14 告白は最大の防御


【タイトル】

 告白は最大の防御

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054892240020


【作者】

  暗黒星雲 様


【ジャンル】

 ラブコメ


【あらすじ】

 綾川知子にとって、黒田星子は愛玩動物のようなものだ。魅惑のマシュマロボディに魅了されているのは知子だけではなく、周囲の男子の視線もある。だが知子が一番許せなかったのは親友の有原波里の存在だ。彼女は星子の胸をこよなく愛している。星子の胸を親友の魔の手から守らねばならない。最終防衛ラインを自称する知子、ミステリアスで愛され系の星子、星子の胸元を狙う波里を中心に展開されるすこし不思議な短編集。


【魅力】

 事前知識をなしにして読むべき小説だなと思いました。あらすじを見てイメージしていたシナリオ展開とはまったく予想外の方向に進んでいったので、次が全く読めないという意味で驚かされました。短編集と記載がありましたので、女子高生の楽しい日常を切り取った話かと思っていたら、2章からとんでもない方向に舵を切っています。章タイトルが「異世界からの侵攻」なので、そういうことです。SF・ファンタジー要素はこういうことかと妙に納得していました。

 文体としては比較的淡々とした、あまり熱量を感じさせない綴り方をしているのですが、それがキャラクター、シナリオ展開の濃さを中和している印象です。あらすじで記載した三人娘も一人一人かなりアクが強いですし、それ以外のキャラクターも彼女たちを上回る強者揃いです。加えて宇宙規模の展開を提示されるのでカロリー過多も甚だしい濃度の物語が繰り広げられるわけですが、読者が引いてしまうところを淡々とした地の文にすることで読みやすさのバランスを取っているように感じました。


【気になった点】

 短編集なので小話詰め合わせではあるのですが、各話が結構ぶっ飛んでいるので全体で見るととっ散らかっているような印象を受けます。もちろん、物語に統一性を持たせるのがすべて良いわけではありませんし、この独特の不思議感を活かしたいというのであればそれは作者様の意図するところかもしれません。ただ、脳内で整理や理解が追い付かないまま衝撃の展開が繰り広げられ、幕切れを迎えると、読了後は「結局この話はどういう意図があったんだろう」という、理解が及ばない消化不良感が残ります。構成やシナリオ全体に関わることなので具体的にこうすべきというものではないのですが(どちらかといえば相性の問題)、作者様の意図が伝わりにくい物語かもしれません。

「波里」が「羽里」になっている箇所がそこそこの頻度であります。波里のなかのもう一つの人格とか姉妹の名前とかではないと思うので、おそらくは誤植だと思うのですが。私の確認不足でしたら恐縮です。


【その他】

 有原波里とアール・ハリ・アルゴル、音の響きが似ているので何かあると思ってたんですよね。

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