30 怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
【タイトル】
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
https://kakuyomu.jp/works/1177354055019168226
【作者】
旅ガラス 様
【ジャンル】
ラブコメ
【あらすじ】
中学時代、サッカーチーム東京Vのエースとして大活躍した神童・高坂修斗。将来益々の活躍を嘱望されていたが、中学三年生で出場したクラブユース選手権予選で靭帯を損傷してしまう。選手生命が絶たれる程の怪我を負い、サッカーができなくなってしまったことは修斗に大きなショックを与えた。瑞都高校に進学することになった修斗は、両親の転勤に伴い幼馴染みの若元梨音宅に寝泊りすることになった。梨音の助けを借りながら、修斗は高校生活でサッカーに代わる何かを見つけることができるのか。
※生徒会勧誘編 エピローグ まで読んだ時点での感想です。読了時点でのネタバレを含みます※
【魅力】
修斗に様々な分野の人間がスカウトをかけにくる=ハイスペック主人公がモテる、というラブコメとしてはわかりやすい構図をしています。そのぶんキャラクター同士の関係性やモノローグなどで丁寧に掘り下げがなされているので、「よくわからないキャラクター」という人がいないです。キャラクターの出し方、関わらせ方、バランスも配慮されていて、魅せ方も非常に上手だなと感じます。冗長に各キャラクターの見せ場を作るのではなく、たとえばメインヒロインでもある梨音は修斗との過去と合わせてモノローグを丁寧に作りこむのに対し、悪友の新之助については修斗目線からの描写に留め、しかしその情報だけでも彼のひととなりが端的に表現されています。もし新之助も平等にモノローグを入れていたら、パターン化して単調に映ったかもしれません。逆に言えば、外側の人間からの描写だけでも充分すぎるほど、新之助の個性が輝いているのでしょう。
【気になった点】
もしかするとこれは修斗の人間性なのかもしれませんが、言動が時々矛盾するので、彼の性格を掴みそこねることがあります。サッカーに対する未練や怪我に対する考え方はいいとして、気になったのは女子(特に梨音)への対応です。幼馴染みで腐れ縁の梨音に対し、「昔は特にノックとかもしなかったから」といきなりドアを開けるのが彼の梨音への距離感だとして、同じことを梨音にされたときに「デリカシーがないのか」という旨の発言をしていたかと思います。梨音にするのはよくて梨音にされるときだけデリカシーとかプライバシーとかを出すのは、思考としてちょっとブレているのではないかと思いました。
【その他】
前橋ちゃんが特に好きです。小動物のような愛らしさからは想像しなかった元サッカー少女。フットサルで修斗とプレーできたのは、複雑だけど憧れた者からすれば夢のような出来事ですね。
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