第11話

さて家に帰ってきたわけですけど今からこもってゴミ置き場から拾ってきたボロボロになった本と論文っぽいのを翻訳していこう。

こもる前に確認でもするか。

食料としてはさっき取ってきたばかりの大量の薬草よし!

水も薬草から摂取するからよし!

他何か用意するものあったっけ?


…特にないな。

さて何日かかるのかわからないが早速翻訳していこうか。


*ここからダイジェストでお送りいたします*


1日目 早速本の翻訳を始めた。…この本文字が多すぎる翻訳するのなかなか終わらないだろうなぁ。


2日目 異世界の文字が慣れていないせいで文章がめちゃくちゃになってしまうところがある。そこら辺もちゃんと理解しなければな。


3日目 読書は前世でも好きだったが流石に翻訳しながらとなるとちょっと辛い…。


4日目 ようやく半分だ。薬草おいしぃ?


10日目 ようやく一冊の本が終わった。頭おかしなるでこれ。


21日目 2冊目完了。これいつになったら終わるんだ?


35日目 3冊目終了…。今日は薬草が尽きたので久々に外に出たら肌が痛かった。


50日目 4冊目の翻訳を終了した。見てよこれ毎日ストレッチを行っているせいですげー体が曲がるぜ。体操選手とおんなじだぜ!


73日目 ラストの5冊目が完了した。これは本当に読んでも良いものだったのだろうか…。あぁ精神が削れていく音ぉ。


120日目 …ようやく論文の翻訳が完了した。これを書いた『賢者』とかいうやつは本当に博識だと思った。だが自慢話が異常に多かったぜ。


こうして120日目にしてやっと全部の翻訳が終了した。

いやー長かったとても長かった。

ちゃんと寝る前に魔力を使い切るというラノベ特有の魔力増加方式もちゃんと活用したおかげでMPと魔力がすごく上がっている。

とりあえず今まで翻訳してきた事をまとめて見るか。


*飛ばしてもいいです*


まず1冊目の本は『魔』の力についての本だった。

この世界には大きく分けて3つの『魔』がある。


1つ目が魔法である。

魔法は才能さえあれば使うことができる。

特に大事なのは詠唱であり詠唱を極めれば膨大な被害を与えられる。

また詠唱を間違うと魔法が不発されたり最悪暴走し爆発する時もあるため扱いにはそれなりの知識が必要とされる。


2つ目が魔術である。

魔術は努力さえすれば誰でも使うことができるがその努力が無駄になることも多いのであまり魔術を使う者は少ない。

魔法陣を使い『魔』の力を発生させることができる。

だが魔法陣を描くための器用さと記憶力と根性が必要である。


3つ目が魔導である。

魔導は魔法、又は魔術を道具に付与し魔道具を作ることができる。

魔道具を作るためには自分か他人の魔力が必要とされタッグを組むことが推奨される。

道具への知識と器用さが必要。

特に優秀な魔導を使う者は国に雇われることがある。


この世界には『無』『火』『水』『風』『土』『闇』『光』の7つの属性がありこれは一週間のサイクルにもなる。

さらにこれらの属性には上位互換があり代表的なものだと『氷』『雷』などがある。


2冊目から4冊目までは魔法陣学についての本だった。

『下級』『中級』『上級』と分かれておりそれぞれ特徴のある本だった。

なかなか面白い内容で翻訳していて楽しかった。

だが魔法陣全てを覚えるとなると話は違くなってくる。

魔法陣は属性を発生させるために陣の中心に属性を意味するシンボルマークが必要とされている。


『無』=ただの丸

『火』=火

『水』=しずく

『風』=つむじ(髪じゃないよ!)

『土』=角ばった石の形

『闇』=月、髑髏

『光』=太陽、天使の羽、天使の輪

『氷』=ひし形のクリスタル、氷の結晶

『雷』=落雷


などがある。


「努力さえすれば覚えることができるって最強じゃない?」


また、支援するには陣の角に沿ってひし形を描くことで支援魔術を発動させることができる。

他にも陣を工夫することですごい魔術を発動させることができる。

…本の端っこに『クソ野郎』と殴り書かれているのを見る限りこの本の持ち主は諦めたのだろうな…。


5冊目はタイトルが『旧魔全書』という本だ。

内容は言えない。

精神分析が必要となるから。


論文についてはマハキシ・ハーキム=ワイズマンという『賢者』が書いた古い論文だ。

所々読めない部分があるがそこは合う文字をつけて翻訳している。

『賢者』の論文は魔法の無詠唱についてとか魔道具への付与の工夫などがいろいろ書かれている。

これにより俺は魔法と魔導のそこそこの知識を得ることができた。

その中でも特に気になったのは『賢者』が書いた論文の魔術の重複魔法陣についてだ。

これは魔法陣の上に重ねて魔法陣を貼ることによって魔術が変化するのではないかという可能性について書かれたものだ。

もしもこれが可能ならば支援魔術を重ねることにより威力の倍増、属性魔術ならば新しい属性の創造が期待されているという。

どうやら『賢者』は魔術と魔導を使うことができなかったらしいが頭脳明晰な優秀な者だったらしくかなりの考察が記載されていた。


これが俺の120日間ずっと本を読んだ結果だ。

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