コーヒーのススメ

志夜 美咲

コーヒーのススメ

 コーヒーは素晴らしい。コーヒーは私の生活になくてはならないものである。コーヒーがない生活なんて考えられないほど、私はコーヒーが好きなのだ。

 コーヒーの魅力について語るにあたって、コーヒーの知識や成分についてはもっと詳しい書籍があると思うので、ここではただの個人的意見のみを綴っていこうと思う。


 まず、私がコーヒーにはまったのはコーヒー店に務めるようになってからである。コーヒーに興味があったということもなく、ただ単に駅が近くて通勤が楽という理由で、本当にたまたまだった。

 そのお店は喫茶も豆販売もしているところだった。私は売店から入ったのだが、販売すにも味がわからないとオススメできない。そこで、私は売店にある商品をすべて試飲していった。コーヒーのおもしろさを初めて知ったのだ。


 コーヒーはそれぞれ味が違う。苦い、と一概には言えない奥深さがあるのだ。

 甘味、酸味、苦味、コク、フルーティー、ナッティ、フローラル……主な味覚表現があり、またそのなかに『どのような』がある。例えば、酸味。酸味といっても柑橘系だったり、ベリー系だったりと種類が異なるのだ。

 ブレンドよりストレートのほうが違いがわかりやすいので、ぜひ飲み比べてみてほしい。王道なところで言えば、ブラジルとモカはわかりやすいと思う。

 うちはもっぱらモカやコスタリカなど甘めで少し酸味のあるものが多いが、たまにブラジルなどを出すと「いつもと違う。こういうのもいいな」と言われるのだ。


 味だけではない。香りだってそうだ。そしてコーヒーの香りはひとつで何度も楽しめる。豆の香り、挽いた粉の香り、お湯をなじませ蒸らしているあいだの香り、抽出中の香り、抽出した液体の香り、口に含んだときの香り、口に残った香り、飲み終わりのカップに残った香り……私が1番大好きなのは抽出後、ドリッパーに残った淹れかすの香りである。

 このように、コーヒーの香りはどんどん変化していく。抽出中の香りは淹れる者の特権だと思っている。それくらい私はその楽しみを大事にしている。

 逐一においを嗅いでいる私ははたから見たらただの変態にも見えるかもしれないが、こればかりはやめられない。


 コーヒーは淹れ方においても重要である。

 私はハンドドリップをおすすめする。

 温度、秒数がほんの少し違うだけでも違いが生じる。注ぐときのお湯の勢い、描く円の大きさ、2投以降の注ぐタイミングなども然り。言い出したらきりがないが、すべてが味の変化の要因になるのだ。

 また、豆によって最適な淹れ方が異なる。それを探し出すのもひとつの楽しみとも言えよう。淹れ方を変えたとき、「この前より美味しい」、「この前より飲みやすい」と言われると心のなかでガッツポーズしてしまうくらい嬉しい。


 コーヒーは味と香りが幾通りもあるので、当たり前のことながら人によって好みが大いに分かれる。

 苦いの苦手な人には甘味が強いものを、酸味が苦手な人にはコクが強いものを……と、その人の好みに合うように提供するというのもまた、一種の楽しみになるので、ぜひ自身のなかでいろんな楽しみを見出していただきたい。




 次に私にとってのコーヒーの効果について語っていこうと思う。


 コーヒーは一種の精神安定剤である。コーヒーの香りは私を落ち着かせるのだ。

 朝、起きたときに部屋に漂うモカの香りはもう格別だ。それが休日ならさらに。甘いモカの香りが優雅な朝を演出してくれ、それだけでなんとなく特別な、充実した朝にさえ感じるのだ。

 コクが強く、なめらかな口当たりのものは夕方や夜などゆっくりしたいときに飲みたい。少し厚手のコーヒーカップで手のひらにじんわりとぬくもりを感じながらゆっくりと。

 シチュエーションに合わせ、自身の好みで選択していけば、その時間はさらに素敵になると私は考える。

 あと、私は抽出時、ドリッパーで膨らんでいく様子をみるのが好きで落ち着く。苛立っているときなどに、もこもこと膨らんでいく粉に円を描き、それをじっと見つめ、気持ちを落ち着かせることも多々あるくらいだ。


 コーヒーを飲むとお通じがよくなる気もする。とくに朝飲むと快調なのだ。だから休みの日は必ず朝に1杯飲むようにしている。

 実際、成分的にそんな効果があるのか、あってもそれがなぜなのか、は私にはわからない。しかし、私にはそうなのだから、そうなのだろう。

 まあ、利尿作用でトイレが近くなるのも事実だが。とくに私はそれが顕著なので飲み過ぎには注意している。それにコーヒーは大好きなのだが、飲み過ぎると気分が悪くなったりもするので自分の許容量を見極めておくことも大切である。


 そしてなにより、コーヒーは時間を有意義にしてくれる。

 これは私の家庭の話になってくるのだが、私がコーヒーにハマってから定期的にコーヒーの時間ができたのだ。その時間にいる家族はみんなリビングに集まり、みんなでおやつを食べながらコーヒーを飲む。たったそれだけのことだが、うちには大きな変化だった。

 あまり大きくは言えないが、うちには少々問題があった。しかし、みんなでコーヒーを飲むという穏やかな時間ができたことで余裕ができたのだろう。会話も増えたし、家庭内の空気が和らいだように思えた。

 それが私にはとても嬉しいことだった。コーヒーはまるで魔法みたいだ、と思ってしまうくらいにはコーヒーに感謝しているのだ。

 だからこうして、いろんな人に広めたいと思うのかもしれない。




 コーヒーは素晴らしい。コーヒーは私の生活になくてはならないものである。コーヒーがない生活なんて考えられないほど、私はコーヒーが好きなのだ。

 たくさんの人が少しでもコーヒーに興味を持ち、好きになってくれればいいなぁと思いながら、私は今日もコーヒーを飲む。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コーヒーのススメ 志夜 美咲 @kyu_eu-nk_ni

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