第17話 エピローグ
年が明けて数か月後、俺が高校3年生になった4月1日、昼。
俺は如月さんに呼び出された。
俺は会議室に行くとクラッカーが『パーンッ! 』といっせいに音を立てる。
「うわっ! なんなんですか?! 」
「めでたいからね!! 」
ひげを生やしている男性がそんなことを言う。
「めでたい? どうゆうことですか? 」
「君の作品がアニメ化&コミカライズされるんだよ! こんなめでたいことはないだろ!? 」
「えっ?! マジですか!? 」
「ああ! そうだ!! 」
おお! ついにか!!
ついにアニメ化か!!
売れっ子作家から超売れっ子作家にクラスチェンジか~!!
そんなことを思っていると如月さんが紙の束を持って会議室に入ってくる。
「犬猫先生! これから忙しくなりますよ!! 」
如月さんは俺に紙の束を渡すと「目を通してください! 」とニコニコ顔で言う。
言われた通りに目を通すと、予定が夏までびっしりと埋まっている。
これが小説家にとっての嬉しい悲鳴なのだろうか?
「それじゃあまずは、コミカライズを担当する漫画家さんを選びましょうか!! 」
「あの、その前にいちごみかん先生に報告してもいいですか? 」
「もちろん! 」
ひげを生やしている男性からも許可を得たので廊下でゆなに電話をかける。
『どうしたの? 』
「俺たちの小説がアニメ化とコミカライズ化することになった! 」
『おお!! おめでとう!! 』
「コミカライズ化を担当する漫画家を決めるんだけどゆなも選ぶだろ? 」
『そうだね。私も選ぶよ。そっちに向かうね』
その後、ゆなと一緒に相談しながら選ぶ。
夕方、ゆなと一緒に歩いて家に帰る。
その時、ゆなが唐突に「コンビニに寄って行かない? 」と提案する。
「なに買うんだ? 」
「コンビニのレジで売ってるたこ焼き」
「お、懐かしいな! 最初にゆなと会った時に近くの公園で2人でわけて食べたよな! 」
「覚えててくれたんだ……」
「当たり前だろ? あの時ゆなは死んだ目してたよな」
「悠だって辛いのを隠そうと作り笑顔だったじゃん! 」
そう言って俺達は顔を見合わせると「「あははは! 」」と笑い合う。
コンビニでたこ焼きを買うと近くの公園のベンチに座って出会った頃と同じように分け合って食べる。
「うーん! 美味しい!! 」
「だよな」
するとゆなに「口開いて」と言われたので開くとゆなは俺の口にたこ焼きを入れる。
「あ〜んイベントだよ! 」
「なんか違う!! 」
「いいの!! ほらほら、口を開けて! 」
俺は口を開くとゆなはたこ焼きを俺の口に入れる。
食べ終わるとゆなは立ち上がって俺に右手を差し出す。
「これからもよろしくね? 悠! 」
俺は左手でゆなの右手を掴む。
「これからもよろしくな! ゆな! 」
握った手に夕陽が重なる——
売れっ子作家の俺が超売れっ子作家に?! 猫と犬が好き @nikuoisi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます