誰が…本当の自分自身?

りんた。

第1話【血まみれの母を見ても父は父】

男の子は、三人兄弟の末っ子として産まれ

長女とは五歳、長男とは三歳の年の差で


男の子が、幼稚園の頃は長女長男共に物心がハッキリして来た小学生だった頃に


両親が離婚、そして父親が居なくなってから数か月後だろうか、父親の家族に対しての


未練からなのか、離縁した家族に対して父親が過剰なストーカー行為を頻繫に


繰り返しており、勿論、離婚しているから来るはずのない玄関先に度々訪れていた、


ある日の出来事で、長女長男は小学校に行き、男の子は幼稚園に行く支度をしていた


時に頻繫に訪れていた父親が、また玄関先に現れた、いつもとは、違う感じで母親と


父親が玄関ドアを隔てて口論している中、暫くして玄関ドアが少し開いた、勿論、


用心の為にドアチェーンをかけていたが、どの様に説得されたのか、母親は何故か・・・


そのドアチェーンを外してドアを開けた、その瞬間!父親は背中に隠し持っていた


果物ナイフを大きくふりかざしながら母親に襲い掛かり、玄関奥に男の子を残して、


両親二人は住んでいるマンションの玄関先の階段十数段を揉みくちゃになりながら


転げ落ちていった、階段を転げ落ちながら父親は母親の顔から手足に渡り全身を


果物ナイフで容赦なく数十か所も切り刻んだ、流石に異変に気が付いた男の子が


駆けつけて母親の姿を見た時には、見るも無残な姿になった血まみれになった


母親の姿だった・・・当たり前だが、その時のその後の記憶は無い、


ただ男の子の幼少期に描いた、お絵かきの絵には、赤色のクレヨンは一切使わなかったと幼稚園の先生が教えてくれた、


そんな男の子も数十年後には、三十代になり


自分の家庭を持ち、心にも余裕を持てたのか・・・そんな無情な事をした父親の事が


気になり戸籍謄本を基に消息を辿り、当時は、健在だった父親に会いに行き、


数時間を一緒に過ごしたが、その時間のほんのひと時、以降は、会う事は勿論、


電話や手紙などでも父親との連絡は取っていない、その理由は男の子の心の中にだけにある。

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