第31話
明るい陽光が肌を照りつけるなか街を歩く。
まぁ俺はローブを着てフードも被って仮面もつけているから肌なんか照りつけることなんてないんだが。
さて俺一推しの店に行くとしますかね。
「おっちゃんおっちゃん、串を2本くれ」
「おっ?お前さんか、あいよ銅貨4枚だ」
「ん、ほい」
「まいどあり~また来いよ」
「うん」
ふふふ、ここの串焼きはマジで美味い。
そしてここら辺の店の飯は何かが足りない。
やはり文明が違うからかねぇ味が前世と全く違うんだよな。
いや別にこの世界の飯がまずいというわけではないんだがなんつぅか旨味が足りないと言いますか。
うん…まぁこの串焼きは美味いというわけだな。
銅貨はこれであと2枚か。
両替えってこの世界にもあるのかな?
「はぁ~美味いんじゃ~」
…幼女食事中…
ふぅ食べ終わったことだしそろそろ買い物しながら移動しますか。
今回は商人の護衛だ。
行き先は確か王都『イードラ』という名前だった筈だ。
なんでもその昔、始まりの王が豊穣の女神だったからその名前から取ってこの名前になったそうだ。
んーと何が必要だ?
保存食としてジャーキーと穀物をすりつぶして固めたパンみたいなやつと水の入った革袋。
あとは、寝袋とか衣服とかかな?
まぁ今までは金があまりなかったから服まで手がつけられなかっただけで普通に衣服は欲しいし。
っと早くしないと集合時間に間に合わなくなっちまうな。
速く買ってくるとしますか。
…幼女買い物中…
よしこんなもんかな?
今の時間は大体12時ぐらいだな。
では門に行くとしますかね。
門の近くまで近づくと護衛する商人の馬車が見えてくる。
そしてそれを引いているのは馬…じゃないな。
なんだあれは?
狼のような見た目だが大きさは普通の狼の何倍もあり毛色が赤い。
どう見ても魔物だ。
とりあえず今回の依頼人の商人に挨拶でもしてくるかな。
「こ、こんにちは」
「あぁ今回参加してくれる冒険者の方だね」
「はい。Fランク冒険者のレナです。よろしくお願いしますです」
「はい。よろしくお願いしますね?私はエルペス。しがない旅商人ですよ」
そういいお辞儀をしてくれた。
商人のエルペスさんとそのまま待ち続けること数分後、今回一緒に依頼を受ける他の冒険者が来た。
「こんにちは!Cランク冒険者パーティの『ドラゴニア』です!」
「はい。よろしくねぇ。まだパーティが揃ってはいないですが時間ですのでそろそろ出発しますか」
そうエルペスさんが言うと馬車?というか狼車に乗り込んだ。
俺達も狼車に乗り込みいよいよ出発しようとした時だった。
後ろからこちらを呼び止める声がした。
「ちょっと待ってくれぇー!」
そういい防具を着た3人の男女が来た。
もしかしてエルペスさんが言っていた揃っていないパーティの人だろうか?
「はぁはぁ俺達はEランク冒険者パーティの『暴力装置』だ」
そういうと狼車に乗り込もうとするが『ドラゴニア』の大柄の身体を持つ剣士だろう男性に押し出され外へと出される。
『暴力装置』の面々は「イッテェな!」とか言いそのまま剣を抜こうとするが商人のエルペスさんに押さえ込まれてしまった。
「貴方達、今何をしようとしましたか?剣を抜こうとしましたか?…立派なギルド法違反ですねぇ」
そうエルペスさんが言うと『ドラゴニア』の人達も狼車から出てきて怖い顔をしながら『暴力装置』の所へと詰め寄る。
ギルド法、それは冒険者ギルドに所属する者全員が守らなければいけないルール。
今目の前で起きたのはギルド法第26条の内の第2条。
『街の中では緊急事態で無い限り絶対に武器を抜いてはいけない』というルールがある。
もしも守らなかったら…まぁそこは考えなくても分かりきったことだろう。
当然除名だ。
そしてそのまま『暴力装置』は近くにいた門番の人に縄で縛られてギルドへと連行されていった。
全く馬鹿なことをする奴らだ。
普通依頼には遅れてはいけない。
しかも依頼主になんの挨拶もなしに狼車に乗り込もうとするなんて…。
「レナさんすいませんね?こういうことが起きてしまい…怖かったでしょう?」
「い、いえ大丈夫です。それより力になれなくてすみませんでした」
そういうとエルペスさんは俺が謝罪を述べた後「いえいえ」と言いながら前の方に行った。
俺は静かに肩を下ろし自分の座っている所を座り直した。
すると『ドラゴニア』の大柄の身体の男性がこちらへ来た。
「おう。俺は『ドラゴニア』の剣士のローガンだ。あー少年?さっきはすまなかったな。あぁいう奴はたまにいやがるんだよ。全く迷惑な話だ」
そういうとローガンさんは俺の横へ腰を下ろした。
そして全員狼車に乗ったことを確認し狼車はようやくこの街、レインバード領のレイン街を出た。
ところで本当にエルペスさんに護衛なんているか?
普通に『暴力装置』の人を組み伏せていたし俺がいても意味がないと思うんだが。
「まぁいいか」
「ん?なんか言ったか?少年?」
「あ、いえなんでもないです」
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