20 魔女と世界の隠し事

【タイトル】

 魔女と世界の隠し事

 https://kakuyomu.jp/works/16816452221360244623


【作者】

 さこゼロ 様


【ジャンル】

 異世界ファンタジー


【あらすじ】

 世界は魔女の脅威に怯えていた。魔女は魔物を生み出す恐るべき存在。魔女と魔物を打ち倒すすべはただひとつ、清らかなる乙女すなわち聖女が聖剣を振るうこと。魔女は何度倒しても復活し、そのたびに新たな聖女が魔女を封印する。前回の封印から八十年、復活した魔女を打ち倒すべく新たな聖女として選ばれたのは、戦いとは縁遠い暮らしを送っていたパン屋の少女フェリスだった。


 ※ネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。※


【魅力】

 逸話に世界のシステムを織り交ぜた、憎みたくなるような社会構造。それを繰り返していく歴史というものを見せつけられた心地です。悪しき魔女を打ち倒すために選定される聖女。聖剣を扱って魔女を殺すことが主な役割ですが、突然聖教会の使者を名乗るものが押しかけてきてなかば選択肢を奪った状態で、聖女として魔女を倒してくださいと言われても無茶が過ぎるというものです。聖女としての役割を果たさせる手口が悪徳商法とか詐欺みたいな文句ですし(家族の生活を楽にできますよとか)、聖剣の使い方を知らなくても聖なる力でなんとかなりますみたいに言われるので、この時点で不穏なものを感じます。

 魔女を打ち倒した聖女の伝説という架空の物語で人々に疑いのない思想を植え付け、盲目的に信じさせる。無知は罪だと言いますが、それを組織単位で実行しているのが今作ではないかと思います。間違いだと疑うための知識も与えられず、ただ聖教会に言われるままに罪のない少女が聖女=生贄に選ばれる。呪いたくなるような仕組みを救う、逸話にあるような勇者の存在は現れるのか。そんな気配を感じさせない終わり方もまた、個人的には好きです。

 

【その他】

 すべてが語られているわけではないので、特に設定面で気になる部分が多いですね。魔女が特別な力を持つ存在ではないのだとしたら、生贄はどのように選定されるのか。生贄になった聖女=魔女は代替わりしていきますが、彼女たちが「だめになる」のはどういった状態なのか。どれはどんなタイミングで判断されるのか。個人差はあるが、魔女になるとどのような地獄が待っているのか。

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