反「な◯う」主義者の異世界転移論〜ご都合主義に俺は屈しない〜
かまきりりゅうご
第1話 いや、異世界転移モノ始まる感じなんですけど
「やっぱりクソアニメじゃないか!」
ガタンゴトンと揺れる車内で俺は声を張り上げる。
「慶ちゃんは偏屈すぎよ。なんだってこの作品がそんなに悪いって言い切るのよ!」
この幻文研(幻想小説文化研究部)の活動を舐めているのか、声優でしか作品の良し悪しを決めれない女にとやかく言われる筋合いはない。
「だから、この作品はキャストに金を掛けすぎなんだよ。話題になることしか狙ってないんだ」
「そうはいえないわよ。実際ファンもたくさんいるわ。Tvitterチェックしてないの?初回放送時はトレンド一位だったんだから」
すぐ岩倉はネットの評価を引き合いに出す。一介のヲタクとしてそれは恥ずかしくないのかよ。
「あのなぁ(笑)、だからどうしたって話よ。使い古された異世界転生のプロットに原作の駄文そのまま流用したようなクソアニメには変わりないね。それにな○う原作の時点でお察しだわ。実際に一位だったのだって1話だけだったじゃないか。あの酷いご都合主義じゃ、一話切りした人の数も相当数いるね」
「まあまあ、慶も奈々も落ち着いて。今日は折角の旅行だもの、ゆったり、まったりしようじゃない」
三人の男女を載せた列車はちんたらちんたらと山奥を進む。冬休みの今日、礼子先輩の発案で俺たち幻文研のメンバー三人は信州の方に小旅行することになった。小旅行というのは、実にハ○ポタやナ○ニアが好きでこの部に入ったという非オタの礼子先輩らしいアイデアである。
俺と岩倉がこの部に入った時、部員は俺たち含めて総勢6名いた。岩倉と先輩以外全員男子の部、そんなオタククラブをこの礼子先輩がシッチャカメッチャカスタコラサッサ(略)してくれたせいで、今や部員は三名。廃部の危機だ。
「いやー雪、すごいわね。これで走るなんて、この列車も列車よね。雪崩とか起きたらどうするんだろ」
礼子先輩は二次元LOVEな俺から見ても(いやおそらく誰から見ても)可愛い。
ギャルゲだったら間違いなく黒髪ヒロインの一人でしょうね。
「止めてくださいよ、先輩。そんな縁起でもないこと言うの」
「ええー。でもきれいだよ。ほら、あの谷底の川、鹿さんが見えるよ」
「死亡フラグ回収ありがとうございました」
先輩は完全天然である。
「ちょっと!ほんとに止めてよ!先輩」
目の前に座る岩倉は本気でビビっている。こっちは茶みがかった髪のオタク少女だ。クラスの奴らによると及第点とのことだが、俺の趣味ではない。それに、雑食で美少女モノからBLまで押さえているというが俺とはとことん好みが合わない。
先輩が口を開いた。
「いやいや、そんなのなだれなんて、起こるわけ無いって。日本よ、J○よ。世界一安全だ......」
ド
ドド
ドドドド
ドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
起こった。
こんな崖スレっスレのところを吹雪の中走る列車なんてフラグ以外何者でも無いですよね。
いや、人生の終わりこれか。
クソアニメの話ししてたら人生終わるとか無いわ。
てか先輩、これJ○じゃないだろ。こんな列車危なすぎんだろ。
ところでJ○って書いたらとたんにイヤラシイ感じでちゃうね。
え、てか、なんで俺こんな意識持ってんの。
普通に雪崩に巻き込まれて列車ごと谷底にドボンだよね。(いや、ここでドボンはおかしいか)
自分にツッコミいれれるくらい意識あるよね。
まじどうなってんのこれ。
俺は暗闇の中、恐る恐る目を開けた。するとそこには、
暗い部屋。
そしてちゃんと女神いるし。異世界転移モノ始まる感じなんですけどぉぉぉぉぉぉ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます