第3話

  

※レマイア領中央冒険者ギルド内 未だ食事中



 まああれですよ、浮ついた雰囲気が突き抜けて、制御不能で飛んでったわ。

これはあれだね、ちょっと誤魔化すか?俺の目の前のスープに、嫌いな野菜が溺死してるからな。


 さくっと掬ってさいならーしながら、彼女の口元へと優雅にお届けナウ。


 なんかめっちゃ目を白黒しながら驚いてるけど、ここは目一杯の愛眼しつつくいっとだよ。

よし!かなり呆れていそうな感じだが、やれやれもぐもぐの咀嚼でないないですわ。




・・・・・




 何だかよく解りませんが、食事を終えたオレ達は一緒の宿へと入った。一先ず正確な状況としてはだ、あれからたいした会話も無のまま「俺の宿はいつもの所だから」そうそういつものだ、飯屋から見える場所の宿屋だな。その名もギルトの側亭だぜ、責任者出て来い!


 その宿屋の前に着いたから何かを言おう思ってたら、俺の腕へとしがみついて「いらっしゃい」宿の中に突入させられた。異世界あるあるはないのだよ、俺が予約していた部屋は最初から2人部屋だから。この為って訳じゃ無いぜ、元から一人部屋がある宿など聞いた事がないもの。


 1人で泊まる時に金に困ったのなら、雑魚寝の大部屋が直行って事さ。それでも大き目の宿屋なら、25人~30人前後が詰め込まれる嫌な大部屋があるとか。


 知りたくない情報だ・・他は、24時間営業の飯屋なんてある筈も無いから、ギルドの訓練所で誤魔化し訓練で行動不能と嘯く。それを何日も続けると目を付けられるが。


この世界は冒険者に優しくない・・ニート虐めは良くないぞ。働き口が少ないからこう成ってる訳さ。当人の問題な気がする・・気のせいにしよう。


 それよりもだ、その後の俺達が何も無かった訳じゃない。(やっちまった・・)いや、まだやってないよ。


 知り合いばかりの宿屋だから、店の者に客等がばっちり見ていた。俺達はそんな間柄の2人だと。だが今はそれどころじゃない、最大のチャンスを逃す事はしないから。


 受付で部屋の鍵を貰い階段を上る、いつもと違う状況だが良く使っている部屋だった。その後は詳しくは覚えていない、彼女が「・・初めてだから」「優しくするよ」聞いたか言ったかでもえっちい事はしたと思う。

 

 そんな感じの夜を可愛らしく過ごした朝には、狼男の俺さまが又も激しく攻めたのさ。昨夜の余韻のまま俺の横に寝ていた彼女、そこへ優しく口づけすると恥ずかしそうに背をむける。


 その背後から両手や足だけでなくあれも使って追い詰めちゃった、あははは。結果が良ければ全て気持ち良し!すいません。


 それでくったくたに成った彼女が、蔑んだ目を俺に向けていた。若くてすいませんと誤ったほどだぜ。俺のはリボルバーだから、幾らでも行けちゃう・・イカしちゃったけど。


 彼女との急な進展を何となく問い質してしまったが、戻って来た時から俺の雰囲気が変わって心配が疼いたらしい。


 そこは魔物に襲われ生き残った俺だか、大事な仲間を失ってしまった状況をか。それを可哀そうと思ったのは確かだったのだろう。それでもそれだけじゃ無かったらしい、その事で自分を捧げる事には成らないからな。


 そんな気持ちを考えずに、俺が使ってしまった最強秘技のちちくっマンボは全てを淫乱に塗り替えちゃった。ウインウインだと思って欲しい。俺得だと責めないでね。


 それと・・それは叩く所じゃない。良い記念日はそんなにあったりしないのだよ。モグラ叩きじゃないから。



 その後に早めの昼食?を済ませた俺達は、嫌がるメイサリスを連れて実家である領公館へと向かう。


 昨夜のメイサリスも実家には行きたくないと拒絶していたが、うんと言うまで何度もチュッチュしての説得済みだ。だがそこは注意が必要、張りのあるプリットした唇がふにゃふにゃなってしまうからな。


 そんなキス魔を思い出した自分が怖い。俺は猿だった・・初めて覚えたキスで、何かとキスをする俺に成ってしまったからだ。


 そんなある日に相手の女の子が「唇が異常に柔らかい」褒め言葉では絶対に無かったな。


 元気してますかー的にチュツチュした俺って何者?そこは抱擁返しを発動しただけさ。気軽に抱きしめるな。



※レマイア領中央領公館


 領公館に入り昨日の事後報告の受付を済ます、ギルドから報告は済んでいるらしく俺事情で夕方まで待ちそうだ。呼び出されるまで、今も有る自分の部屋へと移動する事にした。


「お客様こちらへ」が「坊ちゃまお呼びです」に変わるだけだが。


 それまでは暇なのだよ、報告する気概が下がったので家族へと挨拶をする。とはいっても母親と側付き使用人が数人で、嫡子の嫁であるミシアさんなどしか居ないけど。


 その旦那のアトレア兄さんは、領公館の中で勤務中真っ只中だからな。その場での注目の的に成ったのは、子息の俺ではなくメイサリスだ。


 間違いなく色目がねな要素のそれになるが、三男に関わった貴族の不満は生まれない。何か起こしても先で不名誉は語られず、確実に絶たれ消されるだけだ。


 ここはさらっと流して、メイサリスは預けてお任せをする。この前世の俺は、わりと台所関係に煩かったらしく趣味の延長に飛び込む。それでもこっちの世界の、とても狭い知識でしかないが。


