第85話

そうして私たちは休憩へと入った。

休憩といってもここはダンジョンなので警戒体制はしている。

私的に今日は流石に5層だけでもよかったんじゃないかと思う。

何しろ階層が深くなるごとにゴブリンとかの魔物の強さは増すし初心者にはここら辺の敵になるとキツイだろうし今日は上の階層でレベル上げを行えばよかったと思うんだがなぁ…。


話題はそれるがやはり下の階層になるごとに見える魔素の量が増えていっている。

んでこのことからダンジョンには前世の小説の内容と同じく核となる物があってそれが周囲の魔素を吸収することで成長し地上の魔素の量というか濃度みたいのがが著しく低下する感じだと推測できるかな。

それで魔素がダンジョンに吸い込まれる最中に魔物とかに影響して強化されているってことになるのかな?


まだ魔素の量とか濃度が高いと人体にどのような影響があるのかよくわかっていないが…まぁだからこそ研究のしがいがあるというものか。

魔素には解明されていない謎というのが多いからこそ世界が違う私からしたら不安であるがこれが普通となっている現地の人からはまず疑問にもならないから研究が進んでいないんだろうなぁ。

まぁこの世界は魔法とスキルという便利なものがあるから研究により生まれた科学というものが生まれなかったわけだし…いやもしかすると変わり者の研究者の論文を漁れば誰にも見向きもされなかったことが書かれているかも知れんが。


「解明出来ればなぁ…」


私はそんな風に悩みながら思考を巡らせ休憩を取る。

…まずそこまで疲れていないから休憩もいらないんだがな。

そうして時間が経つこと10分が経過し私たちは階層主へと挑戦することになった。


「では…行くよッ!ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…」


そう言ってヨグは前回同様重たそうな鉄でできた両開きの扉を開けようと必死に押す…がダメ。

相変わらずと言ったところだろうか?

いや前回よりかは扉が開いてはいるが2分粘って開いた幅はたったの1cm前後。

これを開く頃には休憩よりも長い時間待たなきゃいけなくなるので私は両開きの片側の扉を押し開けた。


そこは真っ暗な闇が広がっており中央に青白く怪しく光る二つの人型がいた。

一体は青く燃える剣の形をした物を片手に持ちもう一体はハルバードという戦斧と剣が組み合わさったような武器を持ちその場で立っている。


私たちは休憩中にここにいる階層主の特徴を確かめ合い作戦を立てた。

ここの階層主はツインゴーストというここダンジョン10層の階層主であり探索者からは『勢い潰し』と言われゴーストが変異した魔物で解明はされていないが何故か分裂し片方が魔法などで死んでも復活してくるという不死性を獲得したが逆に幽体が身体を持ったことによりゴーストの時にあった物理攻撃無効が無くなった魔物だ。

一説にはゴーストがスライムに憑依したおかげでこのような能力を獲得したとされているが真偽は不明であるらしい。

攻略方法としては弱点とされている身体のどこかにある魔石を二体同時に壊すなどの方法がある。 


さて、ここで今回の作戦を確認しようと思う。

まず初心者二人組は後ろで後方支援。

そしてヨグが剣を持つゴーストの相手をしてもう片方のハルバードを持つゴーストを私が相手する。

んで瀕死状態に持っていったら二体を近づけて同時に倒すというのが今回の安直な作戦だ。


まぁこんなことするより部屋に入った瞬間に最大威力の魔術を二体にぶっぱして倒すってのが一番効率がいい戦い方だと思うんだが…。

ヨグのためにもならんし今回はこういう作戦に乗って戦うかな。


「行くぞッ!」


ヨグの声と共に足を前に出し階層主の部屋に入る。

その瞬間ツインリビングデッドの目が光りこちらを向き二体とも一直線に愚直に槍を構えて突進してくるヨグに向かってそれぞれの武器を振り下げようとするがヨグが急停止したことによりその武器達はからぶった。

するとヨグはもう一度突進をかまし剣を持つゴーストを槍を使い薙ぎ飛ばし交戦が始まった。


私はというとヨグが薙ぎ飛ばしたことを見てから走り出し思いハルバードを未だ地面から抜けていないゴーストの顔面に向かって飛び蹴りを喰らわせだ後そのままゴーストの身体踏みながら顎に向かって回し蹴りを喰らわせノックアウトさせる。

全く…物理無効があればこんな攻撃喰らわなくてすむのになぜコイツらは物理が入るように変異したのか…。


今回は魔力が十分にあり余裕がある。

そして戦っているゴーストは一撃が重い武器を持っているからあまり機敏に動けないし人間でもないから武術というのも使ってこない。

それに魔物だからか武器にしか目がいっていないせいで自分の持つ身体を使うこともしてこない。


つまりコイツらは武器を持っているから武器で戦う方法しか知らないせいで体術を使ってこないんだ。

これほど簡単な敵というのはそうそういない。

ということでそろそろコイツとの戦闘は終了にしようと思う。


シンボルは雷にして指を動かし魔法陣を描いていく。

まぁコイツが状態異常にならなかったら少々めんどいことになるが…まぁその時はその時か。


「魔法陣展開!スタンボルトッ!」


魔法陣がゴーストに向けている手の前に光を放ちながら構築されていく。

そうして青白い光が視界を包み閃光が走りゴースト目掛けて飛んでゆく。

これでコイツはスタンボルトが身体に直撃したおかげで思うように動けず痺れたせいで動けない。

後はコイツの身体を虚空庫の中にあるロープで縛り動けなくした後タイミングで二体同時に魔石を潰せばチェックメイトである。


「後はヨグだけか」

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