第6話

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先頭の2頭立波の旗指物に囲まれて斎藤道三親子がやってきた。娘の帰蝶が素早く王様一行を認め道三に話している。道三も確認して手を上げて2人ともに会釈をしている。王様も手を上げて会釈で応じた。サスケ[やっぱり本物ですので乗馬をしている格好は決まっていますね。]続いて門前町中学の生徒が箕輪城主長野業正と大胡城主上泉信綱のプラカードを掲げてやってきた。もちろん鈴木伊伯や疋田文五郎それにタケやハツも乗馬で従っている。

サスケ[上泉さん達剣豪は乗馬中でも全くスキがないですよ。大したものです。]

有名な戦国大名が続いているが〇に十文字入りの家紋の薩摩の島津義弘と豊久は明日香軍の総司令と副指令なので貫禄十分である。露死阿にいるはずの辺見十郎太や村田新八に別府新介も応援で駆けつけている。そしていよいよ最後は秀吉に家康である。黄金の千成瓢箪が馬印の秀吉が弟の小一郎秀長と蜂須賀小六正勝を従えている。

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秀吉は鎧をつけているが兜は脱いでいて烏帽子スタイルである。どうも重いのは嫌いなようだ。目ざとく王様を見つけて日の丸の扇を振って騒ぎ立てている。弟の小一郎と小六は会釈をして挨拶をしてきたので、王様も片手をあげて挨拶を返した。

次は大トリの徳川家康である。金扇の馬印と厭離穢土欣求浄土の旗指物はいつもの物である。家康の隣には護衛として服部半蔵と部下の2人が固めている。その後に本多佐渡守信正と息子の正純それに株式相場局長の大久保長安が続いている。長安は元家康の寵臣である。

半蔵がすぐに王様を見つけて家康に報告をした。家康も片手をあげて挨拶をしてきたので、王様も返礼で片手を上げた。一行は観世音寺門前から山なりに迂回をして江戸城に向けて進んで行ったが、ここに5段の見物席が設けてありツアー客などはここから見物をしている。およそ1時間で江戸城に到着して戦国祭りは終了したが、それぞれが満足そうであった。

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子供3人組はいつもの股引に腹掛けに新門の印半纏を着て沿道の見回りをしているが、交代で新五郎の仕出し弁当を事務所で食べている。ター坊[この仕出しは新五郎の特上ですね。こんなのめったに食べられないけれど、大親分が奮発したんですかね。][そうだジョー。この仕出し弁当はおいしいジョー。]タエ[今日は祭りと同じだから全部王様負担よ。夕方にお呼ばれがあってよかったわね。]ター坊[お土産付きだと思うけれど、家族に期待されていたので良かったですよ。][そうだジョー。ボクんちも与兵衛寿司を待っているジョー。]

タエ[行進は終わったので後はかたづけね。業者さんがメインでやるけれど少しお手づかいかな。新門もかたづけをボランティアでやっているという姿勢を見せればいいわよ。]

ター坊[親分も要領がよくなりましたね。シマウチだから手伝っているという恰好を皆に見てもらうわけですね。][皆の評判は大事だジョー。シマウチは飯のタネだジョー。]





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江戸城の近くの沿道に造られた特観席で会長と娘と友人それに副首相夫婦が見物を終わって、江戸城内のビップルームでお茶を飲みながら談笑をしている。会長たち3人がここの江戸城などを総合的に管轄をしている部署の、非常勤理事になっているのである。

副[やっぱり本物は迫力があるな。あの格好で本当に戦ってきたんだから何処かの格好だけの武者行列とはものが違うわ。]娘[国宝の塊のような武具は収容展示する場所がすでに造られていて、次回まできちっと管理されるそうですよ。ここの面白さに厚みが加わっていいことですわね。]副[せっかくここまで来たので、盆栽を見ていくけれどもいいかな。]会長[私も趣味ですのでご一緒しますよ。]辰五郎の所には祭りの時と同じように薦被り2樽と与兵衛寿司の料理と寿司が300人前がいつものように届けられている。いつもの事だけれど無礼講でかってに飲み食いができるのである。

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普通の場合チヨはいないのだけれど昼間に武者行列を見た流れで、新門の子供たち3人がお呼ばれした席に加わっている。[ご苦労さん。警備の協力で大変だったけど、いつものように用意してあるので食べて行ってください。お土産もタエちゃんを抜かして5人前用意してあるので心配しなくていいよ。チヨちゃんはおばあちゃんと3人分の持ち帰りだな。サスケさんたちスタッフはいつものように2人前です。]ター坊[いつもありがとうございます。両親や兄弟がいつもとても喜びます。][ボクんちもみんな喜ぶジョー。]チヨ[ここよりおいしいお寿司は年間でもお目にかかれませんので、皆と同じようにとても喜んで感謝すると思います。]タエ[事務所に届いた中に北斎さんや広重さんに写楽さん、それに猿回しのおじさんのとこも含まれていますので、戻りましたら、きちっとお届けいたします。][ご苦労だけどそのようにしてくれるかな。さあ、食べてください。]

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