第2話 価値の高い欠片②



「うーん……こりゃまた凄い」



 颯太ふうた君が、沙羅さらちゃんが出したという『心の欠片』を確かめるのに……扇子の上に載せますと、感心するように眺めていらっしゃいました。



「……そんな凄いか? 柊司しゅうじのと似とるん?」



 僕より先に賢也けんや君が質問しますと……颯太君が、首を縦に振りました。



「結構いい勝負。同じか……少し下くらい」


「と言うことは……」



 下手すると……沙羅ちゃんの欠片で、億越え!?


 やはり、幸運のケサランパサランと言うこともあり……価値が跳ね上がっているのでしょうか!!



「お待たせどすー。……あら」



 美麗みれいさんが仕度を整えてからやって来ますと……僕らの状況を見て、びっくりされました。無理もありません。



「……その、欠片は?」


「沙羅が無意識に出しちゃったんだよねー?」


「お……お嬢さんが、自力で?」


「多分、僕の見て覚えたかも」


「あう!」



 沙羅ちゃんはそうだと言わんばかりに、強く頷きました……。



「……この欠片、誰のもんなん?」



 少しの間、沈黙になりましたが……賢也君が挙手して颯太君達に聞くと、颯太君も美麗さんも首を捻りました。



「せやなあ? うちは、店長はんので十分ですし」


「僕もお金には困っていないし……。必然的に、柊司君じゃない?」


「ぼ、僕ですか!?」


「お店経営している君達なら、あって困らないものでしょ?」


「……確定申告とか、どないすればええんや」


「そこはいじってあげるから〜」



 と言うわけで、見学以上に僕らも換金所で欠片をお金に変えることが決定してしまいました。


 場所は、美麗さんのお店から十分程度離れた……袋小路の終着点の様なところ。


 まるで、高級旅館のような……朱塗りの壁が特徴の、素晴らしく高い建物でした。最低、五階くらいありそうなくらいです。



「……でか」


「大きいですねぇ」


「あとひと月くらいで年末でしょー? だから、競りがにぎやかになるんだー」


「……競売でもするん?」


「価値のある欠片を、無闇に売り買いさせない方法なんだよー」


「「……なるほど」」



 普通のリサイクル(?)とも少し違うんですね?


 美麗さんが先頭になって玄関の前に立つと……木製の引き戸ですのに、自動扉のように横にスライドされました。


 人間の文明などを、取り入れているとは聞いていましたが……こう言うところにもあるんですね?



「……いらっしゃい」



 中にいらっしゃったのは……銭湯の番台のように作られた店内に、狐耳の初老の男性が座っていました。


 少し高い位置にいましたが、美麗さんがお辞儀をするとその場所から身軽に降りてこられました。



「こんにちは〜。うちら、欠片の換金に来ましてん」


「ほー? 和菓子の、のだけでなく……ん? そちらは?」


「僕のツレ〜!! 大丈夫!! 許可出して連れて来たから!!」


「……左様で」



 男性はチラッと僕と賢也君を見ましたが……特に敵視することもなく、目を伏せただけでした。

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