第28話
「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅはぁぁぁ」
いやーいい天気だ。
空気もおいしい。
ではそろそろ薬草を探しにいきましょうかね。
そうして俺は草原へと足を進めた。
見回す限り草ばかり。
スライム少々、雑草いっぱい、薬草そこそこ。
森はここから数百メートルくらいの距離にある。
なかなかいい立地だ。
「えーと確か5本で1束だったな。んじゃ早速取ってきますか」
薬草のところまで行き茎を折りちぎる。
どうやら薬草というのは根さえ残っていればすぐ生えるらしい。
この話はさっき通ってきた優しい門番の人から聞いた。
ちなみに薬草の正式名称は『イヤシソウ』というらしい。
草の生える場所だったらどこでも生えるらしい。
なお、『イヤシソウ』は供給が少なく街では売っている数がとてつもなく少ないらしい。
理由としては下級の冒険者が薬草採取を行わず魔獣や魔物の討伐に行くから薬草の数は減っていく一方らしい。
欲しければ依頼する。
だが冒険者はそれを受けない。
ならどうするか?
自分で採取に行き薬草を取ってくるしかない。
だが外は魔物がいるかもしれない。
というサイクルになってしまっているというわけだ。
だから出来るだけ持っていく方が報酬は多くなる。
「このくらいでいいかな?」
そんな風に考えながら採取すること数時間。
俺の『虚空庫』の中には50束の薬草が入っている。
いやぁこんな風に考えながら作業するというのはつい時間を忘れて作業してしまうな。
そろそろ戻ることにしますかね。
「ん?あれは…スライムか」
ちょっとだけ戦闘していくか。
久しぶりなようで実は久しぶりじゃないんだよな。
特に最近は1日1日の内容が濃いからなぁ。
「魔法陣展開…『ウィンドボール』」
魔法陣から放たれる薄緑色の弾はスライムを貫き地面に当たり霧散していく。
そうして貫かれたスライムは身体の核を失い地面へと溶けていく。
地面には1つの魔石を残しながら。
どうでもいいがスライムが地面へと溶けていく様子はどことなくナメクジ…いやなんでもない。
「…魔石って美味しそう」
…ッはっ!?
俺は今何を考えていたんだ?
魔石なんて食べ物じゃないしましてや種類的には石だから食べれるわけ無いよ!
だけど…美味しそうに見える。
「チラッチラッ」
右、左と首を動かし周囲を確認する。
ここにいるのは俺1人…誰も見てないよね?
魔石を拾い口の中に入れる。
甘くもしょっぱくもない噛んでも石なので硬い。
けど硬いけども噛みきれないという程ではない?
口の中で魔石を噛み砕き飲み込んでいく。
飲み込むことでさっきまで空いていたお腹も何故か膨れ満足感が生まれてくる。
魔石とは食べることができただろうか?
いや普通は食べないだろう。
…考えるのはやめよう。
とにかく帰ろうかこの薬草の束をギルドに届けないと。
…幼女移動中…
ということで冒険者ギルドまでつきましたと。
時間が経っても大通りは人で賑わっている。
もう夕暮れ時なのだがいつになればここの人はいなくなるのだろうか。
そう思いながらギルドの中に入り受付を行っているエリザのところへ行き大きな袋に入った50束の薬草を渡す。
「えーお帰りなさいませ。レナさんですね。依頼は薬草を5束とのことですが…これは」
そう言って大きな袋にエリザは目をやった。
何か悪いことでもしてしまったのだろうか?
薬草はあるだけ持ってこればいいと思ったんだがもしかしたら依頼内容の通り5束だけ持ってきた方がよかっただろうか?
「数は1、2、3…50束ですか。いや依頼の5束以上でもいいんですがねぇこれは多すぎですよ!」
「ご、ごめんなさい…」
「いや、そこまで怒っているわけではありませんよ?」
そう言われ優しく頭を撫でられた。
なんだか嬉しい気持ちになった。
頭を撫でられたのはいつぶりだろうか?
「依頼は5束で銀貨5枚ですね。残りの45束は対象外で通常価格の1束小銀貨1枚なので…銀貨4枚と小銀貨5枚ですね。合計銀貨9枚と小銀貨5枚になります」
そう言われお金をもらう。
依頼を受けた方が報酬がいいらしい。
うむ次から依頼を受けてから薬草の束を持ってくることにしよう。
「それでは、またねレナちゃん?」
「うん、じゃあね」
俺がそうエリザさんに言い出口へと向かう。
何故か後ろで物が倒れる音がしたがまぁ冒険者の誰かが喧嘩でも始めたんだろう。
絡まれるのも嫌だし俺は早足でギルドを出た。
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