2.繰り返された乱痴気騒ぎ。
二〇二一年・五月十四日――LGBT法案について与野党議員が会合を開く。
先に述べた通り、野党案は差別の解消を謳い、与党案は理解の促進を謳う。しかし野党案が通る見込みは少ない。それゆえ、「差別は許されない」の一文を与党案に加えることを野党議員は要求する。結果、会合に出席した与党議員はそれを受け入れた。
しかし、「差別は許されない」という言葉は自民党内で紛糾する。
五月十九日――自民党員の山谷えり子氏が、LGBT法案についてマスコミからインタビューを受けた。
山谷氏はこう発言する。
「アメリカなんかでは、学校のトイレのことがPTAで問題になったり、女子の競技に男性の身体で心は女性だからと言って色々メダル取ったり、そういう不条理なこともあるので、少し慎重に、『性自認』という概念と、『差別はあってはならない』というところは、アメリカなどからも学んでね、ちょっともう少し。元々、日本は多様性を認める寛容な社会ですから、理解が進んで多様性を認めてより寛容な社会になることはとても素晴らしいと思います。」
五月二十日にも、LGBT法案についての会合が自民党内で開かれる。そのとき、衆議院議員の一人が(LGBT法案は)「種の保存に背く」「道徳的に許されない」といった趣旨の発言を行なう。翌日、このことは関係者が明かした。
一連の発言は瞬く間に炎上する。
「種の保存に背く」「道徳的に許されない」――確かに不適切な発言だ。しかし、これについては該当議員が謝罪すればよかっただけの話だろう。
不可解だったのは、山谷氏の発言まで含めてバッシングされていたことだ。しかも、「不条理なこともある」という発言は、「バカげたことが起きている」へと変えられて報道される。
『自民・山谷氏「ばかげたこと起きている」性自認めぐり』朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASP5M52GTP5MUTFK004.html
『自民・山谷氏「ばかげたこと」』共同通信
https://jp.reuters.com/article/idJP2021051901002288
『山谷えり子氏のLGBT差別発言は「無知」「明らかな五輪憲章違反」撤回求め署名も』東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/105806
「自民党・山谷えり子議員が『体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、アメリカなんかでは女子陸上競技に参加してしまってダーッとメダルを取るとか、ばかげたことは起きている』と発言。トランスヘイトが自民党保守派と合流し非常に危険。命を脅かしている。」
https://twitter.com/ssimtok/status/1394936793900806150?s=20&t=lehDOYe7ptHsY0tMd0R21A
――トランスヘイト?
「まず最低限、当事者の実態を見てから発言してほしい、それを無視して極端なデマを拡散させることは非常に悪質。トイレ利用は身体的な状況に限らず周りからどう認識されるかなど、当事者や現場はすでに調整している。ただトイレを利用したいだけなのに利用できず困難を感じている当事者が実際にいる。」
https://twitter.com/ssimtok/status/1394936795821924352?s=20&t=lehDOYe7ptHsY0tMd0R21A
一体なにが「極端なデマ」なのだろう。トイレ利用の件では、アメリカでも日本でも裁判は起きている――「現場で調整されている」というレベルではない。ましてや、女性に見えたら女子トイレを使ってもいいという話でもない。
松岡はこう続ける。
「スポーツも学校教育などの場や競技スポーツなどによって状況は異なるし、競技においては日本スポーツ協会がガイドラインを策定し参加資格など紹介している。議論はあるがトイレやスポーツのみを持ち出して『性自認』という概念によってトランス女性がさも"侵入"してくるといった悪意の扇動は言語道断」
https://twitter.com/ssimtok/status/1394936797361098752?s=20&t=lehDOYe7ptHsY0tMd0R21A
男女で圧倒的に体力が違う中、「状況によって」何が違うのか。少なくとも議論があるからこそ山谷氏は異論を述べたに過ぎない。
しかも、女子競技や女子トイレに男性が入ることを松岡は肯定している。それをデマだとする発言の方が「悪意の煽動」だ。
このような煽動は松岡だけではない。
NHKニュースなどは、「自民党議員が『種の保存に背く』『道徳的に許されない』と言った」と説明した直後、山谷議員のインタビュー映像を流していた。映像をそのまま見ると、「種の保存に背く」云々の発言を山谷氏がしたかのように見える。
案の定、そのように誤解した批判が山谷氏には殺到する。特にツイッター上では、松岡の言葉を鵜呑みにして「山谷えり子がデマを飛ばしている」と主張する者が後を絶たなかった。「種の保存」云々の発言が誰のものか分からない中、最もバッシングを受けたのが山谷氏だ。
後日、例の発言をしたのは衆議院議員の
そもそも、山谷氏はGID特例法の成立に尽力した人物である。つまり、二十年前からこの問題に関わっていたのだ。一方、過激な性教育を批判していたこともある。それゆえ、
五月三十日――自民党本部前に醜悪な光景が再び出現する。
虹色の旗やらプラカードやらを掲げた人々が三百名ほど集結したのだ。
プラカードにはこう書かれていた。
「自民党は道徳的に許されない」
「自民くたばれ」
「FUCK自民党」
デモのターゲットは簗でも山谷氏でもない。
最初から自民党だったのだ。
彼らは一般的な性的少数者ではない。そもそも性的少数者なのかも判らない。「反差別」を掲げていれば何をやってもいい――「差別だ」とさえ言えば何をやってもいいと考える連中だ。
太鼓の音と共に百鬼夜行は歌いだす。
「サベツをヤメロ!」「「「「サベツをヤメロ!」」」」
「サベツをヤメロ!」「「「「サベツをヤメロ!」」」」
「サベツをヤメロ!」「「「「サベツをヤメロ!」」」」
「サベツをヤメロ!」「「「「サベツをヤメロ!」」」」
「サベツをヤメロ!」「「「「サベツをヤメロ!」」」」
当然、杉田水脈への抗議デモの繰り返しだった。恐らく、同じ人たちが集まったのだろう。
しかし、六月二日にLGBT法案は見送りとなる。
あのデモがLGBT法案をむしろ見送らせたと、参加者は気づかなかったのだろうか?
簗の発言はともかく、山谷氏の発言は真っ当なものだった。そんな山谷氏の発言まで「デマ」「差別」だと言いがかりをつけ、しかも虹衛兵たちが自民党前で乱痴気騒ぎを起こしたのだ。「差別は許されない」という法律を通せば何が起きるのか――自民党員に知らしめたのである。
性的
LGBT活動家は性的少数者の代表ではない。彼らのやることは、口先での印象操作や恫喝・集団での大騒ぎだ。「差別」を口実に他者を委縮させる彼らの態度には、当事者からも批判が殺到している。
常識的におかしいことは、当事者でもおかしい。
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