第28話 最期の家族

——

 「エルエルエルゥゥァァァァァア!」


 エルードシャークルスは伸ばした両腕の鰭で群がるカマキリスレッドやイカスレッドを始めとする大量のスレッドの首を切り飛ばし、その返り血はまるで水しぶきのように命の鎧の周りを飛び散る


 「いい感じじゃねぇかエルードシャークルス! こっちも負けてらんねぇなぁぁぁぁぁ! はひぃはひひひはぁあ! もっともっとぁぁぁぁあ!」


 どんどんと怪人の命を終わらせる命の鎧に触発されたドレッドホークリスは翼を分離させて暴れ回させ周囲の怪人達を八つ裂きにして死に至らしめる


 「エルァァァ……ぐが……ぅ……」


 戦いを始めてから既に5時間、命の鎧の視界は歪み、その身体は倒れそうになる


 「っ……エルァァァァァ!」


 命の鎧は右脚に力を無理やり込めて地面に食い込ませ、両腕を広げて叫んで自分の闘志を奮い立たせる


 「エルァァァ! っ!?」


 怪人を切り裂きながら駆ける命の鎧は瓦礫の下に5歳程の少年が身を縮めて震えている事に気が付く


 「なんだ……? へぇ……なるほどなぁ……!」


 命の鎧が突然戦いの手を止めた事に気が付いた死の鎧はその視線の先に瓦礫の下で身を隠している少年に気が付き仮面の下で口角を上げる


 「ドレァァァァ!」

 「しまっ……エルァ!」


 死の鎧は翼を背中に戻して飛び立ち、少年に向かって突進する

 命の鎧は死の鎧に向かい拳を構え、両脚に力を集中させ飛ぼうとする……が……


 「ガリァィァァア!」

 「ムガァァア!」

 「っ!?」


 怪人から意識を逸らしてしまった事で大量の怪人達が群がり、押し倒され命の鎧は怪人達の中に埋もれる


 「ドレァァァァァア!」

 「っ……!」


 命の鎧の視界には怪人達の隙間から死の鎧が少年が隠れる瓦礫を木っ端微塵に破壊し赤い液体とピンク色の物体が飛び散る様子が映る


 「ガリィァァ!」

 「イガァ……!」

 「ウルファァァァァァ!」


 怪人達は群がって命の鎧を殴り、蹴り続ける……そして……


 「エルァァァァァアァァァァアァァァア!」


 青い光が爆発し、群がる怪人達を消滅させる


 「っぶねぇ!?」


 死の鎧は上昇して青い光をギリギリのところで避ける


 「エルァァァ……」


 その光の中から現れたのは輝く命の鎧、エルードシャークルス タマシイだった


 「へぇ……」

 

 着地した死の鎧は輝く命の鎧を見て興味深そうにその神々しい姿を眺める


 「霊牙はもういないんだな……」

 「ん? あーそうだよ、霊牙は完全に消滅したぞ」

 「そうか……なら……」


 輝く命の鎧は俯いて割れた鏡の破片に映る自分の姿を見つめ、そして顔を上げ死の鎧を睨む


 「ドレッド……私がお前の命を終わらせる……!」


 命の鎧は両腕を牙のように構え声を荒らげてそう言った


 「はっ……そもそも俺に命なんて概念はねぇよ……!」


 死の鎧は両腕を翼の様に広げ、8つの翼を展開して言った


 「「……」」


 2人の鎧の間に沈黙が流れる

 怪人達はその異様な気配に身を震わせる


 「エルァァァァァ!」

 「ドレァァァァァ!」


 2人の鎧は互いに向かって駆け出し、右拳を放つ


 「エルァ!?」

 「ドレェッ……ァが……!」

 「イガァ!?」


 2つの拳が衝突した瞬間、命と死の衝撃波が発生し、渦となって拡散し宇宙に存在する全ての命を死に至らす


 「エルァァァァ……!」

 「ドレァァァァ……!」


 2人の鎧はその衝撃波に吹き飛ばされ命の鎧は両腕を地面に擦らせて着地、死の鎧は両足を地面に擦らせて着地した


 「エルァ!」

 「っ……」


 命の鎧は地面の中に姿を消す


 「……っ!」


 死の鎧の背後で何かが飛び上がる


 「ドレッ……な!?」


 その気配に気付いた瞬間、死の鎧は振り返って回し蹴りをする……が……それはただの瓦礫の破片だった


 「エルァァァァァァ!」

 「しまっ……がらぁぁあ!」


 命の鎧が死の鎧の背後の地面から姿を現す

 死の鎧は反撃しようとするが間に合わず命の鎧の右腕の鰭に背中を切り裂かれる

 死の鎧の背中からは赤く輝く液体が吹き出す


 「がるっ……引っかかったなぁこの阿呆が……!」

 「っ!? ぎぐばっ……!」


 吹き出した赤く輝く液体は生きたように動き出し、鋭い槍に形状を変えて命の鎧の腹を突き刺す


 「ぐがっ……」

 「ドレァァァァイ!」


 引き抜かれた槍は分裂し無数の細い針となって命の鎧の全身を貫き、そして引き抜きまた突き刺す、それを何度も何度も何度も一瞬の内に繰り返す


 「っ……」

 「ほらほらどうしたこのまま死ぬ気っ……」

 「エルァ……!」

 「っ!?」


 命の鎧は全身を貫かれながら1歩前へと前進する


 「まじかよ……大量に死の力を注いでんのにっ……っ!?」


 死の鎧は気が付く、命の鎧を貫いていた針が青く輝いていた事に


 「エルァァァァァ!」

 「まずっ……がぁぁぁぁ!?」


 命の鎧は身体を輝きの粒子に変換して針の中へと姿を消し、針を辿って死の鎧の背後に移動し粒子から命の鎧に姿を戻す

 姿を現した命の鎧は両腕を振り下ろして死の鎧の頭を殴打する


 「ドルギッ……ドレガァァァァァゥア!」


 前方に倒れかけた死の鎧は翼を展開して飛び立ち、振り返り雲を背にし拳を構えて地上の命の鎧に向かい突進する


 「ふぅ……っ!」


 命の鎧は深く息を吐き、そして右脚に全ての力を集中させる


 「エルァァァァァァ!」


 命の鎧は向かい来る死の鎧に向かって回し蹴りを放つ


 「ドレァァァァ……!」

 「エルガァァァァァァァァ!」


 放たれた命の蹴りと死の拳が衝突した瞬間、地球を中心にして宇宙が……霊代と霊牙の存在した世界線が崩壊する


 「エルァァァァァァァァァァァ!」

 「ドレァァァァァァァァァァァ!」


 命の鎧と死の鎧は無の中で目の前の鎧の命を終わらせ死に至らしめる為に力を放ち続ける


 「えるがっ……!?」


 命の鎧の脚に亀裂が走る


 「このまま一気に……! どるがぁ!?」


 死の鎧の拳に亀裂が走る


 「エルギガァァァァア!」

 「ドレルガァァァァア!」


 命の鎧と死の鎧は亀裂から命と死の輝きを吹き出させながら力を放ち続け……そして……



——

 「そして私達は消し飛び、次に目覚めた時には神となっていた」

 「っ……!」


 流牙の意識は現実に引き戻される


 「それから私は様々な世界線を巡り君を……流牙を見つけた」

 「……俺が霊牙と似ていたから選んだのか?」

 「違う……君が命の力に最も適合する人間だったから選んだ……初めて君を見た時は異常なくらい命の力が君を選ぼうとしていたからびっくりしたよ……」


 霊代は乾いた笑いを上げる


 「そのせいで君を不幸にさせてしまった……」


 霊代は瞳を揺らし流牙の顔を見ずに言う


 「霊代……」

 「っ……」


 流牙は霊代に1歩近づいた


 「ごめっ……」

 「俺は許すよ」


 流牙は笑顔で言う


 「俺や鷹弐を戦いに巻き込んだ事や沢山の人の命を終わらせた事……そして……」


 流牙は霊代の瞳を見つめ唇を震わせる


 「俺との約束を破る事も……!」


 『じゃあ約束しようか……私はぜっっ……たいに死なない!』


 流牙は涙を溢れ出させながら、掠れる声を絞り出した


 「っ……はは……覚えてたんだ……」


 霊代は俯き、微かに笑い……そして顔を上げて瞳を青く輝かせる


 「始めようか……最期の戦いを……」

 「あぁ……」


 霊牙は拳を震わせる


 「最期だ……!」


 その拳を力強く開いて両腕を牙のようにして構える


 「アーマード……!」

 「エルード……!」


 流牙と霊牙は青い輝きを放つ


 「俺の牙が……」

 「私の牙が……」


 青い輝きは消えその中から輝く命の鎧、アーマードシャークルス タマシイと命の神、エルードが現れる


 「お前を砕く!」

 「お前の命を終わらせる……!」



——

 「っと、これが俺の過去ってわけだ、死の神になってからはヒューマンスレッドを改造してスレッドを作らせたりとかだな……ちゃんとエルードに擦り付けてやったからバレてない……あとは……鷹弐とかその辺りだな」

 「……」


 鴉の意識は現実に引き戻される


 「さぁてさてぇ? お前達はこれを見てどう思った? 怒りか? それとも力に対する恐怖か?」

 「……」

 『……』


 鴉と雛は黙ってドレッドを見つめる


 「確かに……お前の事は絶対に許せない……」

 『そして力を持つ事も怖くなった……』

 「けど……」

 「けど……なんだぁ?」


 ドレッドは笑いながら言う


 「それ以上に霊牙さんや……」

 『お前が踏み台にして嘲笑った死を……!』


 鴉と雛はドレッドを睨む


 『「鷹弐の無念を晴らす!」』

 

 ドレッドを睨む瞳は赤く輝き出す

 

 「っ……」


 ドレッドの身体はその輝きに微かに震える


 『「来い……ホークリス!」』

 「ホクァァァァア!」


 鴉と雛の呼びかけに空間の壁を貫いて赤い空間の中にホークリスが現れる


 『「……私は鴉であり雛……か」』

 「は?」


 鴉と雛は両腕を翼のように広げ、雛は心の中で鴉の中へと消えていく


 「アーマード!」


 鴉はホークリスと一体化しアーマードホークリスとなる


 「私がお前を……殲滅っ……」

 「ほい」

 「っっっ……がぁぁぁぁぃぁぁあ!?」


 死の神が指を振った次の瞬間、赤い鎧は赤い空間の彼方へ吹き飛ばされる


 「ずがぁぁっ……グレァァァァ!」


 赤い鎧は8つの翼を展開して震わせ吹き飛ばされる勢いを止める……が


 「こっちだ」

 「っぎぃぁぁぁあ!」


 背後に現れた死の神に肩を指で叩かれ赤い空間の奈落へと向かって落ちていく


 「グレッ……」

 「まぁ無理があるよな」


 死の神は赤い鎧の前に現れ右腕を掴んで自分の上側に持ち上げる


 「大体、鷹弐を殺したのはお前だからなぁ?」

 「……」


 赤い鎧の中で鴉は言葉を発せない程に肉体に損傷を受けていた


 「いやぁお前をアーマードホークリスにさせるとは言ったが勝たせるつもりは無いんだよなぁ」


 ドレッドは嘲笑うように言う


 「アーマードシャークルスがエルードを殺した所で移る命の力を奪い取る、そんで自分以外の神の力に触れる為にはアーマードホークリスが存在していないといけなくてなぁ……てなわけで……」


 ドレッドは赤い鎧を掴んだ腕を振り上げる


 「俺の中で永遠に彷徨ってろぁあ!」


 そして光を超えた速さで赤い鎧を投げ飛ばした


 「っが……もう……」

 『……いる……!』


 赤い鎧の中で声が響く


 「だ……れ……?」

 『俺……がいる……!』


 赤い鎧の瞳に伸ばされた腕が映る


 その声と腕は……


 『俺達がいる!』

 「っ!?」


 鷹弐のものだった


 「鷹弐……!」


 赤い鎧は……鴉は手を伸ばしてその手を掴む……



 —レズモス—



 「グレィァァアァァァァア!」

 「っ!?」


 死の神は何かが自分と同等……それ以上かもしれない速度で迫っている事に気が付く


 「グレァァァ……!」

 「しまっ……」


 次の瞬間、死の神の目の前に白い鷹の鎧が現れ死の神に拳を放った

 

