魔石クラフトダンジョンズ

さんすけ

序章

第1話 焚き火の前で

顔を照らす熱を感じた。辺り一面は真っ白な光りで覆われ、何も見る事は出来ない、しばらく経つとやがて目が慣れたのか?朧げながら周りが見える様になる。


始めにわかったのは炎だった。


薪の炎が顔を照らし、温めてくれている。頬に手を当て、自分の身体を意識する。ふと気がつくと周りが薄暗くなっていた。


焚き火の灯りだけが揺らめいている。


いつまでそうしていただろう。ただ何も考えず焚き火の炎を見つめていた。


静寂の中、時間だけが過ぎていく、薪の爆ぜる音だけが聞こえる。


いつからか足音がする。


ペタペタと何かが近づいてくる。


おもむろに顔を向けると、闇の中からぼんやりと人影が動いているのがわかった。


まだ距離は離れている。誰かもわからない。


自分の周りを見渡せば、洞窟の中なのだろうか?


土壁を背に、焚き火を囲い、休んでいた様だ。


手には何も持っていない、不安がよぎる。


一応服は着ている。しっかりとした皮のブーツ履いていた。座ったまま首だけ動かし荷物を探してみた。背もたれにしていたのか?ローブ、背負い袋を見つける事ができた。


背負い袋の中を確認したが、武器らしい物は無い。


水筒と僅かな食料、着替え、ロープ、火起こし器など最低限の探索用具のみだった。


立ち上がり、ローブを羽織る。背負い袋を背負って、ベルトに触れると解体用のナイフがあった。少し安心する。


後はコインを入れる腰袋、中身は何が入っているのか?若干の重みを感じる。


微かな足音は今、しっかりとしたモノに変わり、逃げ出すか?話し合うのか?それとも闘うのか?選択を迫っていた。


まずは話し合おうと思い、声を出そうとするが、ずいぶんと喋っていないらしく、なかなか声が出ない。


土壁に囲まれた一本道は、どうにか大人が3人程度並んで歩ける幅があり、高さは大人の2倍だろうか?


土壁を背にした自分は完全な袋小路で、やり過ごすことは難しい様だ。


人影は相変わらずペタペタと近づいていて、そろそろ何者か?判明する頃に違和感に気付く、


立ち上がった自分より小さい、胸辺りしかない。薪に照らされるにつれ、輪郭がはっきりしてくる。


話しかけるきっかけを失った自分は、ただ茫然と見続け、そして驚愕する。


黄色く濁る野獣の眼

牙の生えた異様に大きな口

錆びたを持った細い腕

頭の大きな少年のような汚れた薄緑の体躯

もちろん裸足だ。


暗闇からぬるっと人ならざるモノが現れる。


おおよそ出会った事の無いモノがゆっくりと、油断の無い足取りで近づいてくるのだ。


袋小路の獲物を品定めするように、己の欲求を満たす獲物に歓喜するように


もうすぐそこまで、お互いの安全が脅かされる寸前で止まり、おもむろに両手を上げると、


「ギヤャァ!ギヤャャァア!!」

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