思い出
僕とノアと麻美、3人が揃って休日を満喫していた。不意に麻美がこの中で誰が一番家事が出来るかという話になり、普段何をしているか分からないノアに話しを振るが、彼は彼で忙しいのだろうと遮るが麻美には通用しない様だった。
「信斗が料理とか出来るのは知ってるけど、ノアが家の事進んでしてるのは見た事無いよ」
「ベランダにあるだろう」
「家庭菜園はもはや趣味みたいなもんでしょ」
「ノアなりに頑張ってるよ」
「その成果は見えなければ無いにも等しいんじゃない?」
「成果か…ひとつ試してみよう」
ノアはそう言うとキッチンに消えた、向こうから「丁度勉強したところだ」と聞こえた、やはり彼なにり頑張っている。
「ところでアンタ達って高校からの付き合いなのに仲良いよね、兄弟だからは抜きにしても」
「そら色々あったからねえ」
「あのしばらく居なくなってた時?」
「そうそう夏休みの間だったかなあ」
「いや夏休み過ぎても居なかったよ」
「え?そう?あっという間だったからねえ」
「信斗のお父さんも何も教えてくれなかったし、何があったの?」
「ノアに誘拐されて、メキシコに行ってマフィアの組織潰して?それから逃亡してなんとか日本に帰ってきたよ」
「あー事故かなんかで頭打って記憶無くしたパターンか」
「違うよ!本当だよ!マフィアのボスがノアのお父さんだったんだよ!って言っても僕達の本当の父親は別に居たみたいなんだけど」
「はあ?」
「おい、出来たぞ」
ノアがキッチンから帰ってきた、意外と早い。手にはクローシュで覆われた皿がある。
「こんなに早く出来る料理ってなに?」
麻美の質問にしたり顔をするノアは、皿を机の真ん中に置き、クローシュを開けた。そこには小さなお弁当箱が置かれていた。
「お弁当?」
ノアは丁重にその蓋を開けた
「こ…これは!タフィーのキャラ弁だ!」
そこには色鮮やかに飾り付けされた、国民的アニメのキャラクターをモチーフにしたご飯が盛り付けられていた。
「凄いよ!ノアはこんな才能があるんだね!」
「この間銀行の待合席にレシピの本があってな、やってみたかったんだ」
僕はおおいに喜び、麻美も感激したのか俯いて震えている。
「こういう事じゃねえよ!」
だが数日後に試しに持っていったノアの弁当はウケが良かったらしく、麻美は「私のお弁当より高評価」とへたり込み、ノアから作り方を教わる様になった。
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