第12話 少し背伸びをしたら動きだそう
「アカリー。来たよー」
勝手にアカリの家に入ってきたユイ。リビングでソファーに座り、のんびりしていたアカリを見つけ、手を振りながら、アカリの隣に座った
「ユイさん、リリ。おはようございます」
「おはよう。あれ、ミナモは?」
と、ユイがリビングを見渡している側で、リリがヒカリが飲んでいたお茶を奪い取り飲みはじめた
「モナカとまだ眠ってます」
「珍しいね。カグヤも寝てるの?」
「はい。昨日、お父さんと一緒に本棚の見回りをしていたそうで、さっき寝たばかりです」
「……そう」
アカリの言葉に小声で返事をするユイ。ふとリリが飲み干したコップを見た
「カグヤさんに何か用事ですか」
「ちょっとね。でもいいや」
アカリの顔を見て、エヘヘと笑って誤魔化していると、ルカとサクラがリビングにやって来た
「ユイさん、朝ご飯、今食べますか?」
「うん、食べるー。みんなで食べよう」
ルカに返事をしながら、立ち上がりうーんと背伸びをするユイの言葉を聞くなり、ルカとヒカリが競うように朝ごはんが置かれたテーブルへと駆け出した
「本棚の様子はどう?」
「今のところ、二つとも変化なし」
「それは良かった」
その頃、徹夜で作業をしていた本棚の受付の人達が、疲れた顔をして、交代に来た女性と話をしていた
「今から私達も二人の本棚の様子を見に行きます?」
「見に行きたいけど、さすがにちょっと疲れたかも……」
そう返事をしながら、うーんと背伸びをしてため息つくと、それを聞いて隣にいた人がクスッと微笑む
「アカリちゃんから、本棚の話を聞いてから、ずっとバタバタでしたからね」
「でも、別の本棚に置くということは初めてじゃないんですよね。別にここまで騒がなくても……」
「色々大変だったんだよ」
「うん、良い思い出なんかないし」
「本も本棚も大変だったよね」
一人ポツリと呟いた言葉に、受付にいた人達が矢継ぎ早に言い返していると、本を持った男性が一人近づいてきた
「すみません、本を預けたいんですけれど……」
「はいっ、ごめんなさい」
声をかけられ、交代に来た女性が慌てて駆け寄り対応をすると、徹夜で作業をしていた女性達がボーッと見て、全員はぁ。と深いため息をついた
「もう帰ろっか。今日はノドカさん達が見守るそうだし、私達は明日本棚を見に行こう」
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