第60話
私はフロストワイバーンを倒した後、門を通り冒険者ギルドへと帰還して虚空庫に入っていたフロストワイバーンをギルドに売った。
フロストワイバーンは色々なところが優秀な素材にできる。
鱗、牙はCランク級の装備に加工でき肉は貴族にも食べられるているくらいに高級食材となり内蔵と尻尾の毒針は錬金素材となる。
私は冒険者ギルドでフロストワイバーンを売った後帰ろうとしていた。
だが今の時間は1時。
今帰ったところで引きこもることぐらいしかやることがないし研究することも今はこれといってない。
私は何をしようか悩みながら『飽食の胃袋』に手を入れて食べ物を適当に取り出して仮面をずらして口に入れる。
今回出てきたのはおにぎり。
『飽食の胃袋』は自分の記憶の中にある食べ物もランダムに取り出せるらしく日本の料理も取り出せるため非常に便利だ。
私はこの世界の料理があまり口に合わないため食事の8割ぐらいはこの袋に頼った生活をしている。
そのおかげで消費するお金より稼いだお金の方が多くなってしまいお金は溜まっていく一方だ。
そんなこんなで私が今から何をしようか考えているとギルド職員の人からお呼び出しを受けた。
「すみませんレナさん。あなたに指名依頼が入っていますので受けてくれませんか?」
そう言われて私はびっくりした。
指名依頼はよく貴族が高ランクの冒険者に対して依頼を指定して受けさせる依頼だ。
その依頼の報酬金額は普通の依頼の2倍ぐらいにも跳ね上がる。
そんな依頼をまだ高ランクとは言いづらい私に依頼されるということは少し異例の依頼となっている。
「依頼を出したお方はこの街の領主様の御子息様。依頼内容はとりあえず友達としてきて欲しいとのことです」
そう言われて私は「なるほど」と納得した。
アルキアンとは友達だと前に約束した。
だから貴族としての命令ではなく友達としてきて欲しいと言われているのだと納得した。
まぁ正直言って面倒だが行くしかないだろう。
私は冒険者でアルキアンは貴族。
冒険者で庶民である私から貴族が断れたらあっちのメンツも悪くなってしまうから私は行くしか選択肢はないのだろうね。
「…了解」
私はそう小さく呟く。
ギルド職員は私が呟いたと同時に指定時間や指定場所を話し出した。
指定時間は鐘のなる頃で指定場所はあの時起き上がった部屋とのこと。
…なんとなくは理解ができた。
この街の鐘は朝の4時と昼の12時と夜の9時頃に鐘が鳴らされる。
ということで指定時間は9時頃に行けばいいということだろう。
んであの時起き上がった部屋はあいつを助けて起き上がった部屋だから客室に行けばいいんじゃないだろうか。
まぁ今日の夜は退屈しなさそうである。
「これ前金だそうです。…頑張ってくださいね?」
ギルド職員は私のことを応援した後に前金を渡してきた。
前金は金貨100枚。
軽く私が今日稼いだ金額を超えてしまった。
というかこんなにお金が支払われるということはかなりやばい依頼なのではないだろうか?
そうと決まれば入りそうなものを揃えてくるか。
といってもそんなに揃えるものなんてないんだがね。
私は冒険者ギルドを出て商業区に移動して野営などで便利そうな道具を買い集めた。
テントやポーションなど色々だ。
にしてもマナポーションというのはやっぱり高い。
一つだけで金貨1枚もする。
まぁこれによって魔術を乱射できるようになった。
それを活用できることがないことが一番だけど。
テントやポーションを買い集めて数時間が経過した。
今の時間は4時ぐらいになってしまっただろうか?
陽が少しずつ傾いていき人通りも少しずつ少なくなってきているようになっている。
にしてもそろそろ陽の光がなくなるから寒くなってしまう。
やっぱり防寒具も必要だろうか?
いつも夜になると気温が下がりまくって布団にくるまらないと生きていけないほどになってしまうからな。
重ね着みたいなやつが必要になるだろう。
…少女買い物中…
「ふぅこんなもんかな?一応必要そうなのは買ったし着替えとかも買い揃えたからこれで準備は十分だと思うんだが」
今の時刻は8時30分ぐらい。
もう陽は落ち月が上に出てきている。
今まで外に出ていた屋台はすっかり店じまいしてしまい外で遊んでいた子供たちも帰宅してしまった。
「そろそろ仕事の時間か…」
私は気配操作を駆使して自分の気配をできるだけ薄くする。
そうして俺は走り出した。
ここからは友達として俺という一人称を使っていくことにしよう。
これから行くところは俺を使っても誰も叱らないからね。
気軽に行くこととしようではないか。
走り続け時に家の屋根を走り路地裏を抜け俺はようやく領主の館の客室にたどり着いた。
いや正確には忍び込んだが正解かな?
なんとなくだがここの兵士は気が立っているような気がしたし見つかったらやばいと直感で思ったため見つからないように忍び込んだがこれでよかったのだろうか?
…そろそろ鐘が鳴る頃だからここで待っていればアルキアンが来るはずだが。
そんな風に考えていると部屋のドアが静かに音を立てて開いた。
俺は顔を上げてその方向を向く。
そこにいたのはプラチナの髪を持ち一方に翡翠色の瞳もう一方に水色の瞳を持つ少年がそこに立っていた。
「やぁレナ。こんばんは…久しぶりだね?」
そう言ってアルキアンは笑みを浮かべていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます