元カノ日記

猫屋敷 鏡風

第一章〜自慢の彼氏〜

彼氏の部屋で、変なノートを見つけた。

タイトルのところが修正テープか何かで消されていて、その上に『元カノ日記』と書いてある。


あいつ…まだ元カノのこと忘れられずにこんなの書いてるの?最低!


私、鮎川 梨守奈(アユカワ リズナ)。高校3年生。

私は今、同い年の彼氏、片倉 龍馬(カタクラ リョウマ)の家に同居している。

リョウマは勉強もできてスポーツ万能。

その上なんといっても超イケメン。

しかも、実家が金持ちだから、親の援助でこの広いマンションに私と二人暮らし。

高校を卒業したら私はリョウマと同じ大学に入って、大学を卒業したら結婚しようって話になってるんだ。


誰もが羨む自慢の彼氏。

でも、私はリョウマに1つだけ不満がある。


元カノの事を忘れないところだ。


この前2人でゲーセンに行った時も、

「ここ、アイツとよく来てたなぁ。」

なんて言ったり、

「アイツ、このぬいぐるみ凄い好きだったんだよ。」

なんていうどうでも良いこと言ってきたり…

リョウマのことが好きな分、元カノの話をされると心底腹が立つ。


挙げ句の果てにこんなノートが出てくるなんて…

破り捨ててやりたいけど、リョウマが今元カノの事をどう思ってるのかが気になる。


知りたくないけど知らずにはいられない。

リョウマの元カノ…

確か名前は…シュリだっけ?

全く、嫌いな人の名前に限って覚えてる。

なんて事を考えながら、私は『元カノ日記』のページをめくった。


最初のページ…1年くらい前の日付だ…

付き合ってた頃から書いてた日記なのだろうか?

元々は『彼女日記』とかで、別れたから『元カノ日記』に書き直したの?いや、どっちにしても別れた女の日記なんて残すなよ…。


私はイライラしながら文章を見た。


『20××年 12月26日

今日は2人でゲーセンに行った。』


…それだけ?ま、あの女との思い出なんてそれくらい薄っぺらかったって事だよね。

私は少し優越感に浸り、ページをめくった。


『20××年 1月1日

2人で初詣に行った。』


やばっ。さっきと同じような感じ?リョウマのSNS常にチェックしてるけどこんなに語彙力無かった?いや、そんな事ないはず。この女がつまらなすぎたんだね。

また優越感に浸る私。


それから何ページかめくって見てみたけど、全部同じような書き方。全部『2人で〇〇に行った。』だけ。リョウマって、アナログだと語彙力無くなるのかな?

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