お母さんが連れてきてと言うのです。
生徒会長は案の定――
勿論
だが不思議といえば不思議なことに
一年一組の担任で美術部顧問の
曰く「明るい二人だし良いんじゃないか?」と。
※
「凪ぁ、うちら凄いっしょ!」
昼休みの食事中。
新副会長の一人となった
凪が声の主がいるであろう窓際へ振り向いた。
すると
凪は六花の問いに「だなっ」とだけ答える。
そのまま苦笑いを浮かべ、凪は弁当へと視線を戻した。
すると今度は凪の向かえで共に弁当を頬張っていた凪の旧友が。
あぁ。
六花ともう一人の新副会長の
「六花ぁ、俺たちでバラ色の学園ライフをっ!」
と、黒色の
その
発言も見た目もチャラいが印象の二人。
この先何十年と続くであろう
最速最短で恋人となった二人。
抜かれることのない入学初日に付き合い始めたコンビになるのだろう。
と凪は確信している。
凪は今も続く二人の会話を耳にしながら弁当を食べている。
そんな賑やかな副会長二人の話の中、
◆汐栞―― 今日は部活ですか?
と、凪のスマホの画面通知に一件のメッセージが届いた。
凪はその通知を開くことはせずに窓際にいるであろう汐栞へと振り向いた。
すると汐栞も凪と視線を交わし少しだけ微笑んでいる。
(えっ。なんで……)
と、凪は声を漏らしてしまった。
数秒、汐栞は凪を見つめていたが、今度は顔を俯かせた。
(あー、完成今日って言ってたっけか……)
凪も再びスマホへと視線を戻す。
件の兎の人物画。
イラストとよべるだろうが『一応の完成』がそろそろと伝えていた凪。
あの日から一週間ほど。
毎日少しの時間汐栞は凪の家へと通ってきていた。
その完成が待ち遠しいのだろう。
と、凪は考えた。
凪は手に持つスマホの画面通知から返事をした。
◆凪―― 一気に終わらせようか。
◆凪―― 保奈美ちゃんには休むと言っとくよ。
◆汐栞―― 帰り待ってます。
描き進めてはいたけれど凪としては到底満足いくものではなかった。
むしろもっと練習して描き直したいくらいでもあったのだ。
「なにしてんだ? 凪」
考えこんでいた凪に真司がスマホを覗き込んできた。
「あ、いや……なんでも」
サッとスマホを制服上着のポケットにしまい込み、凪は返事をした。
凪はふと頭によぎる。
あのグループ、誰ともやり取りしてなかったけど今回初だっけ。と。
凪から相談したいとは言ったものの、どう切り出していいのやら分からなかった。
というよりも交換したことじたい忘れていた。
それが近いのかもしれない。
毎日汐栞が家に来てたから。
いや違うか……描くことが楽しいから。
などと考えながら昼休みを終えていた。
「じゃあな凪、学校改革してくるぜい」
「崩壊させるなよ……」
「おう、きっちりとなっ!」
きっちり壊されたらたまったものじゃないが。
とまあ何事も楽しそうな真司を凪は見送った。
窓際にいる汐栞へ歩みを勧める凪。
歩きながら「保奈美ちゃんに伝えてくる」と一言。
凪はそう汐栞に伝え職員室へと駆けていく。
「保奈美ちゃんごめんなさい、今日部活休みで」
凪は夏海の友人だからか今ではすっかりと馴れ馴れしさを出してしまっている。
が、保奈美も気にする素振りはないようで、
「あぁ私も忙しいからな。助かるというものだ。ワハハ」
と。
とはいえ毎日隙を見てはアドバイスをしに美術室へ来てくれるのだが。
基本的には彼女は嘘なく忙しいのだろう。
凪は「それじゃ」と手を振り職員室をでると、
「あ、凪くん」
「わぁっ」
職員室をでたすぐの廊下で凪は驚きの声を漏らす。
凪が声の方を見ると、壁に背をつけていた汐栞がいた。
どうやら汐栞に呼び止められたようだ。
「あわわっ! す、すみません驚かせて」
毎度のごとく大袈裟に頭を下げる汐栞。
「い、いや平気……教室にいると思ってたから」
「余計なことしてしまい……あ、鞄は持ってきました」
「そっか。ありがとう」
「いえ大丈夫……です」
入学してから既に一週間以上経過し兎として凪の家に通う汐栞。
凪はラフを済ませてからはモデルは必要ない。
とは言えず――訪問兎を許してしまっている。
いつも汐栞は部屋の椅子に腰かけて黙って過ごす。
絵を描いている時の二人は基本的にはほぼ無言。
それを一週間ほどを繰り返していた。
通ってくることはまぁいいのだけど。
どちらかといえば六花に相談したかったことが、
『夏海の晩飯を作る水色三つ編み兎』についてだった。
夏海も夏海で大概なのだけれど「可愛いし助かる」
と言ってむしろ喜んでいる始末。
夏海は料理が下手すぎて放っておくと食べずに仕事に行くわけで。
(そもそも着替えさせる意味……)
どんなプレイだ。
毎日部活から家に帰ると汐栞は兎の姿で凪を出迎えてくるのだ。
そんな事を凪が考え下校していると、
「凪くん、家着きましたよ?」
「え?」
※※※※※※※※※※※※※※
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どうぞよろしくお願いしますです。
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