第14話ルンキ姉さんのラボ1

 

「ミグリ、そこ退いてくれないかな?」


「敵対者が逃げるのを防ぐ為です。大人しくユウ・マルシェ・ルナシー様をこちらに」


 ミグリは手を差し出してきた、ルミ姉さんは俺を抱いて逃げようとしているが。

 ミグリがドアの前で立ち止まっているので逃げる事は出来ない。


「仕方ないな、えっとここをこうしてっと」


 ルミ姉さんは近くにあった紐で結び抱くのを強くした。

 おかげでルミ姉さんの胸の感触が強く伝わってくるこれは今考えるべきではなかったな。


「ユウしっかり掴まっててねっ……!!」


 ルミ姉さんが言うと、すぐにその答えが分かった。

 ルミ姉さんはミカロ姉さんが突き破った床から飛び降りた、すぐに着地してルミ姉さんは走り出した。


「待ちなさい!!」


 ミグリもすぐに追いかけてくる、それをルミ姉さんは確認すると。


「ああ、もう壊すのはルンキに怒られるしな。一体どうしたらいいんだろう……?」


「待ちなさいと言っているでしょう」


 ミグリの腕はさっきの銃とは全然違う。

 何かのロボットアニメでも見てるように腕が変形していた、そしてビームが発射されルミ姉さんの右足を貫いた。


「痛いな、もう怒ったよ」


 するとルミ姉さんの体は氷りみたいに冷たくなっていった。


「ユウがいるから危険だし、早く終わらせるよ」


 ルミ姉さんはミグリの体に触れ、ミグリの体は段々氷に包まれていく。

 するとミグリは体全体が氷に包まれ動こうとしているのだが動けないようだった。


「これなら壊してもないし、ルンキに怒られる心配はない万事解決!!」


「解決なんてしてないでしょうが!!」


 するとルンキ姉さんが現れ、ルミ姉さんの頭をぽこっと叩いた。


「ちょっとルンキ急に現れて人の頭叩かないでよ、それよりミグリの様子がおかしいんだけど。もしかしてこれって壊れたの?」


「多分違う、ルミ姉さんの事見てたけど、ミグリは壊れてない。だって壊れたらユウの事も忘れてるはずだから」


「見てたんなら助けてくれてもいいのにねーユウ」


「まあルミ姉さんなら大丈夫だと思ったから。それでも氷結スキルを使うまでもなかったんじゃないの……? これじゃあミグリのメンテナンス出来ないじゃん」


「これでも抑えた方なんだよ、すぐに溶け出すから早くラボに持っていった方がいいんじゃないの」


「そうだね、あれルミ姉さん時間って大丈夫なの」


「もうこんな時間なの急がなきゃ。ルンキユウの事お願いね」


 ルンキ姉さんがルミ姉さんに時間を聞くと、ルミ姉さんは慌てて時間を確認すると紐を緩くして俺をルンキ姉さんに抱かせた。

 ルミ姉さんの用事は分からないがあんなに慌てて行くならとても忙しい用事なのだろう


「さあユウにはお姉ちゃんのラボでも見せてあげるか、モグお願いね」


「任せておくれなせい」


 するとルンキ姉さんの後ろから本物のロボが現れた、ミグリはメイドロボなので、人間に近いがこれは正真正銘ロボットだ。


「おう、あんたがルンキ嬢ちゃんの弟かい、初めましてだな。俺はルンキ嬢ちゃんに作ってもらったモグだ、これからよろしく頼むぜ」


「あぃあぃ」


 ロボットのモグに握手を求められると、小さな手でモグと握手した。

 するとモグは氷に包まれたミグリを持ち上げどこかへと運んでいく。

 さっきルンキ姉さんがラボを見せてくれると言っていたがそこに持っていくのだろうか。


「ユウってば本当に男の子だね。ロボットを見てあんなに興奮するなんて」


 ルンキ姉さんにはバレていたみたいだ、赤ん坊でもロボットを見れば興奮したくなる気持ちもあるはずだ……それが男に生まれたのなら尚更興奮してしまう。


「私達も行かないとね、そうだラボにユウのアクセス権も作っておこうか。それだったらいつでもラボで遊べるし」


 ルンキ姉さんが俺を抱く力が強くなっている。


「ラボでユウを閉じ込めたら、いくら姉さん達でも入ってくるのは不可能だよね。でもそんな事が出来たら夢みたいだな……あれどうかしたユウ?」


 何かよからぬ事が聞こえたが俺の空耳だろう、ルンキ姉さんが歩いて数分何かの建物が見えてきた。


「ユウ、ここが私のラボだよ。まあ人間は私しかいないんだけどね」


 ルンキ姉さんが扉の前に立つと、扉から目玉が飛び出してきて、少しビックリした。


「ごめんねユウ、この子はこのラボの管理者なんだ、また今度ユウが来るときには可愛いくまさんにしとくから許して」


 目玉はじっくり上と下を行き交うと、扉が開いた。


「ルンキ・マルシェ・ルナシー様の入室を許可」


 目玉は扉から消えると、ルンキ姉さんはすたすたと歩いていく、するとさっきのモグが現れた。


「ルンキの嬢ちゃんメイド一号はメンテナンスルームに運んどいたぜ」


「ありがと、でもメイド一号じゃなくてミグリね」


「なんだよもう名前つけたのか……!! 俺の時なんか全然名前つけてくれなかったのに」


「ふてくされないの、ユウをミグリに近づけるのは危険だからねモグ見ててくれる。それとユウにもラボのアクセス権を作っておいて」


「あいよ、ほらユウの坊っちゃん。俺がこのラボを案内してやるよ」


「サイエンスルームには連れてかないでよ、あそこは危険な物がいっぱいあるんだから」


「分かってるって。おっと赤ん坊ってこんなに軽いのか……?」


「大切に扱って。ユウを傷つけたりしたらモグは解体だから……」


 ルンキ姉さんからモグに抱かれるとモグの体は硬い、それにルンキ姉さんそんな解体なんてしなくても。


「おうよ、大切に扱うぜ。さあ行こうかユウの坊っちゃん」


「行ってらっしゃいユウ。すぐにミグリのメンテナンス終わらせて、そっちに行くからね」


 ルンキ姉さんとは違う方向に別れ、モグはラボの中を案内してくれた。

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