第8話
作戦決行日までの間、俺は家で大人しく求人ページなどを開きながら過ごしていた。妹もまた特段変わった様子もなく、普段通りの時間に学校から帰宅し、普段通りに俺の部屋に居座る。
そして普段通り寝る。そんな日常を繰り返していた。⚫日まで他にやることがないかと自分に自問自答したが、部長の件が終わるまでの間、俺はほかのことに手を回してはいけないと感じたために、⚫日まで大人しく時が過ぎるのを待った。
そして数日が経ち作戦決行日。俺は部長に連絡を入れると、即返信が来る。
「本日は宜しくお願いします」
「うん。君の予約したお店でいいんだね?」
「はい。このお店にお願いします」
部長は文からも見てわかる通り若干警戒心があるように思えたが、もし作戦が失敗する時は失敗した時で仕方ないと思い、すぐ着替えを済ましてギャルを迎えに行った。
2時間ほどかけて、駅を乗り継ぎ着いた場所にギャルは俺と出会った日よりも気合いの入ったメイクをしていた。
「似合うな」
「ありがとー。おぢさんは来るって?」
「おう」
「よし。行こっか」
ギャルとともに再び2時間ほどかけて、約束の場所へ行くと既に部長は居た。
「部長お疲れ様です」
「おや、横に居るのは?」
「はい。今日部長と一緒に酒を飲んでみたいと言った人で」
こっそりと耳打ちをすると、部長はニヤッと笑いながら「いい女だ」と呟いた。
これは上手く餌にかかってくれた。
そう思っていた。
だけど。本当にこんなんでいいのか俺は未だに不安が拭いきれずにいた。
もし仮に作戦が失敗した時俺の身にも、そして俺に巻き込まれたギャルの身の安全は保証されるんだろうか。
無責任なことばかり並べて本当にいいんだろうか。そう悩みながらも、俺は今を見つめるしかないと開き直り、部長と飲み始めた。
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