第5話

 何日経ったのか分からない。

 何週間経ったのか分からない。


 栄養剤の替えだけ変えにくるだけで、それ以降は俺の事を無視し続ける。声をかけようが、腕を少し動かそうと身体を動かしても、目線を合わせても無視をされ続ける。


 髭も伸びてくれば、尿や便も垂れ流しの状態。気持ち悪さから俺は叫び続けた。


 やめろ。このまま老いるのは嫌だ!!!

 やめろ。このまま全てを忘れて生きるのは嫌なんだよ!

 真実を教えろ!!


 そう叫んだ瞬間だった。女は俺の元に駆け寄ってくる。


「な、なんだよ」

「ねぇ。今なんて言った?」

「へ?」

「今なんて言った!」

「お、老いるのは嫌だ」

「違う。そっちじゃない」

「真実を教えろ?」

「2つ目に言った言葉だ!」

「このまま全てを忘れて生きるのは嫌だ」

「ふふっ……。最終段階!」

「へ?」


 俺の身体の拘束が外れたと同時に、女は丁寧に俺の便や尿を片付け始めて、部屋の臭さがスッキリし甘い香りに変わる。

 女は、部屋の雰囲気がガラッと変わった瞬間、何かのカメラとスクリーンを部屋の中に搬入して何かの映像を映し出した。


「なんだよこれ」

「貴方の真実がここにある」

「え?」

「見るか見ないかはアナタ次第。どっちの選択肢を取っても、私は後悔しない」

「観るに決まってるだろ。俺は誰なのか分からない。あんたが誰なのかも分からない。未だに敵だと思っている」

「分かった。後悔しないね?」

「もちろんだ」


 すると女は部屋を真っ暗にして、スクリーンに映像を映し出した。

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