはこちらを気にして魔法陣を展開することができなくなったはずだ。
この隙に私がやることは一つ…それはあの浮かんでいる魔法陣を壊すことだ。
実は魔法陣にはある弱点というものがある。
まぁわかりやすいものではあるがそれをするにはどうするべきかというのが悩みどころである方法だ。
それは魔法陣に違う文字を追加するというものだ。
魔法陣は記号や文字で構成されて初めて効果が現実に発生される現象…つまりは魔法陣は記号や文字が一つでも違っていれば違う効果になったりそもそも発動することがなくなってしまう精密機械のようなものなのである。
その精密機械に不要な物が紛れ込んだらどうなるだろうか?
「正解は…壊れる」
そう呟き私は空に手を翳し一つの魔法陣に標準を合わせ魔力を放つ。
普通だったら無属性の攻撃にもならないなんの意味のない行動になってしまうのだが…魔術相手だとまたこれが違ってくる。
空に浮かぶ魔法陣に当たった瞬間徐々に光を失い遂にはその光は完全に無くなりそのまま塵となり空中で分解されていった。
それを見て私は次々と空に浮かぶ魔法陣に標準を合わせ縦横無尽に飛んで行く光の弾に当たりながらも効力を失わさせそして全ての魔法陣を破壊することが成功した。
《ほぅ…魔術の知識があるのか…もう失われた技術だと思っていたのだがまだこの狂った世界にも伝承者がいたとはな》
その声の方向に目を向ける。
そこには天魔と戦っているはずのバフォメルの姿があった。
バフォメルは私が放った天魔の頭を鷲掴みしながらこちらの方を向いて嘲笑うように笑っておりそしてその手に持つ天魔の頭を塵に帰しこちらに話しかけてきた。
《だが、まだ満足ではないなぁ…》
そう言うとバフォメルは空間を覆うような魔法陣を展開しソレを発動させる。
それはあまりにも一瞬の出来事で思わず呆けながらその光景を目に焼き付けてしまった。
宇宙のような空間そのものが動き歪み無数の土が空間に作られ重力が無くなり自分の身が浮かび上がり気温が急激に下がり呼吸ができなくなっていく。
それはまるでこの空間そのものが本物の宇宙になるかのように作り替えられていくかのようだった。
《これが魔術の神髄…それは限定的な空間の創造なり…では足掻いて見せよ現代の魔術師よ》
空間にどこからともなく土が集まり空中に浮かび上がった星のような土塊は緑色に覆われ分離しそこから違う星へと変貌を遂げる。
ある星は炎で覆われある星は氷となりある星は水が湧き出る。
そうして出来上がった星はその数を増やしてながら分離していき気づく頃には世界が出来上がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます