Eternal Love

ソウト

第1話 入学と出会い

 桜の花が咲き乱れる春の陽気に、オレは高校の入学式を迎えた。中学では特に目立つことがなかったけど、かといって悪くもなかった。普通の中学生だったと思う。


 高校では様々な経験が出来ればと思う。友達を作って、あわよくば彼女が出来ればといいかななんてことを考えたり...

 正門をくぐると、オレを呼ぶ声がした。

「お〜い! 柊斗〜!」

 中学の3年間、ずっと同じクラスだった神凪 賢斗が手を振っている。オレは賢斗の側まで駆け寄った。

「おはよう、柊斗。俺たち、また同じクラスになれるといいな。」

 と、笑顔で言った。大切な親友だ。オレは、

「たとえクラスが違っても、親友に変わりないさ。ずっと仲良しでいようぜ。」

 と返した。賢斗はすごく良いやつだ。他人のことを考えて思いやることができる。間違えた時は、自分の非を素直に認めることができる。人として大切なことなんだろうなと思う。ただひとつだけ、女子を口説いてばかりなことが玉に瑕である。


 玄関の前に、1人の女子が立っていた。道に迷ったのだろうか。辺りをキョロキョロと見回している。声をかけようかと思った時、偶然に目が合ってしまった。透き通るような瞳だった。

 するとそこへ、案内係の先生がやってきた。さっきの女の子は、先生の指示に従って中へ入っていってしまった。

「さっきの子、可愛かったな〜。道に迷っていたって事は、新入生なのかな? 仲良くなりたいな〜。」

 と、賢斗がニヤけ顔で言った。だらしがないというか、なんというか。しかし、健人に言っても彼女がいないんだからいいじゃないかと、軽くあしらわれてしまう。

「俺だって彼女が出来れば、そりゃあ一途になるさ。」

 と、自信ありげに言う。オレは、

「それならいいんだけどさ。好きな人を傷つけるなんて良くないからな。」

 と言って、校舎の中へ入った。とても綺麗で、整頓されているようだ。


 上履きに履き替えると、壁にクラス分けが貼り出されていた。どうやら2組らしい。賢斗の名前もあった。

「俺たち、一緒のクラスみたいだな。知ってる人が居てよかったよ。またよろしくな。」

 と、賢斗が安心した表情で言った。時間がないことに気づいて、慌てて教室へと向かった。


 教室へ入ると、他の人はもう席に座っていた。先生はまだ来ていないようだったが、とりあえず自分の番号の席に座った。

 50音順だったが、賢斗のすぐ後ろの席だった。他にも、何人か同じ中学の人は居たものの、ほとんど絡みがなかったので名前を知っているかな くらいだった。


 しばらくして先生が入ってきた。おそらく担任になる先生だろう。先生の指示で、体育館へ移動した。

 入学式はごく普通のよくあるものだった。あえて言うとすれば、ステージ上で舞踊が披露されたことだと思う。うちの学校のは日本舞踊部があるらしい。

 動きに切れがあり、いわゆる静と動の区別がハッキリとしていた。カッコイイなと思った。


 入学式の後、教室に戻った。まず先生が自己紹介をした。担任は、 松田真司という名前らしい。既婚でも子供が2人居るそうだ。(内心はどうでもいいが、入学初日なので言わない方がいいだろう。)

 その後、順番に自己紹介をした。賢斗の前に話した子に見覚えがある気がした。しばらく考えると、校舎の前で迷子になっていた子だと気がついた。

 彼女の名前は、海田 侑衣というらしい。ショートヘアが似合う、優しそうだなというのが侑衣の第一印象だった。






これは、オレがどんな高校生活を送ったのかを記した物語。

待ち受ける未来は果たして…

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