第24話

どうして私が復讐をしていると知っているんだろう?



もしかしてアプリのことがバレた?



一瞬そう思ったがすぐにその考えはかき消した。



知っているはずがない。



だって私が学校内でアプリを使ったのは今日が初めてだ。



しかも女子トイレの個室でだ。



太一が知っているわけがない。



きっと当てずっぽうで適当なことを言っているだけだ。



私は大げさにため息をついてみせた。



「意味わかんない」



そう吐き捨てるように言って、教室を出たのだった。



廊下に出たところで男子生徒たちと肩を並べて帰っている黒坂くんの姿を見かけた。



黒坂くんをひと目見ようと集まってきた女子生徒たちが手を降っている。



身長は太一と同じくらいなのに、どうしてこんなにも違うんだろう。



私につきまとっているのが黒坂くんだったどれだけ嬉しかったか。



そう思って遠目から黒坂くんを見ていると、ふいに振り返った。



視線がぶつかって心臓がドクンッと大きく跳ねる。



すると黒坂くんは私へ向けて手を降ったのだ。



最初別の人に手をふっているのかもしれないとおもってとまどったけれど「井村さん!」と呼ばれて頬が熱くなるのを感じた。



ぎこちなく手を振り返すと、周りの女子生徒たちから軽いブーングが起こった。



私今彼女たちに羨ましがられているんだ。



そう思うと心地良い気持ちになった。



いつも3人からイジメられて虐げられてきたから、こんな立場になることなんてなかった。



これが優越感というやつなんだろうか。



「井村さん今日はありがとう! また明日ね」



黒坂くんは子供みたいな可愛い笑顔を浮かべてくれたのだった。

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