堕落労働

黒烏龍茶

第1話 労働社会


一番嫌いな景色は家の天井である。

携帯のアラームが鳴り響き重い瞼を開けると広がる景色。

脳死した状態でアラームを止める

五分くらいボーっとする

虚無の時間である 渋々布団から出ては支度をする

歯を磨き散らかった机の上にあるいつのか分からない烏龍茶を飲み煙草に火をつける 煙草の煙がゆっくり天井へと上がる

身体は重い 鎖で繋がれてるかの様な感覚

奴隷みたいだ 煙草の火を消し車に乗り好きな音楽を流しながら出発する いつもこのルーティンだ

僕はこれから会社に向かう なんのやる気も起きないまま ただいつもの道を走る 道が混んでいたりするといつもよりイライラする 車内は禁煙にしてので余計にイライラする 会社の駐車場に着くと時間まで車の中にいる これもまた無の時間だ 無の時間は過ぎるのが早い 仕事中は時間が過ぎるのが遅い感覚に落ち入るがなんなのだろうか 魔法でも掛けられているのだろうか 僕の会社は拘束時間が長い 世間一般に言うブラック企業 社畜だ 仕事中はいきなりこのまま帰ってやろうかやムカつく上司を妄想で惨殺する事しか考えて居ない 魔法を掛けられたまま長い一日が始まる

終業後は眠さの限界である 真っ直ぐ家に帰り

部屋着にとりあえず着替えてソファーに横になり

携帯を軽く弄り面白くもないSNSを流し見る 遊びまくってる投稿を見ると羨ましくなる まだ火曜日かと絶望感に浸り気付くとソファーで寝ている

風呂も入らず飯も食わず 変な時間に目が覚める

身体が痛い とりあえず煙草に火を付け ボーっとする そのまま布団に行きまた携帯を弄り時間ギリギリまでネットを漁る 寝たのか寝てないかの状態で時間になる 疲れなど取れる訳でもなく逆に疲労が増えたのでは無いのだろうかと自問自答する

渋々風呂に入り飯は出勤途中のコンビニにで済ませる あー金無いなぁと思いながら美味くもないコンビニのパンを食う そしてまた魔法に掛けられて仕事をする 堕落している これが僕の一日だ 

生活しながら死期を早めている気もするがどうでもいい 独身彼女無しのアラサーになる歳だ もはや何も期待などして無い 友人とは守るべき物があったら頑張るかもな、なんて理想郷を良く語っている

しかし現実はこれである 結婚願望も無くやりたい事も無い僕はただ堕落した生活を送り仕方なく働いている


僕はたまに考えていた 人は何故働かなければならないのか 現代社会は冷たい 働かざる者食うべからずなんて昔婆ちゃんも言っていた 確かに働かなければ生きてはいけない だがもし労働と言う概念が無い世界だったらどうなって居るのだろうか 世界中が堕落して世界が機能し無くなって戦争でも起こるのか?世界とは言わないがそんな国があれば移住したいとまで考えていた しかしこれば僕の妄想でエゴなのだ こんな人生になったのは自己責任である

自分の人生は全て自分の自由だ 個人の自由 だが全て自己責任でもある

成功者はなんらかの努力をして今の地位に居る

高級車に乗り良い女と酒を飲み夜の街で豪遊し

タワーマンションで暮らす

SMSは良い部分しか写さない

人間それぞれバックボーンがあるのだ

こうなったのは何もしてこなかった僕自身が悪いのだ


そんなエゴと不満の平日を乗り越えて待っているのは休日だ もはやこの為だけに働いていると言っても過言では無い 何の為に働いてますか?と他人に問われたらこう答えるしか無い僕はきっとつまらない人間なのだろう

だがこれで良いのだ 堕落に慣れてしまった僕は余計な事は考えたくは無いのだ

堕落とはドラックの様な物だ

基礎正しい健康的な人も一度堕落に浸かってしまうと抜け出すのは難しい

僕はもう堕落した生活に依存している


休日と言っても特別何かする事は無い

こんな僕にも友人は居る

何をするかって特にする事は無い

出かけると言えば呑みに出るくらいだ

僕自身別に酒は好きでは無い

ただアルコールを過剰摂取して頭をバグらせたいから呑みに出ているのだ

頭をバグらせてる時だけは何もかも忘れられる

翌日は後悔するがそれも一瞬の快楽の代償である

安い物だ 給料は呑み代にほぼ消えていく

それ以外は風呂とサウナと音楽

それくらいしか楽しみは無いがそれだけで充分である

呑みに出ない夜中は僕は家でネットサーフィンをしている

僕はオカルトや都市伝説が大好きなのだが

ダークウェブという物を知っているだろうか


インターネットを海に例えるならダークウェブは

その奥深くにある言わば深海だ

僕達が普段見ているインターネットのサイトは

海で言えば浅瀬で海水浴などで人が泳げる範囲だ

しかし人間は深海には入れない

人間が無闇に深海に入ろうとすれば圧で押し潰されて死んでしまう

しかし深海は未知だ 未発見の深海魚やアトランティスと言う都市があったりするらしい

だが人間が気安く行ける場所では無い

そんな場所がダークウェブだ

普段僕達が使っている検索エンジンでは絶対に引っ掛からない

最近はネットサーフィンをしながら暇潰しにダークウェブを探している

ダークウェブは違法なサイトしか無く

主にドラックの販売や人身売買、違法動画のアップロードなどがされている

僕はドラックもやらないし人身売買にも興味は無いが 日常に刺激を求めているのかそれとも病んでいるのかは分からないがダークウェブに何か惹かれる物を感じるだ 僕がオカルト好きってのもあるのかもしれない 普段見れない世界ってのは誰しもが興味を持つ物である


ある掲示板で書き込みを見つけた

ダークウェブに存在する「堕落労働」と言う名のサイトだ

なんでも僕と同じく働きたく無い堕落支度人々が集まるサイトらしいのたが

地図には存在しない場所にある島にそんな人々が集まり生活をしているらしい

国と称しては居るが認められた国では無い

たが地図には存在しなく実際にあるのかも分からない 

なんでも働か無くても生きていける島らしい

詳しい事は分からない 実際に行った人の情報も無い 都市伝説に近い物だ 

しかしダークウェブ自体はフィクションでは無い

実際にあるのだ ニュースでも見た事がある

掲示板に書き込みがされると言う事は何処かに

ソースがあるはずだ

この島がどうゆう仕組みになって居るのかは分からないが

僕が理想としていた国だ

僕には楽園に思えた 本当にあるならすぐにでも行きたい

その為にはそのサイトを見つけ出すしか無いのである

退屈な日々に僕は終止符を打ちたいのだ

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