終わりの始まり ⑥



「はは…どうせ嘘だろ。俺を騙そうとしたって無駄だ」



「あのさ、私、やられたことはやり返す習性があるの。あなたの奥さんも可哀想ね。なんの罪もないのに死ぬなんて。言っておくけど、奥さんが死んだのは」



言葉を止めてサンザリカの胸ぐらを掴み思い切りにらむ。



「あなたのせいだから」



耳元で囁く。その途端サンザリカは落胆した。ピクリとも動かず座り込む。ルリスを殺した時、カナリヤに言ったことをそのまま返した。ショックすぎて口も動かないのか。死んだ魚みたい。



おもしろいね



心の中で満足感に浸る。しかしまだもう一人いる。



「アイ、私はあんたを一番許さない」



「別に許されなくたっていいわよ。私は私のやりたいことをしているだけなんだから」



「マリヤから聞いたわ。あんたがこうなったのはマリヤのせいだって。まああの話を聞いたらそりゃあそうかもね」



「ちょっと待って。マリヤがそんなことを言ったの?」



動揺しているのがわかる。



「ええ、私のところに言いにいたわよ」



「マリヤのせいでこうなったわけじゃない!私自身の意思でやったことよ!マリヤには関係ない!」



「マリヤ最後にこう言ってたわ。私のせいであるから私を殺して、そしてその後にアイを止めて、ってね」



「まさか…マリヤを殺しったの?!」



「もちろん。殺せって言われたかあら殺したわよ」



「お前…よくも…!」



怒りに満ち溢れたアイはカナリヤの前に立ちはだかる。



「何怒ってんの?ねえ、あんたにも同じこと言わせてもらうけど、マリヤが死んだのはあなたのせいでしょ?あなたがこんなくそみたいな茶番をしなければマリヤは死なずに済んだ。マリヤはお前のせいで死ぬ運命になったんだよ」



アイはその場で泣き崩れた。



「お前は今までなんも罪もない人たちを無惨に殺した。殺された人たちの家族、友人がどう言う思いで生きてきたと思う?毎日毎日その人のことを思って生きて、時には自分の無力さに絶望して自殺しようとするもの、時には精神がおかしくなっていくもの。人生を狂わされた人たちがたくさんいる。お前もその人たちの気持ちがわかるか?大切な親友を失ってやっと分かったか?それでも自分は正しいと思うのか?」



「…知らないわよそんなの。他人のことなんて私には関係ない…私は私の好きなようにする!」



背中に手をやり出してきたのは真っ黒な短剣。カナリヤはヤバい、と思い避けようとした。その時だった。



  




「やめて!」

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