(二)-15

「付き合うとか、彼氏彼女になりました宣言とか、しないわけ?」

「なにそれ、するわけないじゃん。恥ずかしいなあ」

 誰に向かってそんなことを言うのよ。まあ、真秀には報告するだろうけど。

「なに赤くなってんのよ」

「赤くなってなんかないよ」

 そう私が言ったとき、ふと、川の向こうに目を向けると、工場が見えた。

 工場は黒い煙をもくもくと立てていた。

「それにしても、あの工場、まだ燃えてるんだ」

「ヤバイ化学薬品が大量に保管してあって、消防隊も近づけないらしいよ」

「そんなの作らなきゃいいのにね」

 私がそう言うと、真秀も「ね」と同調した。


(続く)

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