第11話 朝ごはんのその前に

「ミナモー、モナカ。朝だよ!そろそろ起きないと!」

 朝、アカリとヒカリがベッドに眠るミナモを体を揺らしたり大声で呼んだりするが、起きる気配のないミナモに、困った顔をしていると、大声がキッチンまで聞こえ心配になったルカが寝室に入ってきた

「あれ?二人とも起きないの?」

「うん、体調悪いのかな?」

「ミナモ君、大丈夫?」

 ルカがミナモの体を揺らしたり、サクラがモナカの頬をつついたりしてみても、起きる気配はなく二人も困ったように顔を見合わせた


「モナカも起きないし、どうしようかな……」

「今日、アカリ達はユイさん達と用事あるんだよね」

「うん、ヒカリの昔の本を調べに行こうと思ったんだけど……。どうしよう、止めとこうかな」

 そう返事をしながら、ヒカリがミナモとモナカの頬を叩いて起こそうとしているのを止めているアカリに、ルカが何か思いついたようにアカリに話しかけた

「じゃあ、私は家に残ってミナモ君とモナカの様子見ておくよ。二人の様子をお母さんとノドカさんに伝えておきたいし」

「わかった。何かあったら連絡してね」

「うん、了解」

 アカリにニコッと微笑み返事をするルカ。そんな二人の会話の側でまだミナモとモナカは眠ったまま

「そろそろ朝ごはん食べましょ。二人もお腹が空いたら起きるわよ」

「そうだね。今日の朝ごはんは何かなー。」

 ヒカリに諭されて部屋をでていくアカリ。ルカとサクラも部屋を出ようと入り口まで来ると、少し振り向き二人の様子を見ながら、起こさないようにそーっと静かに部屋の扉を閉じた






「眠いねー」

 アカリ達がミナモを起こそうとしていた少し前、大きなあくびをしながら、ユイがアカリ達の家に向かっていた

「今日のご飯何かなー」

 ユイのあくびにつられて、リリも大きなあくびをする。そんなリリを見て、ユイがクスッと笑いながら歩いていると、二人を見つけた受付の女性が手を振り呼び止めた

「ユイさん、お話良いですか?」

 と、声をかけられて女性の所へ向かうと、女性の手にドンッと大きな本が現れて、その本に文字を書きはじめた

「ミナモ君とモナカの様子はどうですか?」

「んー、昨日までは大丈夫だったけど、今日は今から会いに行くから分かんないなぁ」

 ユイの返事を聞いて、本に書き込みはじめた女性の様子をリリと気まずそうに見ていると、本に書き終えて、またユイに問いかけた

「では、ルカさんとサクラの様子はどうですか?」

「二人も昨日は元気だったよ。今日もアカリ達から連絡来ないから元気だと思うけど……」

 そう答えると、また本に書き始めると、二人の様子に周りにいた人達が気づきはじめ、少し視線を感じはじめた頃、書き終えたのか、大きな本は消え、女性がユイにニコッと微笑んだ

「分かりました。何かあれば私達、受付に連絡くださいね」

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