終わりの始まり ⑤
決着をつけるためハーネストに頼んだことをできたか聞く。
「ああ、確かにいたよ。ちゃんと言われた通りにしといた」
「ありがとう。私も備えておいたから大丈夫。それで、アイは今どこにいる?」
「二階のロビーにいると思う。サンザリカもいるよ。まだカナリヤが起きたことは言ってない。なんとか隠してきたから」
「わかった。色々とありがとう。今日で終わりにしなきゃね」
拳を握り締め二階の窓を見上げる。数年かけてここまできた。やっとのことで。これまで自分と同じような目に遭った人たちを見て怒りが収まらなくなった。
「行くわよ」
「待って!俺も行くよ」
ルーセルが走ってきた。
「俺もだよ」
ハーネストも言う。
「勝手にして」
剣を肩にかけ建物に入る。階段を駆け上る。そしてロビーへとつながるドアの前に立つ。
「行くよ」
バンっ
「あら、カナリヤじゃないの。生きていたの」
アイは真顔でドアのほうをみる。驚いてる様子はない。後ろのサンザリカは無言だ。
「全く頑固だね。あんな猛毒でも死なないなんて。生命力高すぎでしょ。前の奴らは一瞬で死んだのに」
残念そうに言う。前の奴らはマリヤが言っていたいじめてたやつらのことだろう。マリヤの言うことは本当だったのか。
「まあ私の力があればあなたたちなんて一瞬で殺せるけどね。じわじわと苦しめようかと思ったけどもういいや。すぐに殺してあげる。バイバーい」
アイがカナリヤたちを見つめた。
しかし、誰一人アイに操られなかった。流石のアイも驚いていた。
「あれれ、おかしいね。あなたの力全然効いていないわよ」
「は?あんた何したの!?」
「面白いね。そんな慌てて」
だんだんとアイに近づく。しかし、サンザリカがアイの前に出た。
「ああ、あんたにもちゃんと罰を与えなきゃね」
「はっ、何を言ってるんだ」
剣を構えてくる。お構いなくサンザリカの前に立つ。
「あんたの一番大切なものを奪ってやったわよ。私と同じことをね」
サンザリカはなんのことなのかわかっていない様子だった。
「俺の大切なものってなんだ?どうせ嘘だろ」
「嘘だと思うなら信じなければいいでしょ?気づいた時にはもう遅いけどね」
満面の笑みで言う。それでもサンザリカは分かっていない。そろそろいっか。そう思いポケットから血のついたネックレスを床に投げる。それを見たサンザリカは分かったようだった。
「お前…あいつに何をした!」
「何をしたって、あんたと同じことをしただけよ。何が悪いの?」
「お前まさか…」
「ええ、あなたがルリスにしたようにあなたの奥さんにも同じことをしたのよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます