【完結】「彼女と推しは別っ!」とか言ってるけど、それって同一人物じゃなかったら、"浮気"……だよね……?
悠/陽波ゆうい
前編 俺の彼女は義妹でアイドルなんだよ(ドヤッ)
「お兄ちゃん、あーん」
「あむ、ん! うまい!」
昼休み。
教室の視線という視線がバカップルの俺とひよ菜に注がれていた。
「いっつもいっつも見せつけやがって……ッ」
「明日の宿題見せてに死にやがれッ」
「ひよ菜ちゃん残して死ねや!!」
今日も酷い暴言と視線だなー。
「なぁ、ひよ菜。男どもから熱い視線を向けられてお兄ちゃん恥ずかしくなってきたから自分で食べていい?」
「いいじゃないですか、見たいひとには見せてあげれば。他人の目なんて気にする必要ありません」
ひよ菜は見られることに慣れているかもしれないが、俺はそうじゃないんだけどな……。
――改めて俺、
義妹になったひよ菜はとにかく完璧だ。
ぱっちりとした目が目立つ幼さが残る顔立ちにオレンジ色のサイドテール。足は細いし、巨乳。誰にでも優しく……まぁすぐ嫉妬するところも可愛いところだ。
「お兄ちゃん、今何考えてたんですか?」
「ん? ひよ菜の可愛さについてだけど」
「も、もう……恥ずかしいですっ」
「「「チッ、チッ!!」」」
今日も今日とて平和な学校生活だ。
時刻はまだ夕方。
俺は自宅に帰るわけでもなく、ひよ菜と放課後デートするわけでもなく、ビルの地下フロアにある、小さなライブハウスにきていた。
何故なら———
スポットライトが3人の少女に当たる。
白色の衣装を見に纏い、高らかな歌声。
客席は埋め尽くされており、高々と掲げられたサイリウムは歌に合わせ振られる。
俺もそのうちの一人だ。
「以上、新曲のユメノトビラでした! みんなありがとうーーっ!」
最後の曲が終わるまで、俺たちの熱気は冷めなかった。
全男子を虜にするトップアイドル『tiramisu』 今、俺が最も力を入れているアイドルだ。今日は抽選で選ばれたファンのみの限定ライブ。
幸運なことに……というか、俺はチケットを渡されたんだけどな。
「あっ、永草さんいつも応援ありがとうございます♪」
ライブ終わりの握手会。
俺は推しの日和ヒヨと握手を交わす。
そう、このヒヨちゃんこそ、俺の義妹で彼女のひよ菜なのだ。
売れっ子アイドルと呼ばれている『tiramisu』のセンターにして、シングルはオリコンに名を連ねバラエティーなんかでも一週間に何度も目にする人の方が多いだろう。
そんな大人気アイドルが裏では俺の彼女……この背徳感、堪らん!!
「これからも応援します!」
「ありがとうございます♪ ……お兄ちゃん、30分後に路地裏集合ね」
耳元でそう呟かれる。
はいはい、今日もラブラブ帰宅だな。
指定された路地裏にて。
「あれ、スーくんだ」
「ん? おお、ちわっすナツさん」
黒帽子に白色のダボダボバーカ、スニーカーとラフな格好で現れた女性。
この人は六道ナツ。tiramisuのボーイッシュ担当だ。
ナツさんとはひよ菜経由で知り合っていたが、ナンパされているところを助けた縁で今ではプライベートでご飯を食べに行く仲。
「もしかしてひよのお迎え?」
「あたりっす」
「まぁそうだよね、彼氏だもんねぇ〜。ひよなら今、マネージャーに呼び止められてたからあとちょっと遅れるかも」
「情報あざっす。そうです、俺が大人気アイドル、ヒヨの彼氏です。ドヤッ」
「いいねー、そのドヤ顔で自慢する感じお姉さん嫌いじゃないよ〜。で、どうなの? 家でのひよは……可愛い?」
「そりゃめっちゃ可愛いに決まってるじゃないっすか」
「ふーん、ならキスとかは済ませたのか」
「当たり前っす。その先もいきたいですが、まだ高1なので」
「へぇ、スーくんのやっぱりヤたいんだぁ〜。男の子だね。ちなみに大学生のお姉さんに乗り換えてもいいんだよ?」
「いやいや、俺は推しも彼女もひよ菜一筋っすから」
「あら、残念ーっ」
軽く雑談して、ナツさんは去った。
その光景をひよな菜が真顔で見ていたとは知らず。
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