売れっ子作家の俺が超売れっ子作家に?!

猫と犬が好き

第1話 幕開け……的なやつ

薄暗い部屋に『カタカタ』とキーボードを叩く音が響く。


時刻は深夜2時。別名『丑三つ時』とも呼ばれており、幽霊とか妖怪が出る時間とされている。


そんな時間帯にブルーライト100パーセントカット仕様のメガネをかけた冴えない高校2年生の男子が小説を書いている。


するとスマホの画面に『如月きさらぎひなの』という名前と共に大魔王が登場するかのようなBGMがスマホから流れる。


「もしもし。おはようございます? こんばんは? どっち使えばいいですかね? 」


『犬猫先生! そんなのどっちでもいいです! 咎めませんから! ところで『空気の読めない妹は兄のことが好きなようです!! 』の最終巻の原稿できたんですか?! 』


「今執筆中ですよ」


『早くしてください!! とゆうか、なんでそんなに平然としてられるんですか?! 』


なんでって言われてもねぇ?


「だって、もうそろそろ完成しますから」


『はい? 聞き間違えじゃなかったら、今『そろそろ完成する』って聞こえたんですけど?! 』


「そうですね。あっ、終わりました。今送りますね」


俺は今電話をしている相手のメールアドレスに原稿を送る。


『ほんとだ……。今すぐ読ませてもらいますね! 電話は切らないでくださいね!? 』


ほんとにTPOを考えてほしい。


もし、家に家族がいたら両親が俺の部屋に突撃してくること間違いなしだろう。


そんなことを思いながら部屋にある小さな冷蔵庫からエナジードリンクを取り出して飲んでいる俺は新藤悠しんどうゆう。高校生作家だ。


名前は犬猫で活動している。


『面白い……。面白いですよ!! 』


「じゃあ、オッケーってことですか? 」


『そうですね! あ~、『空気の読めない妹は兄のことが好きなようです!! 』終わっちゃいましたね……』


「ですね~。新作考えないとですね」


『まあ、今はゆっくりと休んでくださいね? それではおやすみなさい! 』


如月さんと通話を終えるとカーテンから朝日が漏れている。


「午前5時か……。今日から新学期か……。だるいな。始業式絶対寝るなこりゃ」


俺はそう言うと椅子から立ち上がってシャワーを浴びるため風呂場に向かった。


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