 「ぐががぁぁぁぁぁあ!?」


 死の神は腹に亀裂を走らせ吹き飛ばされる


 「受け継がれるレズモスの翼が……お前を殲滅する!」



——

 「ゼァァァァア!」

 「グレァァァア!」


 青い鎧は命の神の腹に右拳を、白い鎧は死の神の腹に左拳を放つ


 「がっ……エルァァァァァ!」

 「ゼァァァ……!」

 「がぁぁぁぁあ!?」


 命の神は青い鎧の右腕を掴み、左拳に輝く剣を生み出して左腕を振り上げ、そして振り下ろすが青い鎧に左手で捕まれ剣をへし折られる

 死の神はそのまま吹き飛ばされていく


 「ドレァァァァァァァ!」


 死の神は無数の赤く輝く刃を白い鎧に向かって放つ


 「グレァ!」


 白い鎧はベールの翼で全ての刃を破壊する


 「エルァァァァァァ!」


 命の鎧は身体を輝きの粒子に変換して宙を舞い、そして青い鎧の背後に現れ右腕を振り下ろす


 「っ!?」

 「ゼァァァァァア!」


 青い鎧は右肩のみを輝きの粒子に変換させて命の神の攻撃を避け、即座に振り返ってその拳を放つ


 「えるがぁぁぁぁあ!」

 「ゼァァァァァァァァァァ!」


 青い鎧は荒野を駆け、命の神を吹き飛ばしながら殴り続ける


 「強くっ……なったね……!」

 「まだまだこれかっ……」

 「私もこれからだよ」


 次の瞬間、命の神の拳は青い鎧の腹を貫いていた


 「っ!?」

 「エルァァァァァァァァァ!」


 命の鎧は反撃される前に青い鎧を内側から引き裂き、足首を掴んで下半身を後方へと投げ飛ばす


 「エルァァァ……!」

 「っ!」


 命の神は左腕で青い鎧の頭を掴んで右拳に力を集中させる


 「グレァァァァァァ!」


 白い鎧はベールを羽ばたかせて死の神に向かって突進する


 「これで終わりだ……!」


 白い鎧が死の神の目の前に現れ、振り上げた右拳に全ての力を集中させた直後……


 「終わるのはてめぇのほうだ……!」

 「っ!? がぐぃっ……!?」


 白い鎧の身体は突然何かに蝕まれる


 「なんだ……ごれっ……がぁぁあ!」

 「もしもの時の為に細工しといたんだぁ……ははっ……エルードが死ぬまで……ずっと苦しんでらァァァェい!」


 死の神は笑い狂う


 「どうだ……どうだそれが死だ! 最高だろ……なぁ……死ってすげぇいいだろぉ!?」

 「ずぐがっ……」


 白い鎧は死に侵食される恐怖と痛みを感じ……そして……


 「グレァァァァァァ!」

 「がぼぁ!?」


 次の瞬間白い鎧の拳が死の神の顔面に入り、死の神をした方向へと吹き飛ばす

 死の神の顔には亀裂が走り、左頬は抉られ赤い輝きを漏らしていた


 「死は怖いし痛い……鷹弐もきっと怖くて痛かった……! だから私は恐怖から逃げちゃいけない……私がお前を……!」


 白い鎧はベールの翼を大きく広げて白く輝かせる


 「っ……そうだここからこいつを追い出っ……!?」


 死の神は赤い空間から白い鎧を追い出そうとするがその身体は動かない


 『よぉドレッド……!』

 「霊牙っ……! 貴様ァァ……!」


 死の神の中で鮫牙 霊牙が目を覚ます


 「私がドレッド《恐怖の根源》を終わらせる!」


 白い鎧の翼は赤い空に浮かぶ純白の月のように輝いていた

 

