第22話 もっと大変なことになるその前に

「ルカさんの本棚ですか?」

「はい。ここからの地図って出せますか?」

「ええ、出せるけど……」

 本棚の受付に来たアカリが慌てた様子で問いかけると、対応した受付の女性が不思議そうな顔をして地図を調べはじめた

「アカリちゃん、何度もルカちゃんの本棚に行っているのに今さら必要?」

「それが、探しても見つからなくて。お父さんにも探してもらってるんだけど……」

 二人の会話を聞いていた受付の女性達がアカリに声をかけ、その返事を聞くと、不思議そうに首をかしげた


「本当だ、本棚が無い」

 と、地図を出そうとルカの本棚の部屋を探していた女性が驚いた声で呟くと、アカリと話していた女性達が呟いた女性に駆け寄り、その女性が読んでいた本を見た

「どこかに移動してない?たまーに本棚の気まぐれで引っ越したりするけど……」

「無さそうだなぁ。魔力も感じないし……」

「ミナモ君の本棚の側にもない?」

「そうだね……」

 険しい顔で本を見つめ話し合っていると、少し離れてた場所でルカの本棚を探していた女性が慌てた様子で近づいてきた


「ねぇ、ミナモ君の本、少し減っていない?」

 そう言うと、バンッと本を机に置いてミナモの本棚の詳細が書かれた場所を指差した

「確か、ここの本棚もこの本棚も本が埋まっていたはずだったけど……」

「そうだね、たしか料理の本を置いていたっけ」

「そうそう。どこかに移動したのかな」

「あの……」

 アカリに背を向け話し合うその姿に、アカリが恐る恐る声をかけると、本を読んでいた全員がアカリの方に振り向いた

「ごめんね、すぐに地図を出せなさそう。もうちょっとだけ待っててくれる?」

「じゃあ、一度家に帰って、ルカとミナモ君の様子見てきます」

 そう言うと、ペコリと頭を下げて、バタバタと走り帰っていったアカリ。その後ろ姿がすぐに見えなくなると、一人の女性がはぁ。と深くため息をついた


「はぁ、やっぱり大変なことになったかぁ……」

「本棚見つけた?」

「いや……。気配すらない」

 と、ルカの本棚を探していた女性に声をかけるが、少しうつ向きながら答えられ、辺りに不穏な雰囲気が流れだした。すると、一人の女性が、たくさんの本をドンッと机に置てため息ついたその人に、少し分厚い本を手渡した

「ほら、ため息つく暇無いよ。頑張って探そう」

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