26 Magic Loaders
【タイトル】
Magic Loaders
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897497274
【作者】
@hoge1e3 様
【ジャンル】
異世界ファンタジー
【あらすじ】
突如として異界エグゼルアに召喚された少女サーイ。彼女を召喚した女神はサーイが持つ強大な魔力で、魔物たちから世界を救うため協力してほしいと言う。エグゼルアでは杖に魔法を「呪胎」させることで誰もが魔法を使えるようになる。そして魔法を呪胎させることができる選ばれし6人がマジック・ローダーである。マジック・ローダーの1人・マージに保護されたサーイは、魔法と世界を学びながら、世界を救うための一歩を踏み出す。
一方、魔法が全く使えない少年カギンは「憎むべき存在である魔物は討伐することがすべて」という風潮の地元ルカンドマルアに辟易していた。そこで町から追い出された青いドラゴンを見つけ、少しばかり家出することにしたのだった。
※第41話 懐かしむMagic Loader まで読んだ時点での感想です※
【魅力】
この小説の最大の特徴はメタ的進行にあると思います。それはあらすじ等でも作者様が触れていますが、物語としてその世界観を楽しみたい人間からすると、非常に扱いにくい要素でもあります。ただ、メタ的進行と時折出てくるプログラミング言語を合わせることで、「この物語あるいは世界は、どういった視点で読んでいくべきなのか?」という考察ができると考えると、この小説の読み方はかなり変わってくると思います。
本作は異世界に召喚された少女サーイと魔法が使えない現地人カギンを中心に進んでいきます。異世界転移した人間の王道物語を行くのがサーイパートだとすれば、カギンパートでは大量のメタ発言、そしてプログラミング要素が登場します。カギンはメタ発言からして物語を枠の外から見ているような部分もあり、彼がどの視点から物語を進行しているのか? が重要に思われます。物語を修正・進行する役割を担っているのか? 読者に語り掛ける部分から読者の横で物語の解説をしているのか? 彼が今、どこに立っているのか? などなど、考えていくと物語内のにぎやかさをはたして鵜呑みにしてよいものかと疑心暗鬼になります。
【気になった点】
メタやプログラミングなど、小説としての構成にかなりギミックが入っているため、外側の趣向が凝っているぶん、キャラクターを深く理解する機会があまり与えられていない印象を受けました。具体的にはキャラクターが行動している理由にあまり納得が得られないというか、流されるように進んでいるような気がします。もしかするとそれはメタ発言等に見受けられる仕様という可能性もありますが、キャラクターにご都合主義的な要素を感じてしまう部分としては、サーイの行動に自らの意思が感じられず、指示の通りに動いている箇所などがあげられます。そもそも自分の意思でエグゼルアに来たわけではないサーイですが、善の魔物と出会い、魔物はすべて悪いわけではないと学びつつも、魔物はすべて憎むべき対象とする討伐組織に入ったりしています。話の流れ上そうせざるを得ないとしても、彼女自身の信念を感じ取れなかったのが惜しまれます。
【その他】
サーイのマージへの愛情が強くなり、「おじいちゃん」と呼ぶようになり、本当のおじいちゃん(家族)みたいに扱われていくのがいいですね。
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