ちぇんメのメリー

夏伐

チェーンメール

 子供の頃、学校で流行した『不幸の手紙』は皆私のところに来た。


 受験に頭が痛くなる頃、『不幸の手紙』はメールになった。私には一通も来なかった。私の携帯に登録されてるクラスメイトのメールアドレスはメールを送っても相手がいなかったからだ。

 教えてもらってすぐに送信したとしてもメールアドレスは間違っていた。何も考えないことにした。


 年が離れた妹は高校生にして臆病。社会人になった頃、久しぶりに妹からのメールを開いた。


『おねえちゃん、ごめん。

 やっぱり怖くて……』


 そんな始まりでコピペ丸分かりなチェーンメールが二通。


 『☆☆☆☆☆メール!(略 他のチェーンメールとは一味違う! たった15人の友達に送るだけで幸せになれるよ♪(略 私はこれで彼氏が(略 でも今日中に送らないと不幸が起こるかも…(略 死んだ女の子が部屋に現れ(略』


 ご丁寧にカスタマーレビューまで記載されている、うんざりする長文。他のチェーンメールと違うって、チェーンメールなのは認めるのね。たった15人……そんなに友達いない。

 なんで信じた妹よ。



 『このメールを今日中に10人に送らないと今夜メリーさんがあなたの部屋に現れるよ』

 この手の話は散々読んで耐性ができている。今さら面白くない。

 なぜ送ってきた妹よ。


 とりあえず妹には「死んだ女の子って可愛い? 可愛くないならチェンジしたいんだけど」と返信しておく。

 可愛かったら可愛いで蜜柑をあげるくらいしかできないけど。



 チェーンメールを読んで、私は学生時代を思い出した。


 ぼっちで行事は苦痛で遠足なんかは仮病で休んでいたあの頃……。その思い出をバネに私は努力した。


 努力して努力して、そしてついに一人で暮らす分には問題がない程度の在宅業務についた。基本コンビニに月で1、2回行く程度で後はネットショッピングで何とかなっている。


 私がやっとの思い出手に入れた夢の生活……なのに、なぜか寂しく思えてしまう。


 イライラするな。


 私は近所のコンビニに行くことにした。

 アルコール類が置いてある棚でよく飲んでいるチューハイを2、3本とつまみを持ってレジに行く。


「年齢確認お願いします」


「……」


 店員に言われ液晶に現れたボタンを押す。


 袋を受け取って足早にコンビニを出た。店員さんにかなり緊張した!

 家に帰ってアルコールを消費する

 何年か前はちゃんとした社会人だった事もあるのよ! これでもちゃんと会社に属していたんだから!


 叫びは家で小さく。


 つまみがほとんどなくなった頃だ。

 携帯の着信音が響いた。


「まさか……?」


 酔いもあってあり得ない出来事が頭をよぎった。

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