避難先の宿 ー③

➖避難先の宿


朝食をゆっくり食べていると、人が増えていた。川の増水で自主避難してきた人らしい。慣れているようで、緊張感はなく和気藹々としてる。ただ、人口密度が上がった。甲冑さんも埋もれているように見えないね。避難という名目を持ったお泊まり会になるらしく、団体さんが来たという認識になった。賑やかな道を置いてある荷物を避けながら進む。


そう思っていたより、もっと悪化している。川の増水があったと聞いた。

「そこまでは考えつかないです。」誰ともなしに呟きいた。それでも、予定通り宿に居て、今日は置いてある本を読み漁ろうと思う。ざっと読んで気になることとわからないものは文明の利器を使って調べるつもりだ。そういえば大丈夫か?と調べれば、ネット環境に影響がないのは助かる。気持ち的にも暇つぶしにも。今朝は洋食風にモーニングをいただき、部屋でニュースを見た。全国的に雨なのは昨日の予報と変わらない。バケツをひっくり返したような、ゲリラ豪雨の可能性を伝えている。テレビ画面には、大きな駅前で傘はさしているもののびしょ濡れになっている人々。今後、風も強く出てくるのだろうか。海に近いだけに荒れが心配だ。海の近くに住んだ事がない、憧れがあったからこの宿にしたとも言える軽さを少々気を揉む。しかし、とくに私ができることもなく当初の予定通り、


持ち込みのインスタントにしようかと思ったが、声をかけられ海鮮焼きそばを御相伴に預かる。お礼を良い部屋に戻って刑事ドラマをダラダラと観た。こんな過ごし方も贅沢だ。夕飯に準備も献立も考えなくて良いのだから。結局、午前中しか本を読まず夕飯の時間になった。お腹はほどほどに減っているお淑やかにステーキをいただいた。満足して帰る前に宿の人と話をする。外は暗く、雨が打ちつける。

これは、しばらく部屋に篭りきりになろうと思う。持っている端末で映画をみようと決めた。なんでかホラーを見るこの雨で、



雨のせいで土砂崩れ

悪霊を鎮めて、無事生還っと。途中トイレへ中座してのんびりした。まだ夕飯には早い。

そんなキャピキャピな女の子達から離れ、少し歩いてから部屋に戻ることにした。こう食っちゃ寝は楽しいが、体重に響くのは辛い。気づいた時に動くくらいしないと運動習慣などないに等しい。運動神経はそれほど悪くないつもりだが。ケンケンパッと声が聞こえる。この雨でも元気だなあ。小さな子にとっては遊べれば逞しい。そろそろ土産を決めようかと売店を除いた。まんじゅうは買いで、チョコレート系も気になる。海の近くなんだから海鮮物をスルメはどうだろうか。酒のあてになるものを実家のお土産にしよう。自分用と配る用の品を考える。駅によって買うのはどうだろう。それなら1食弁当で済まそうと


この宿がもとこの土地のゆうしの屋敷で、昔水害にあった地域の人に宿を貸したという過去があるらしい。川と海があり雨が多く降れば、危ない地域というのはわかっている。その水量まで上がれば、その地域で呼び合ってこに宿に来るということを


あんたも好きね?のセリフは甲冑の人が言うわけないが、なんとなくアテレコしてしまった。笑いを噛み殺しながら部屋でご当地の物を調べて過ごした。


アイスは食べたい

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