第2話 勘違いから

一目ぼれの相手は佐藤あかねさんと言い、よく行く喫茶店の店主さんだ。

多分30代程度だと思う。自分からするとお姉さんという感じ。

そもそも、彼氏がいたり結婚していたりするのだろうか。

可愛いからありうる。そしたら初恋が一瞬にして挫折になる。


いつも仕事を頑張っていてテキパキと仕事をこなすお姉さんだと思っていたが、、、

たまにミスをしたり、ぼーっとしてたり、暇なときは本を読んでいたり。

とにかくたま~にドジっ子になったりしていてギャップが面白いと思っていた。


ある日ちょっと調べごとをするため長く喫茶店に居た。


結構早くから行っていてお昼も食べて夕方になっても居座っていた。

少し日が傾いた時間にふとお姉さんの方を見ると、、、

柔らかい表情で少し長い髪をかき上げながらこっちを見つめていたのだ。



ちらっと目があったから驚いて目を背けた。



もう一度見てみるとまだ見つめられている。

これはぼんやりしていて気付かれていないのか。


ず~っと見つめられているので、自分もドキドキし始め、気付いたら好きになっていた。



その時には確実に恋に落ちていたのだ。


いつも元気にしている佐藤さんのあの表情、仕草、まっすぐ見ている瞳、、、

すべてがドンピシャに好みど真ん中だった。




後で考えると、長く居座る迷惑な客と思われていたのか、それともただ疲れて休んでいただけかもしれない。


佐藤さんは毎日モーニングから夜まで休みなしに働いている。

一度だけ聞いたことがあるが、時々休んでいるから大丈夫と言っていた。

(休んでいるところは見たことないがたまたまかもしれない。)




今日も喫茶店に行き佐藤さんをちらちらと見つつ勉強している。


「いつもありがとうございます。今日はどうかしたんですか?ちょっとそわそわしてるみたいだけど、、、」



はっ、、、見つかってしまった。でも覚えてくれてるんだ。うれしい。


「え、えと、その、佐藤さん、ええと、休みいつですか?」


あ、やってしまった。これはマズい第一印象、、、。

恋愛不適合者でもわかる失態をしてしまった。



「あ、え、えと、私の?次の金曜日だけど。デートにでも誘ってくれるの?、、、あ、違うよね!お店のだよね。」



あ゛~なんて可愛いんだ。焦ってるのも、勘違いしてるって思いこんでいるのも、すべて可愛い、、、


こうなったらヤケだ。

「こ、今度遊びに行きませんか?」


「えっ、デート?私でいいの?」


もしかして佐藤さんは誘われるのに慣れていないのかなぁ。

そもそも旦那さんがいたり彼氏がいるなら、誘っても遊んでくれないよなぁ。

これは、ちょっとくらい可能性あるかも!?


「え、もちろんです!えと、いいんですか?」


「遊ぶのってとっても久々だから、私も楽しみ。金曜日で良い?」


「え、本当にいきなり誘ってすみま、、、え、えと本当に?すごく嬉しい、です。」


「じゃ、連絡先交換しましょ。Linkでいい?

あ、あと佐藤さんってやめて~。下の名前で呼んでほしいかな。」


「は、はい。あかねさん!」


「名前、藤井君っていうのね。あ、ゆうちゃんって呼んでいい?」


「は、はい。なんか恥ずかしいですけど、、、」


すごい。好きな人の連絡先が手に入った、、、

それと、あかねさんって合法的に呼べる!

あと、ゆうちゃんって、、、、

いい響き~~~~!!



間違いから始まってしまった(?)お付き合い。

とっても嬉しくて幸せな日になったし、この金曜日にはデートしてくれるって、、、

もう毎日ニヤニヤして生活してしまいそう。嬉しすぎる。

今までこんなに嬉しかったことって無い気がする。


ただ、あまり知らない男とデートするってちょっと不用心過ぎないかなとも心配に。


とにかく、デートの作法とか情報とか、何をしたらいいかとか、後は映画やドラマも見つつ最優先で勉強しよう。これは授業なんかよりよっぽど大切な事。


あ~、いつでも言えるって何か嬉しい。あかねさん!


つづく

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