第80話

探索者ギルドからの帰り道、宿は取り終わり夕方となり他の探索者たちもギルドへと報告する者や買い物をする人で外は賑わいだした頃そんな中私という人間は早速ギルドで覚えた新技術である魔導士の基礎を参考に新しい魔術を構築する方法を思考していた。


覚えた魔導師の基礎は魔石に魔法陣や魔法を封じ込め所謂ヨグがダンジョンの時に使っていた魔法玉を作る製法やその魔法玉を魔道具の型に設置してそこから魔力回路を作り魔道具にする作業方法などだ。

この魔導士の上位と称されている技術によると一瞬にして家や王城を建てることができる魔道具や遠くの人と会話ができる魔道具を作成できるらしい。

割とこの世界の上位にいる魔導士は現代技術にも勝る技術力がありそうだ。


さて、そういうわけで今私はその技術を活用して新しい魔術の開発を行なっているというわけだ。

うまくいけば大幅な消費MPの削減ができると考えている。


魔法陣は魔術師本来の技術を使って構築して発動する時は魔導士の技術である魔道具から発射する感じ…そのためには道具自体が必要になるな。

まぁそこら辺は虚空庫に入っている物を融解して形だけ作ればどうにかなるかな?

それが出来れば今まで作ったが使わなかった魔術が使えるかもしれないな。


考える感じだと銃の形や大砲の形が一番適した形になるかな?

銃身の一番深い場所に魔法陣を最初から描いて奥から発射口にかけて魔力回路を書いて魔術の強化を行いそこから発射する感じだな。

コレだったらいつも使わなかった精度の良くない魔術が真っ直ぐ飛んで使えるようになるしいちいち魔法陣を構築しなくて済むからMPの削減にもつながる。

欠点としては…一つの魔術しか使えないというところかな?


「ってもうこんな時間か」


私はひと段落ついたことにより窓の外を見ると空は暗く染まり街中は家の光が輝いていた。

やっぱり何かに没頭すると時間があっという間に過ぎ去ってしまうな。


「久しぶりに飯屋にでも行ってなんか食べてくるか」


そう私は言い放ち立ち上がり階段を下り宿の主人がやっている飯屋の席へとつき注文を行った。

今日の晩御飯はパンとホーンラビットの炙り焼きという物を頼んだ。

最近は『飽食の胃袋』から取り出したものばっかり食べていたからこういう店で食べるというのは久しぶりに思えるな。


「アイヨッ!おまちどうさまッ!…にしても今日は朝からいつより食べに来る客が多いなぁ」


そんな風に私が待っていること数分。

ここの宿の看板娘であろう人が私の食事を運んできた。

見た目は普通のパンだしホーンラビットの炙り焼きは切り分けられており表面が炙られており中心はレアみたいな感じでとても美味しそうに見える。

後は味だが…。


「ッ!」


このホーンラビットの炙り焼きの味は美味しいの一言に尽きるな!

何とも鳥の味に近い感じがする。

んで後残るはパンなのだが…。


…知ってた。

何というか前世で昔に食べたドイツパンに似ているかなぁ?

とても酸っぱく匂いも普通のやつより少し変に感じる。

あれは確かライ麦のサワー種というのがどうたらこうたらで酸っぱいんだったか?

少し曖昧だがその味に似て酸っぱいなこのパン。

コレは肉と一緒に食べるのが正解なのだろうか…それとも一緒に食べないのが正解なのか…だが肉の味を落としたくはないしなぁ。


そんなことを考えながら黙々と食べていると「きゃぁッ!」という声が聞こえその声がした方へと視線を向けた。

そこには何ということでしょう大男がさっきいた看板娘を囲んでいるではありませんか…なんというかラノベ定番のお決まりごとみたいになってんな。

周りの客はその大男を見て硬直しているしコレは誰も止めない感じかな?


「やめろッ!」


私たちがその場でその様子を見ていると威勢の良い声がその場に広がった。

そちらを見るとなんということでしょう…ヨグがいるではありませんか。

ヨグは看板娘のところまで駆け寄ると手を取りその大男と話をしだした。

まぁ結構距離が遠いからその会話はこちらまで届かないんだけどね。


そうして会話が終わったようでヨグが離れようとしたその時大男はヨグに向かって大ぶりに手を上げ叩き落とす…がそれをヨグは避けた!

これには思わず私も「えぇ」っていう声が出ましたな。

そんな危機察知能力があったんならレアモンスターの時も発揮して欲しかったぜ。

そうして最後にヨグが瞬間移動したかのように大男のリーダー的存在の後ろを取り拳で気絶させKO!

大男はリーダー的存在を心配し周りは盛り上がりヨグは看板娘に感謝を言われる。


「なんだこの茶番?…主人公かよ?」


そんな言葉が口から溢れるくらいよくある茶番劇だった。

まぁ私は食べ終わったし帰って寝ることにしようかな?


そう思い私は食器を盛り上げる中でもかも当然かのように料理を作る宿の主の所へ置き階段を上がり自分の部屋へと入っていき置いてあるベッドに身体を預け目を閉じた。

その日は下の方から雄叫びやら大声が聞こえ少し寝るのに手間がかかった。

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