第13話ミグリは壊れる?


 何かの音がする、まだ外は暗いはずだがその音のおかげで目が覚めてしまった。

こんな時に誰も起こしたくないと思うと、ミグリの電源がついた。


「ユウ・マルシェ・ルナシー様おはようございます。とても早いお目覚めですね」


「あぅあ」


 窓の方に指を指すとミグリが分かってくれたみたいで、抱き上げてくれた。


「あれはクラ・マルシェ・ルナシー様とシル・マルシェ・ルナシー様ですね。こんな朝早くから何をしてらっしゃるのですかね」


 二人は剣を構えていた、あんな二人を見たのは始めてだ。

 いつも俺の事を考えてる姉さん達だが今は目の前に集中しているみたいだ、何か話しているみたいだが。

 ここからじゃ窓を開けても聞こえないはずだ。


「さあもういいでしょう、もう少しお休み下さいユウ・マルシェ・ルナシー様」


 他の姉さん達が寝ているベッドに連れていかれ真ん中に寝させられた。


 ミグリは電源が落ちると思ったらそのまま部屋から出ていってしまった。

ミグリに言われた通りもう一眠りした。


「ふわぁぁ……おはようユウ」


「しぃっブラン……!!」


「どうかしたの皆で集まって?」


「ユウがまだ寝てるの、起こしてあげるのは可哀想」


「でもご飯の準備は出来ていますし、私もそろそろ出ないと合同練習に遅れてしまいます」


「まさか今日は皆出かける用事があるなんて、しかも今日に限ってなんでミグリのメンテナンスなのルンキ」


「だって仕方ないじゃん!! まだミグリは動き出したばっかりだからメンテナンスをしないと壊れちゃうかもしれないんだもん」


「私達も今日は大事なクエストなので、キャンセルする事は出来ませんね」


「そっか今日ってクエストの日だっけ?」


「ブラン姉さん忘れないで下さいよ、今日は大事なクエストだって話したじゃないですか」


 皆の話し声で目覚めたら、皆一斉にこちらに目を向けてきた。


「仕方ありません、ルンキ。今日ユウを安全に見守れるのはあなたしかいません」


「確かに皆殆ど危ない所に行くみたいだしね、私しかいないか」


「いいですか勝手にユウと遊びに行ったらダメですからね」


「分かってるって、早く行きなよクラ姉さん」


 クラ姉さんは騎士団の服に着替え、俺を抱いたルンキ姉さんに何回も確認していた、そしてクラ姉さんは仮面を被り行ってしまった。


「私もそろそろ行かないと、行ってくるねユウ」


 シル姉さんは慌てて出て行く前に小指を出してきたそれを俺の小さな手で握る、これはシル姉さんと毎日やっているのでもう習慣になってきた、そしてシル姉さんも出て行く。


「ちょっとブラン姉さん、もう出ないとクエストに間に合いませんよ」


「これだけだから、はむ、うん美味しい」


 ミカロ姉さんがブラン姉さんの服を引っ張って連れ出そうとしているのだが、当のブラン姉さんは朝ごはんに夢中だった。


「あっ……勝手にユウの朝ご飯食べましたね。全くいい加減にしてくださいブラン姉さん」


 するとミカロ姉さんがブラン姉さんの事を投げ飛ばした、衝撃で床が突き抜けブラン姉さんは下に落下していた。


「あわわわ!? 大丈夫ですか? ブラン姉さん」


 ミカロ姉さんは突き抜けた床から覗き込み、ブラン姉さんの心配をしていた。

多分全然大丈夫じゃないはずだ、だってピクリとも動かないのだから、だがブラン姉さんは立ち上がった。


「もう投げ飛ばすなんて、私が防護魔法使ってなきゃ大怪我してたよ」


「なんだ心配して損しました、さあ行きますよブラン姉さん」


 ミカロ姉さんは突き抜けた床から下にジャンプした、すぐにブラン姉さんはミカロ姉さんに服を引っ張られ連れていかれた。


「分かったから服引っ張らないで、行ってきますユウ」


「今日はお土産を買ってくるので、楽しみにしててくださいねユウ」


 ミカロ姉さんとブラン姉さんは手を振っていた。

あの二人のクエストとは一体どんななのか、まだ教えてもらったり見たこともなかった。


「私はまだ行くのに時間あるからな、ユウ私と少しだけ遊ぼうか」


「だったらルミ姉さんに少し任せてもいいですか、ちょっとラボに取りに行きたい物があるので」


「別にいいけど、何新しい物でも作ったの?」


「内緒です」


 ルンキ姉さんも少しの間ラボに行くみたいだ、ああラボ一度でいいから行ってみたい、もう少し大人になったら連れていってくれるだろうか。

ルンキ姉さんは俺をルミ姉さんに預けると走って部屋から出ていった。


「じゃあ朝ごはんでも食べて遊ぼうか……ってブランが食べちゃったのか。うーん作る時間はないしな……あっ!! ミグリがいたんだった」


 ルミ姉さんはすぐにミグリの電源をつけようとしたが全然ミグリの電源はつかない。


「あれ? おかしいな? ミグリ。おーいミグリさん?」


 呼んでもつかず、ルミ姉さんは色々な所を触っていた、するとミグリの電源がつき起き上がった。


「敵対者を確認、すぐにお助けしますユウ・マルシェ・ルナシー様」


「へ……?」


 するとミグリの腕から急に銃が出てきて、ルミ姉さんに向かって発砲した、ルミ姉さんはすぐに避けたがミグリはまた発砲してきた。


「ちょっと待って!? 私だよルミ・マルシェ・ルナシーこの子の姉だよ!!」


「確認出来ません、あなたはユウマルシェ・ルナシー様の敵対者と確認排除します」


「ええ……? ここは逃げるのが正解かなユウ?」


「あぃあぃ」


 全力で言葉と頷くのをルミ姉さんが見ると、ルミ姉さんはドアから逃げようとしたが。

既にドアはミグリが通れないように立ち止まっていた、一体ミグリに何が起きてるんだ。

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