 「さぁ……どうする……このままじゃ私との約束が果たされるっ……」

 「このまま終わるわけないだろ……」

 「っがぁ!?」


 青い鎧の下半身はひとりでに動き、右脚の鰭を命の神の首に突き刺していた


 「ぐがっ……」

 「お前の中の空間と時を歪ませた……!」


 命の神の動作は鈍くなり反撃が出来なくなる

 青い鎧は右拳に全ての力を集中させる


 「ゼァァァァァアァ!」

 「えるがぁぁぁぁああぃあ!?」


 青い鎧はその力を上方向に放ち、命の神は空の彼方へ吹き飛ばされていく


 「タマシイオーシャン……!」


 青い鎧は空に向かって手を伸ばし、空に海を産み出し灰色の空を青い輝きに染める


 「ゼァァァアァァァア!」

 「グレァァァァァァア!」


 青い鎧は身体の周りに青い輝きを産み出し地面を蹴り、砕き飛ばして命の神と輝く海に向かい右拳に鮫状のエネルギーの塊を纏わせて飛ぶ

 白い鎧は身体の周りに白い輝きを作り出しアーマードヒューマンの使用していた剣、ヒューマレッドケンを白く染めた剣を作り出して死の神に向かい突撃する


 「流牙……!」


 命の神は向かい来る青い輝きを見て安堵し魂を震わせる


 「クロウッ……スレッドァァァ……!」

 

 死の神は向かい来る白い輝きを見て恐怖し魂を震わせる


 「流牙、そうだそれが俺の名だ! だが俺は……」

 「っ……!」

 「流牙ではなくアーマードシャークルスとしてお前を砕く!」


 青い鎧はそう叫び命の神と衝突する


 「私はクロウスレッドじゃない! 私の名は鴉! 私はお前に利用された全ての為にお前を殲滅する!」


 白い鎧はそう叫び命の神と衝突する


 「ゼァァァァァァァァァァァァア!」

 「グレィァァァァァァァァァァア!」


 青い鎧の拳が命の神を砕き、命の神は大爆発を引き起こして砕け散った

 白い鎧の剣が死の神を切り裂き、そして死に至らしめ死の神は大爆発を引き落として消滅し殲滅された


 「グレァ……」


 赤い空間は消え去り、橋の下に戻った白い鎧は鴉とホークリスに分離する


 「っ……これは……」


 どこからか赤い玉……死の力が現れ鴉に近付いてくる


 「ドレッドに勝利したのか……」

 「っ……」


 赤い玉が鴉の視界から消えた瞬間、空間の歪みが生まれ中から黒いアーマードホークリスが姿を現し赤い玉を掴んだ


——

 「ゼァ……」


 荒野に着地した青い鎧は輝きを散らせ流牙に姿を戻す


 「やっほー流牙……」

 「……」


 流牙の前に身体から青い輝きを散らし続ける霊代か現れる


 「約束なんてするもんじゃないね……こうなるって分かってたのに……」


 霊代は流牙から目を逸らして頬を掻きながら言う


 「それはつまり守れないと分かっていたのに俺の為に約束をしてくれたって事だろ……?」

 「……はは」

 

 霊代の身体から放たれる輝きの量がどんどんと増えていく


 「本当にこれで終わりみたいだねぇ……寂しくて泣いたりするなよー?」

 「霊代っ……」


 流牙は唇を震わせる


 「ありがとな……」

 「っ……どういたしまして!」


 霊代は最期の……精一杯の力を振り絞って笑顔を作り……そしてその命を終わらせた


 「これで終わりか……」


 青い玉……命の力が現れ流牙に近付いてくる


 「っ……!?」


 突然地面から黒い液体が飛び出し青い玉を飲み込む


 「この黒い液体はっ……!」

 「3体もの神を殺せるその強さ……さすがだな息子よ」

 「父さん……!」


 黒い液体は黒いアーマードシャークルスに姿を変え流牙の目の前に現れた


 「そして……」


 黒いアーマードシャークルスは鎧の隙間とバイザーを青く輝かせる


 「これがお前の父の……私の本来の力だ……!」


 黒いアーマードシャークルスは命の神となりその腕を大きく広げ、空を青く輝かせる海を漆黒に染め上げた

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