 それに貴族の習慣に辟易して、メイサリスがミイラみたいに干からびても困る。だから急いてお茶のお供でも作り、敵地へ颯爽と救援へと駆けつけよう。


 武器がおやつなのはどうかと思うが。その適地へ置き去りにした俺が、助けに舞い戻ったとは言い難いけど。


 直ぐに戻れない諸事情は、色々とと無い物が多過ぎるからだ。レンジでチンとか出来ないし、まともなのは焼き菓子くらいだ。


 何でもかんでも焼きやがって・・蒸かし缶などもっての他だ。俺がフカしまくっても、それに反発した嫌みが膨れるだけだよね。


 台所に合ったデザート用の果物を少し分けて貰い、小麦粉を使ったクレープでも作ろう。熟れてない果実でも、軽く炙れば何とか成らないか?


 甜菜糖でじっくり煮る時間は無いから、とにかく焼く・・スブレットみたいな完熟?そこは何でもいいし。小麦粉がわりに蕎麦粉があったなら、異世界ガレットって事になったのに残念だ。


 台所の火種は何時でも入っている、点けたり消したりする方が非効率だし、薪より雑木の方が遥かに安いからそれを特殊な液体に漬け込み、その後は一日ほど天日干にするそんな燃料だ。


 そうするとあ~ら不思議、1日2本~3本で賄えるお得燃料だよ。


 価格が10倍以上もする薪を買う必要も無く、態々建築資材を無駄にする必要も無いからな。そこは平民ではかなり厳しい、燻っている火元の番が必要になってもお助け人は存在しない。


 無い物には工夫で賄えば何とか成りそうだが、大型のフードコートは発案出来ない。その出来合い物を買い求められる者も、そんなに多くは存在しないからだ。


「坊ちゃま、巷ではそのような食べ物が流行っているのですか」


「無理無理、オヤツが無理だよ」当然だな。明日の食事の心配する者も多いのだから、大事な小麦粉をオヤツには使えない。


 パンとして売られている堅い奴でも、銅貨2枚出して3個しか手に出来ない。堅パンって名前じゃないけど。


 今日の台所補佐役だった使用人のサナーは、俺の帰宅で今日の付き人へと変更された。そこそこの数の焼きクレープと、給仕の手伝いをさせる為にサナーを連れて戻る。


 その前にお約束の試食をサナーの口へと入れておく。何度となくサナーが脇に挟まっている?俺の脇セットなのか?調理器具っぽい何かかも?


 彼女は俺専用の試食人に成っているが、甘味には耐性不足だから役目も不足じゃないか?その胸も甘味に応じた膨らみに届いてイテっいないからな。蹴るな!


いや、知らないよ。丸っと出し惜さまないサナーは、しっかり眼福を満たせてくれたからな。いつも助かってます。


 メイサリスの生存確認を配膳と同時に済ませ、先ずはこちらをどうぞと促してみた。


「あら、見かけない食べ物ですわね。どちらかで見つけて来た下々の流行りかしら」


 場を移動してもまたも同じ様な問い掛けであるが、下々の生活など我が母親は知る芳もないだろうに。


 むしろ失敗だったかも?大ぶりなクレープをどう食べさせるか?小さめの焼き菓子だからこその手掴みだし。


「小麦で包んでいますが、果実や甜菜糖をたっぷり使っています。料理屋でも扱い切れませんよ」


「そうなの?」


「売値が高くて、平民向きではありまん。作り置きにすると、無駄が多くなります。注文からの調理では、利益を出せる時間が取れませんね」


「商売とは、難しいモノなのですね」


 結局、母親の分だけは食べやすい大きさに切り分け、いそいそとお届けした。俺のいそいそだ。

ここ数日ほどしか家を空けていなかったが、少ない今の俺状況報告も済ませる。


 その中には冒険者としては格上で、世話に成っているメイサリスの事も盛りに盛った。食べたよとは言わずだが。


 多い情報が無いのは、頻繁に報告に訪れている・・帰らないと連れ戻しに探し周るから、自主的な自首だったりする。それをしておけば、扱いが不起訴になるからだ。悪は必ず滅びる!何の罪だと怒りたいが。


 そこそこ外囲ばかりで満腹なのに、この後の事後報告がかなり憂鬱になった。しかし、以外とあっけなかったよ。


 こちらは仲間意識が強く状況把握が疎かだったが、客観的に見るなら良く有る冒険者に起きる事故でしかない。起こしてもいないし、身に降りかかてもいないのだ。


 それの厳重注意は、この先も続けて行くのなら我が身を大事にしろと。この歳にも成って親から怒られる的な・・まったく持って気を付けます。命大事に!


 それではサラバじゃ!は許されなかった。俺の下半身事情を探られる感じがヒシヒシとしたが、お澄ましサナーに変化を見られなかったのは不思議に思う。その辺を良くご存知のサナーなら、しつこく勘繰る事が予想されたからだ。


 まさかの子供脳?性教育が不足してたりするのかも。彼女のスッポンポンを何度も見かけている。それも勢いよくスッポーンと脱ぐからな。


 スキル持ちかも知れない、何着か可能な変身機能を。だがダメな時に掴むのは止めて欲しい、戦士が奮起しても戦場が無いのだ。


 これからは違うけど、敵の錯乱に迷ったらどっちからも刺される未来が見える。そんな逆転劇は夜に多いのかな?

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