第4話 プレゼント交換会



「「おおお」」



 颯太ふうた君と賢也けんや君がディスプレイに映るあみだくじの動く様子を見て、声を上げました。


 賢也君の方が電子機器はお強いですのに……こう言うアプリはあまり使わないのでしょうか?


 アップテンポな曲が流れ、アイコンが線の上を動いていきます。ほんの少しの時間で、くじは終わり……最後に結果が出ます。


 僕が設定した、くじの結果でそれぞれ辿り着いたのは。


 颯太君と賢也君はお互いのを交換。


 僕は沙羅さらちゃんとです。


 四人なので、こう言う結果もありますからね?



「ほーん? 俺は颯太と交換か?」


「ま、こう言う結果もあるよね? じゃ、お互いこーかん!」


「ですね?」



 僕は、沙羅ちゃんがぶつからないように置いていたプレゼントの包みを、こちらに。逆に僕のは沙羅ちゃんの前に置きました。



「う?」


「沙羅ちゃんのは僕がご用意したものですよ?」


「あ!」



 嬉しいのか、手をパタパタと振りました。喜んでいただけて何よりです!



「なーにかなー?」



 颯太君達も交換し終わったのか、既に包みを開けていました。


 賢也君は、颯太君が用意した重そうな風呂敷を……結び目で非常に苦戦していましたが。



「か……かった!?」


「んふふ〜! 特別製だからねぇ? 座敷童子からの贈り物だもん、貴重だよー?」


「……そりゃそうや」



 とやり取りをした後に、賢也君の納得が反映されたのか……結び目が最も簡単にほどくことが出来ました。


 風呂敷がはらりとラグの上に落ちると……出てきたのは、『加湿器の箱』でした。



「あやかしだからって、こう言う家電とかも普通に扱うよー? 信州も乾燥を舐めちゃぁいけないね? ヒトが扱うのも寿命があるでしょう? これは三十年は安心して使えるから!!」


「どんなチート家電やねん!? …………まあ、おおきに」



 賢也君は少し喉が弱いですからね?


 沙羅ちゃんが来てから……禁煙されたのか、タバコを吸うのを見かけませんが。


 何はともあれ、次は颯太君の番です。



「……お菓子?」



 箱がいくつか。


 ここいらでは名物の『塩羊羹』ですね?


 小分け包装で、切り込みを入れたらすぐに食べれるひと口サイズ。


 それだけじゃなく、愛知にもあった手作り最中セットまで。わざわざ、お取り寄せしたのでしょう!



「……お前でも、沙羅でも。小豆のもんやったら喜ぶ……思うて」



 モニョモニョ言う賢也君……少し恥ずかしそうですね?


 格好よく言えないのは、颯太君の顔がぽっかーんとしていたからでしょう。


 しかしすぐに、颯太君は箱のひとつをぎゅっと抱きしめました。



「ありがとう!! すっごく嬉しい!! 大事に食べるね!!」


「お……おぅ」



 颯太君のキラキラ笑顔全開ですからね、さらに賢也君が照れるのも無理ありません。


 僕はと言えば、沙羅ちゃんの分も一緒に開けましたよ?


 沙羅ちゃんからは……コーヒー豆、焙煎済みのフルマンブレンドの箱。


 僕からは、賢也君と似た理由で……小豆のお菓子です。僕は水羊羹にしてみました。夏ではありませんが、冷凍ものがお店によるのですがきちんとあるんですよ。


 今自然解凍されているはずなので、すぐにでも食べられるでしょう。


 ひとつを開けてみると、適度な冷たさでした。



「食べてみますか? 沙羅ちゃん」


「あう!」



 もちろんと言う感じでしたので、厨房で切り分けてからまた戻り。


 ひと口サイズを手で上げますと……何故か、沙羅ちゃんの体が光ったのです!!?

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