酔客二人。

八木☆健太郎

あの「チンチン」を考える。

「ねぇ、先輩・・・。」

「ぁん?」

「変な話、してイイっすか?」

「変な話ぃ?なんだ藪からスティックに」

「ぇ、あ?・・・スティック?」

「あ、あぁ『藪から棒』な。」

「あぁ・・・あ、アレっすか?『ルー言葉』ってヤツっすか?」

「あぁ?それを言うなら『ルー語』な。」

「え?あ、あぁそうでしたっけ。」

「で、なんだ?変な話って?」

「あぁ、あの・・・大阪の方の人って熱々のモノを 『チンチン』って言うじゃないっすか?」

「あぁ、よく言ってるなぁ『チンチンの・・・』って。」

「えぇ。そこんとこいくと・・・あの、加藤茶の『うんこチンチン』ってギャグ・・・。」

「なんだお前、人が飯食ってる時に『うんこ』の話かっ?」

「ま、まぁイイじゃないっすか。この寒空の屋台に二人だけなんすから。」

「あぁ?ま、まぁ構わねぇけど・・・で、カトちゃんの『うんこチンチン』がどうした?」

「あ、あぁ・・・この『チンチン』って、どっちなんすかねぇ?」

「んぁ?どっち・・・って、そりゃ『おチンチン』の『チンチン』だろぉ。」

「うぅん、ま、まぁそうでしょうけど・・・『熱々の』って可能性、無いっすかねぇ?」

「『熱々の』?」

「えぇ・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・ぃやっ、無いだろ。」

「無いっすかねぇ?だ、だって『チンチン』っすよぉ!?『チンチンのうんこ』って面白いじゃないっすかっ。」

「はぁっ?『熱々のうんこ』が面白いかぁ?」

「面白くないっすか?」

「じゃぁ、なにか?『私は熱々のうんこが出せます』ってか?」

「え、えぇ。」

「ん~・・・むしろ引くわぁ。」

「そう・・・っすかねぇ。」


「でも先輩、もしっすっよ。もし『チンチンのうんこ』が実際に出てきたらどうします?」

「なんだ?まだうんこの話すんのか?」

「ま、まぁイイじゃないすかもう少し。」

「んぁ、いいけど・・・まぁ、そりゃ医者に行くだろなぁ。」

「医者、ですか?」

「あぁ、そんな事態になったら医者に診てもらった方が良いだろ?」

「医者で・・・イイんすかね?」

「はぁっ?」

「えぇ。そこいらの医者よりもっと大きいとこ・・・っつうか、もっと上のヤツの方がイイじゃないすかね?」

「上のヤツ・・・?」

「だから、ほらぁ『なんとか研究所』みたいなとことか。ねぇ、特殊能力を持った人が集まるようなとことか・・・。」

「特殊能力?」

「え、えぇ。『空飛べます』とか、『マッハで走れます』とか、『めっちゃ力持ちです』とか・・・。」

「アレか、『アベンジャーズ』みたいなもんか?」

「えぇえぇ、そういうとこの方がイイんじゃないすかねぇ?」

「あぁ・・・でも、何の役に立つんだ?うんこが熱いだけだろ?」

「で、でも『チンチン』なんっすよっ?なんかの役には立つでしょう?」

「じゃぁなにか?『熱々のうんこが人類を救う』ってか?」

「えぇ・・・。」

「いや~・・・無いだろぉ。」

「無い・・・っすかねぇ~。」

「あぁ、むしろ迷惑じゃないか?」

「そうっすかねぇ・・・。」

「あぁ。さぁて・・・んじゃ、あと一本呑んで帰るぞ~。」

「はぁ~い。」

「大将、熱燗おかわりね~。」

「あ、『チンチン』でっ。」

 はいよ~。

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