(二)-12

 次の休み時間に真秀とトイレに行った。

 一緒に手を洗っているときに、昨日の宗ちゃんとのことを話した。

「うっそー、本当? ついにやったじゃん、おめでとう! あたし、帰ったら赤飯炊くね」

「なんであんたの家で赤飯なのよ」

「いいのよ、オメデタなんだから」

「ちょっと、その言い方やめてよ」

「いいじゃない、いいことなんだし。オメデタよオメデタ」

 真秀は笑いながらそう言っていたけど、ちょうどトイレに入ってきた他のクラスの子が目を丸くしながら個室に入って行った。あれは絶対誤解されたな……。

「だからオメデタじゃないって。そういう誤解を招くこと言わないでよ」

「わかってるわよそんなこと」

 一緒にトイレから廊下に出ながら、真秀はそう言って笑っていた。


(続く)

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